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2018.06/23(Sat)

Op.445 シューベルト:「ピアノ・ソナタ第19番」 by アラウ

以前、3年程まえに聴き始めたシューベルトピアノ・ソナタ
早々に中断をし、休止状態のまま今日に至ってしまいました。
今回よりシューベルトピアノ・ソナタの中で未登場だった曲を聴いてみることにしました。
今回はシューベルトピアノ・ソナタの遺作3部作、第1作目の第19番を。
ベートーヴェンのソナタから引き続きアラウのピアノで。

シューベルト ピアノソナタ第19番 
アラウ~フィリップス録音全集より

(HMV)445シューベルト ピアノソナタ第19番 アラウ フィリップス録音全集
(収録曲)
シューベルト
ピアノ・ソナタ第19番 ハ短調 D.958(遺作)(1978年録音)
ピアノ・ソナタ第20番 イ長調 D.959(遺作)(1982年録音)

クラウディオ・アラウ(P)

第1楽章:Allegro ハ短調 3/4拍子
第2楽章:Adagio 変イ長調 2/4拍子
第3楽章:Menuetto: Allegro – Trio ハ短調 3/4拍子
第4楽章:Allegroハ短調 6/8拍子


作曲されたのは1828年9月中、シューベルトの死(11月19日)の数週間前に書かれたそうです。
シューベルトの遺作とされる最後の3部作のピアノ・ソナタ
第19番ハ短調D.958、第20番イ長調D.959、第21番変ロ長調D.960 は
「シューベルト最後の作品。3つの大ソナタ」と題され1838年にウィーンのディアベッリ社より出版されたとのことです。

シューベルトがピアノ・ソナタを書き始めたのは1815年頃からだったそうです。
平野昭氏の記述によると
「1815年頃から始められたピアノ・ソナタの険しい道は、古典的な模範から始まり
その模範から離脱しようと苦悩し、自らの湧き出る楽想を受け入れる器を試行錯誤を繰り返しながら模索する歴史であった」。

そのような成果が実を結んだのが第16番、第17番、第18番で、シューベルト独特のソナタを確立したそうです。
それらの作品から2年の間を隔て生み出されたのがこのソナタ第19番とのこと。

このソナタの調性であるハ短調は、もともとはベートーヴェンのものであり
それを意識して用いていることは第1楽章冒頭の主題に顕著に表れているそうです。
ソナタ第19番はシューベルトのベートヴェニアーナの総決算とのこと。
この曲の自筆譜には「第1ソナタ」とタイトルが付けられているそうです。

出版は1838年、ディアベッリより。
献呈はアントン・ディアベッリによりロベルト・シューマンに。
ソナタの出版は1831年頃から準備され、当初はシューベルトの遺志によりヨハン・ネポムク・フンメルに献呈する予定だったそうです。
印刷完了の1年前、1837年にフンメルが死去したためにディアベッリ社により
献呈者はフンメルからシューマンに変更されたとのこと。

自筆のスケッチはウィーンの市立図書館所蔵。
自筆決定稿はスイスのアルガウに住む、マリー・フレールハイム夫人がリート「鱒」等とともに所蔵しているそうです。


アラウで聴くシューベルトのピアノ・ソナタ第19番

力強い主題で始まる第1楽章。
早々に左手の伴奏に乗り奏される右手は優しく歌うような調べを。
第2主題になり漂う厳粛な趣。
展開部で第1、第2の両主題の素材が顔を出し、変容する姿には幻想的な趣も。
再現部を経てコーダで速度を落とし閉じられる第1楽章。

ゆったりとした速度でピアノが歌う物想うような調べで始まる第2楽章。
静かな雰囲気を湛えた主題の調べは心に残るよう。
瞑想的な雰囲気を漂わしつつ進み
殊に第3部での主題の瞑想的な美しさはこの楽章中、最も心に残るような美しさ。
再び主題が戻りコーダを兼ねつつ閉じられる第2楽章。

