2018.06/30(Sat)

Op.446 シューベルト:「ピアノ・ソナタ第9番」 by ケンプ

前回に続き今回もシューベルトピアノ・ソナタです。
シューベルトピアノ・ソナタを聴くシリーズ」。
今回、シューベルトピアノ・ソナタ第9番を聴き、遅まきながら「シリーズ」第2弾はベートーヴェンに続きシューベルトになりました。

シューベルトピアノ・ソナタも聴いた作品はほんの僅か。
ほとんどの曲が初めて聴くに等しいソナタばかりです。
今日はソナタで完成されている第9番を聴いてみることにしました。
ケンプの演奏です。

シューベルトピアノ・ソナタ第9番
ヴィルヘルム・ケンプ~シューベルト ピアノ・ソナタ全集より


446シューベルト ピアノソナタ第9番 ケンプ~シューベルト ピアノソナタ全集
(収録曲)
シューベルト

ピアノ・ソナタ第13番イ長調 D.664
ピアノ・ソナタ第11番ヘ短調 D.625
ピアノ・ソナタ第9番ロ長調 D.575

ヴィルヘルム。ケンプ(P)
(録音:全集 1965-69年 ステレオ)


第1楽章:Allegro ma non troppo ロ長調 4/4拍子
第2楽章:Andante ホ長調 3/4拍子
第3楽章:Scherzo Allegretto ト長調 3/4拍子
第4楽章:Allegro giusuto ロ長調 3/8拍子


作曲されたのは1817年8月だそうですので
シューベルトは20歳頃でしょうか。
1817年はシューベルトのピアノ・ソナタ創作上の画期的な年だそうです。
この年の3月から8月までの約半年間にソナタの作曲が集中しているとのこと。
少なくとも6曲のピアノ・ソナタを手掛け、そのうち5曲が完成された作品だそうです。
これら5曲のソナタは完成されたピアノ・ソナタのほぼ3分の1に相当するとのこと。
このソナタは1817年に作曲された6曲のソナタのうち最後に書かれたものだそうです。

シューベルトは生涯にピアノ独奏曲を60曲以上手掛けているそうです。
未完や断片も少なくないそうですが多くはソナタであり、ソナタ楽章と思える様々な単一楽章作品とのこと。
ピアノ・ソナタだけに限っても23曲に着手しているそうです。
ソナタと明記されていなくても1827年12月作の「4つの即興曲」D.935 のように、恐らくソナタとして構想された作品もあるとのことで、少なくとも25曲以上のソナタに着手していたと考えられるそうです。
そのうちピアノ・ソナタの名称を持つ作品は23曲とのことです。

シューベルトはベートーヴェンにより崇高なまでに高められたピアノ・ソナタに
常々、感嘆と畏敬の念を抱いていたそうです。
因みに1815年までにベートーヴェンのピアノ・ソナタは第23番「熱情」まで作曲されていたとのこと。
尊敬してやまないベートーヴェンのピアノ・ソナタの後に自作を続ける勇気がシューベルトにはなかなか湧いてこなかったそうです。
この年、1817年、シューベルトは20歳を境にし芸術家としての自覚がピアノ・ソナタへの集中的な挑戦となり現れたとのことです。


446シューベルト ピアノ.ソナタ第9番 Sigismund Thalberg
Sigismond Thalberg
(1812年1月8日-1871年4月27日)

献呈はディアベッリ社の意向により作曲家であり、また19世紀の有名な巨匠ピアニストの一人ジークムント・タールベルクに。

初版は1844年頃、ウィーンのディアベッリ社から出版。
自筆譜はスケッチだけが発見され、ウィーン楽友協会が所蔵しているとのこと。


ケンプで聴くシューベルトのピアノ・ソナタ第9番

跳躍するような主題で始まる第1楽章。
経過句の辺りで奏されるカノンから伝わる柔和な雰囲気。
そして現れる第2主題の可憐な愛らしさ。
この主題を奏するケンプの優しいタッチ。
弱音の軽やかさと清明感に好感を抱きます。
展開部での軽やかなリズム感。
多様なリズムが華麗な雰囲気を醸し出しているよう。
再現部でのユニゾンの美しいタッチ。
軽やかな愛らしさを感じさせつつ閉じられる第1楽章。

静かに歌い出すピアノの調べで始まる第2楽章。
この主題の柔和な歌のような旋律。
内気な雰囲気が漂っているようにも感じられます。
第2部に移り趣が一転。
16分音符で刻まれるスタッカートの力強さは激しさを感じさせるかのよう。
左手と右手との応答を経て第3部に。
第1部の再現にホッとするものを感じます。
左手の低音を伴奏に右手が奏する調べで穏やかに終わる第2楽章。

