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2018.05/05(Sat)

Op.438 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第2番」 by シュナーベル

ベートーヴェンピアノ・ソナタを聴くシリーズ」。
今回はベートーヴェンの初期のピアノ・ソナタより聴いてみました。
前回、作品49-1、ピアノ・ソナタ第19番を聴いた際に
作品2の3つのソナタが作曲された1795年、ベートーヴェンはハイドンの前でそれら3つのピアノ・ソナタを演奏したとのことで作品2を聴いてみたくなりました。
作品2の3つのソナタのうち作品2-1、第1番は当拙ブログに約2年程前にアシュケナージの演奏で登場していたようです。
今回は作品2-2、第2番を。
演奏は迷った末にシュナーべルで聴いてみました。

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第2番
シュナーベルベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集より

438:ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第19番 シュナーベル ソナタ全集
(収録曲)
ベートーヴェン 

ピアノ・ソナタ第2番 イ長調 Op.2-2
ピアノ・ソナタ第5番 ハ短調 Op.10-1
ピアノ・ソナタ第6番 ヘ長調 Op.10-2
ピアノ・ソナタ第7番 ニ長調 Op.10-3
(録音:1933年4月9日 アビー・ロード)


第1楽章:Allegro vivace
第2楽章:Largo appassionato
第3楽章:Scherzo:Minore: Allegretto
第4楽章:Rondo: Grazioso 


2年程前のピアノ・ソナタ第1番の時に綴ったもののコピー同様になりますが
自分のメモとして以下に。

作品2の3つのソナタが作曲されたのは1793年から1795年にかけてだそうです。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ32曲の最初に位置する作品2。
ベートーヴェン、23歳から25歳にかけてでしょうか。
作品2の3曲が書かれる前年、1792年にベートーヴェンはハイドンに弟子入りを
するために11月10日にウィーンに到着したそうです。

作品2にはすでにベートーヴェンの個性が深く刻印され
当時のピアノ・ソナタの一般様式を踏み越えた音楽になっているそうです。
作品2の3曲は4つの楽章からなり形式的には定型通りのピアノ・ソナタとのことですが
音楽としてはそれぞれが性格的であり3曲はまったく異なった趣を持っているとのこと。
これらの曲は音楽が類型的な枠の中で書かれることが普通だった時代に於いては 常識を破っている、と言えるそうです。

3つのソナタの特徴、性格
第1番は作品2の3つのソナタの中では一番悲劇的な情緒
第2番、3つのソナタのうちでは最も晴れやかな明るい美しさ
第3番、規模が大きく、ピアノ技巧も華麗な曲
とのことです。

今回の主人公、作品2-2 ソナタ第2番は
作品2の3つのソナタの中では最も晴れやかな明るい美しさを持ち
全曲を通じ青年らしい希望と素直な感情に溢れている、そうです。

献呈はハイドンに。
1795年8月にリヒノフスキー侯爵邸の演奏会でベートーヴェンは完成した作品2の3つのピアノ・ソナタをイギリスからウィーンに帰ったハイドンに弾いて聴かせたそうです。

出版は1796年、ウィーンのアルタリア社から刊行。
作品2の3つのソナタの自筆譜は紛失したとのこと。


シュナーベルで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第2番

細やかで軽妙な主題で始まる第1楽章。
主題冒頭で断片的に始まる部分ではコミカルな趣も。
快晴の空のように明るく闊達な雰囲気で進む第1主題。
印象に残る主題です。
第2主題は流麗な美しさ。
展開部で活躍する第1主題の生き生きとしつつも華麗な雰囲気。
コーダでは闊達な趣から静かになり閉じられる第1楽章。

第2楽章は発想記号に「アパッショナート」と記されていますが、激しい感情の盛り上がりはなく優美な音楽だそうです。
その頃の一般的な「アパッショナート」の概念を察することができるとのことです。

一歩一歩、歩みを進めるような主題旋律で始まる第2楽章。
ゆったりと静かな雰囲気の主題。
左手、低音のスタッカートの伴奏に乗り奏される主題の調べの美しさ。
旋律にトリルが入り美しい調べが奏された後に中間部に。
主題の展開での美しい調べには寂寥の雰囲気が漂い
内省的な趣を秘めているよう。
「アパッショナート」がこの楽章で感じられるとすると
スタカートの低音の伴奏に乗り奏される調べが一時フォルテになり
感情の高まりを感じさせるパートでしょうか。
第3部を経てコーダに。
主題による長いコーダ。
ゆっくりと、静かに、名残を惜しむかのように閉じられる第2楽章。