左手で奏されるレガートを伴奏に右手が奏する流れるような旋律で始まる第3楽章。
躍動的な趣を経て、右手が奏する静かな調べ。
可憐な趣を見せるトリオ。
軽快に奏される主題。
第3部でメヌエットの主部にダ・カーポをし
そのまま軽やかに閉じられる楽章。

第4楽章は717小節に及ぶ長大なものとのこと。
軽やかに跳躍をするように始まる第4楽章。
この主題部はベートーヴェンのピアノ・ソナタ第18番の終楽章に似た音型とのこと。
確かに跳躍感の中にベートーヴェンのソナタの面影が。
第2主題になり左手が奏するスタッカートに乗り軽快な趣の調べ。
展開部で現れる美しい旋律は第3主題的なものだそうで
第2主題の変奏のようになっているとのこと。
この楽章のみならず、このソナタでは最も美しさを感じる調べ。
華麗な雰囲気を漂わしつつ進む展開部を経て再現部に。
力強く迎える曲の終わり。


このソナタの第2楽章は「リートをピアノ曲にしたような趣」の楽章とのことで
興味、関心と期待を抱きつつ耳を傾けてみました。
ソナタ全体としては特別に深い共鳴を受けることもなく・・・。
音符が「美」を描きつつ奏される個所には惹かれるものも。
第2楽章の第3部での瞑想的な美しい調べ。
第4楽章の展開部での調べ。
これらの2つのパートのみが印象に残ります。
このソナタに大きな期待を抱き過ぎたようにも・・・。

シューベルトのソナタを聴きつつ、ついついベートーヴェンのソナタが浮かんでしまいます。
これ以上、綴っているとベートーヴェンのソナタ讃歌になってしまいそう。

アラウのピアノは勿論、言うことなし、です。
ベートーヴェンの多くの要素を含むソナタの数々、心から生み出される調べを奏するアラウのピアニズム。
このシューベルトのソナタでも同様にアラウの曲に向かう真摯さ。

嘗てシューベルトのピアノ・ソナタを聴き始めた頃。
ソナタ第21番や「さすらい人幻想曲」がお気に入りになり夢中で耳を傾けた日々。
そのような日々を想い出しつつ、中断をしていたシューベルトのピアノ・ソナタを予定していますが。

                 
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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : シューベルト ピアノ・ソナタ アラウ

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Comment

●Re: 次はシューベルトですか

burleskeさま
いつもコメントをありがとうございます。

ベートーヴェンの次はシューベルトのピアノ・ソナタ・・・最初はそのように思っていました。
いざブログに向かってみると、どうも「シリーズ」としては私には無理みたいで尻込みを。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタのように集中することができず、になっています。
多分、数回の「シリーズ」(?)で終わってしまいそうです。

シューベルトのソナタ第19、20番はburleskeさまが嘗てブログにお取り挙げになられていらっしゃたのですね。
当時のブログ記事を改めて拝読させていただいてきました。
2012年の5月に、高橋アキの演奏だったのですね。(忘れてしまっていました。すみません)
改めて拝読させていただき、もう一度第19番を聴き直してみたくなりました。
ブログに、シューベルトのソナタは冗長に感じる(下手な演奏だと)、とお綴りになられていらしゃたのですね。
そうなんですよね、第19番を聴きつつ冗長な曲に感じてしまいました。
たまたまアラウの演奏で聴いていたので最後まで聴き通すことができたのかな・・・と想っています。

そうですね、ベートーヴェンのソナタを通してはソロモンとの出合いがありました。
シューベルトのソナタでは・・・楽しみでもありますね。
lumino | 2018.06.25(月) 20:19 | URL | コメント編集

●次はシューベルトですか

ベートーヴェンの次はシューベルトのピアノ・ソナタ・シリーズでしょうか?
第19番は第21番などに比べると、ちょっととっつきにくいかもしれませんが、じっくり聴くと味わい深いと思いますよ。
アラウの第19番、久しぶりに聴きましたが、やはり良いですね。
20番と21番も聴いてみたくなりました。

シューベルトのソナタでも、ソロモンみたいにお気に入りの演奏家が見つかるとよいですね。
burleske | 2018.06.24(日) 21:07 | URL | コメント編集

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