軽やかなリズムで奏され始まる第3楽章。
茶目っ気な雰囲気の主題。
軽やかなリズムに乗り左手と右手の会話の愛らしさ。
トリオでの流麗で清楚な調べは印象に残ります。
スケルツォにダ・カーポし軽やかに閉じられる第3楽章。
軽やかな「舞」の雰囲気に溢れ、清楚で溌剌とした楽章でお気に入りに。

軽やかにステップを踏むかのように奏され始まる第4楽章。
簡潔で明快な趣の主題。
抒情性が漂う第2主題はいかにもシューベルトの調べでしょうか。
展開部は主に第2主題が用いられているとのこと。
再現部を経て生き生きとした勢いをともない迎える曲の終わり。


初めて聴くソナタ第9番です。
始めて耳にする曲に対しては解説等を読んでは期待と興味、関心に。

嘗て、3年程前にシューベルトのソナタ第21番の虜になった際に聴いたケンプの演奏。
シューベルトのソナタをケンプの演奏で耳にするのはその時以来のように思います。
初めて聴くソナタ第9番・・・「ケンプって良いなぁ」、としみじみと心の中で呟くばかり。

第1楽章での簡素で清楚な趣のケンプのタッチ。
殊に第2主題を奏する優しさ、弱音の軽やかさと清明感。
ケンプのピアニズムの根底に流れているような清明感に好感を抱きます。
第2楽章での第2部も印象に残ります。
各部の微妙な趣の変化をケンプは誇張することなく明瞭なタッチで伝えてくれるようです。
第3楽章でのタッチの軽やかさ。
指先が紡ぎ出す清楚で軽やかな運指も印象に残ります。
第4楽章の躍動的に溌剌とした雰囲気を、生き生きとした淀みのないケンプのピアニズム。
各楽章に散りばめられているケンプの魅力。

ケンプのピアニズムの軽やかさ、溌剌さ、音の輪郭の明瞭さ等々は作品の神髄に迫るよう。
今まで他の作品でケンプの演奏を耳にしながら、「何故気付かなかったのか」とも想います。
後期のソナタからは感じられない明るい躍動感、清楚な趣のこのソナタ。
随所にシューベルトらしさ・・・「らしさ」という曲者的な言葉。
自分にとっての「シューベルトらしさ」を感じるソナタのように感じています。

このディスクに収録されている3曲のソナタ。
私にとってはいずれの曲とも初対面(?)です。
ソナタ第11番にも期待していた以上に惹かれるものを感じつつ
「ケンプって良いなぁ」と心の中で繰り返しては耳を傾けている一枚です。

                 
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タグ : シューベルト ピアノ・ソナタ ケンプ タールベルク

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Comment

●Re: ケンプのシューベルトは大好きです

burleskeさま
いつもコメントをありがとうございます。

「シューベルトのピアノ・ソナタを聴くシリーズ」とのシリーズ名を今回から付けることにしました。
前回から素直にシリーズ名を付ければ良いのに・・・ですよね。

シューベルトのソナタ第9番はburleskeさまも滅多に聴くことがないそうですが、それでも第3楽章など親しみやすいですよね。
初めて聴いた私ですら馴染み深いような親しみ易さを感じてしまいました。

ケンプのシューベルトは大好きとのことですね。
シューベルトのピアノ・ソナタはあまりディスクを持っていないのですが、今のところケンプの全集がお気に入りになっています。

> ケンプは最初聴くとちょっと地味な感じがするのですが、他のピアニストの演奏を聴いてから改めて聴くと、自然な語り口が魅力的で良いのですよねぇ。

初めて聴くソナタを先ずケンプの演奏で聴いたのですが、他のピアニストの演奏の後に改めて聴くとケンプの魅力がより一層伝わってくるみたいですね。
逆になってしまいましたけれど、他のピアニストの演奏も聴いてみますね。
ケンプではベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴き込むことなく過ぎてしまいましたので、改めて聴き直してみたくなりました。
lumino | 2018.07.02(月) 20:16 | URL | コメント編集

●ケンプのシューベルトは大好きです

シューベルトのソナタ第9番は滅多に聴くことのない作品のはずなのですが、第3楽章など妙に馴染み深いフレーズで、親しみやすい感じがしますね。

ケンプは最初聴くとちょっと地味な感じがするのですが、他のピアニストの演奏を聴いてから改めて聴くと、自然な語り口が魅力的で良いのですよねぇ。
僕もケンプのシューベルトは大好きです。
改めてケンプでシューベルトの他のピアノ・ソナタも聴いてみようと思います。
burleske | 2018.07.01(日) 20:26 | URL | コメント編集

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