右手の高音が素早く軽妙に奏される主題動機で始まる第3楽章。
無邪気な戯れを想わせるような主題。
主題の後に顔を出す新たな旋律。
短く音を叩き出しているような生き生きとした趣。
再び主題が戻り、愛嬌を感じさせる戯れに。
思い切りよくスッキリと閉じられる第3楽章。

第4楽章はピアノ音楽の表現力を拡大しようとしているように
かなり高いピアノ技巧が織り込まれているとのこと。

優雅で伸びやかなロンド主題で始まる第4楽章。
華やかな調べを経て現れる第2主題も美しく。
第3主題ではリズミカルで生き生きとして躍動感のある力強さ。
最後にロンド主題が現れ明朗華麗に迎える曲の終わり。


久し振りに耳を傾けたシュナーベルの演奏。
聴きたいピアニストは多々、在り過ぎて・・・。
ディスクを前に「誰の演奏で聴こう?」と迷うときには自然にシュナーベルのディスクに伸びる手。
シュナーベルの演奏には自分自身が冷静に耳を傾けていられる気がするようです。

作品49の3つのソナタを聴いた2年程前。
当時、第2番が気に入っていました。
今も第2番の明朗で、希望を感じさせる趣が好きです。

第1楽章では輪郭の克明なピアノ・タッチ。闊達さに希望と前進をする趣を感じます。
第2楽章での優しく美しいタッチから紡ぎ出される調べには感無量に。
第3楽章の生き生きとした無邪気な音の戯れでは虜にさせるようなタッチで。
第4楽章、優雅なロンド主題を奏するシュナーベルの流麗なピアニズム。

嘗てのお気に入りは第3楽章でした。
未来への明るい希望、憧れ等々、前途洋々で人生のプラスの要素だけが感じられました。
すべてが明るい光に包まれている第3楽章に魅力を感じました。
月日が流れ幾度か聴いているうちに一番のお気に入りは第2楽章に。
以後のベートーヴェンの中期、後期のピアノ・ソナタに通じる「美」の面影がすでに感じられるようです。

曲の解説を読み、このような曲にはシュナーベルは不向き(と言っては語弊があるかと思いますが)かと思いつつ聴き始めました。
単なる自分の勝手な憂慮に過ぎないことを確認した次第。
シュナーベルのピアニズムに対する認識が改められたように思います。
やはり素晴らしいピアニスト。

嘗てシュナーベルの演奏で聴いた時に綴ったかと思いますが
シュナーベルの演奏を聴いていると常に想い出すシュナーベルの言葉があります。
史上初のベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集の録音が行われた1932年から1937年。
録音のエンジニアとの間で試行錯誤が続いたそうです。
シュナーベルはこの録音当時のことを後に
「苦悩を経験し、絶望的な状態」、その「苦しみのために死んでしまうのではないか」と思う程だった、とのことです。
演奏を耳にする度にシュナーベルのこの言葉が想い出されます。

                
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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : ベートーヴェン ピアノ・ソナタ シュナーベル

20:43  |  ベートーヴェン  |  TB(0)  |  CM(5)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●Re: お早うございます

rudolfさま、こんばんは。
いつもコメントをありがとうございます。
本当に変な気候ですね。5月にも拘らず、つい口に出るのは連休前には「暑い」、連休明けからは「寒い」です。

rudolfさまのブログで先日、ニコラーエワのベートーヴェンのピアノ・ソナタの記事を拝読させていただき聴いてみたくなりベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集だけがないかとショップ・サイトで探しましたが、ソナタ全集は廃盤のようで購入不可になっていました。
rudolfさまがお持ちのBoxの方には収録されているのですね。
聴いたことがないニコラーエワの演奏ですので聴いてみたく思っています。
弦楽四重奏曲(全集)と同じ道を辿り始めたようで、ベートーヴェンのピアノ・ソナタも全集の存在を知ると聴きたくなってしまいます(^^♪

>音楽の場合、演奏家のテクニークと 奏でる音楽との間には 難しい問題があるな…と

rudolfさまのお考えを拝読し、そう言われると確かに・・・そうですよね。
名ピアニストはトリルを均等に演奏できるように練習するのですね。
rudolfさまのコメントを拝読するまで知らないことでした。
技術的な事に関しても無知な私ですので、演奏技術の知識があると音楽鑑賞もまた楽しみが増えることでしょうね。

風薫る五月・・・とは程遠い5月ですので、どうぞご自愛をなさってくださいますように(*^_^*)
lumino | 2018.05.11(金) 19:59 | URL | コメント編集

●お早うございます

luminoさま お早うございます
連休明けから急に寒くなってきていますね 
変な天気ですね

1番から3番までは かなり この間聴いてきているような気もします ニコラーエワの全集が届いて聴きだしているのですが、最初 ミスタッチなどが多いと それに囚われてしまいます
シュナーベルの演奏も 最初聴いたときは 大丈夫かな?と思ったりも… ですが、聴きこむと シュナーベルの意図もだんだんと分かってくるところもありますね

音楽の場合、演奏家のテクニークと 奏でる音楽との間には 難しい問題があるな…と、テクニークだけでも上手いなと思っても、それだけということもありますね、逆に 味わいがあるがテクニークがなさすぎると これも問題かと 思いますね

ですから、名ピアニストさんはトリルなどをできるだけ均等に演奏出来るように練習をするのかもしれませんね

今朝はそんなことを〜
ミ(`w´彡)
rudolf2006 | 2018.05.11(金) 10:27 | URL | コメント編集

●Re: 第2番はあまり印象に残っていませんが・・・

burleskeさま
いつもコメントをありがとうございます。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタで前期のソナタは、中期や後期のソナタに比べるとあまり印象に残らないような気がするのですが・・・。
burleskeさまも第2楽章がお気に召されたようですね。
良いですよね。

> ベートーヴェンのピアノ・ソナタと弦楽四重奏曲、それに交響曲は、それぞれに魅力的な全集が多くあって、どの演奏を聴いても魅了されてしまいます。

最近、どの演奏者で聴くかを迷うようになってきてしまいました。
burleskeさまが仰るように、「魅力的な全集が多く魅了されて」迷ってしまうようです。
一曲のソナタについて綴る際に、一人や二人の演奏者に絞ってしまうこと自体無理がありますよね。
「さて、次の演奏者は誰に?」と、すでに今から・・・このような迷いは楽しみの一つかも、ですね。
lumino | 2018.05.07(月) 20:45 | URL | コメント編集

●第2番はあまり印象に残っていませんが・・・

ベートーヴェンのピアノ・ソナタのなかでも第2番はあまり印象に残っていない作品でしたが、改めてじっくり聴いてみるとなかなか素敵な作品ですね。
僕も第2楽章が気に入りました。
シュナーベルも改めて聴いてみると、やっぱり良いですね。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタと弦楽四重奏曲、それに交響曲は、それぞれに魅力的な全集が多くあって、どの演奏を聴いても魅了されてしまいます。
やはり、ベートーヴェンの作品自体が魅力的なんでしょうね。
burleske | 2018.05.06(日) 21:06 | URL | コメント編集

●Re: ピアノソナタ第2番はイ長調

龍さま、こんばんは。
いつもコメントをありがとうございます。

ご指摘を戴きましたようにソナタ第2番の調性が間違っておりました。
イ短調と書いてしまいましたが正確にはイ長調ですね。
ご指摘を戴き本当にありがとうございました。
早速、訂正をさせていただきました。
いろいろとお調べをしてくださったのですね、ありがとうございます。
自分では注意をしているつもりなのですが、とにかくミスが多くご指摘を受けて気が付いたり、自分で更新後に読み返してビックリして慌てて訂正したりの有様です。
今回のご指摘に関しまして「余計なお世話」どころではなく、大変助かりました。
極力、間違いのないように今後とも気を付けますが、どうぞこれからもお気付きになられました点はご指摘をよろしくお願いいたします。
ありがとうございましたm(__)m
lumino | 2018.05.06(日) 21:03 | URL | コメント編集

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