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2018.07/14(Sat)

Op.448 シューベルト:「ピアノ・ソナタ第14番」 by クリーン

シューベルトピアノ・ソナタを聴くシリーズ」。
今日は当地の最高気温は36.8度とか。厳しい暑さです。

久々振りにワルター・クリーンのディスクを取り出してみました。
シューベルトピアノ・ソナタで当拙ブログに初めて登場をしたのは第13番だったようです。
2013年3月30日。5年以上も前のこと。
クリーンシューベルトピアノ・ソナタ全集第2集の収録曲中で一番気に入ったソナタでした。
以降、時々、想い出したかのように登場をしていたシューベルトピアノ・ソナタ

初めてクリーンで聴いた中期のソナタでお気に入りになった第13番。
今回は次作のソナタ第14番イ短調を。
イ短調はシューベルトお気に入りの調性とのことで関心を抱きました。
初めてシューベルトピアノ・ソナタでこのブログに登場をした想い出深いクリーンのピアノで。

シューベルト:ピアノ・ソナタ第14番 イ短調D.784
ワルター・クリーン


ピアノ・ソナタ全集第2巻 ワルター・クリーン
(シューベルト:ピアノソナタ全集第2巻CD1 収録曲より)
               
ピアノ・ソナタ第20番イ長調D.959
ピアノ・ソナタ第1番ホ長調D.157
ピアノ・ソナタ第14番イ短調D.784
                
 ワルター・クリーン(P)
(全集録音:1971-73年 ステレオ)

第1楽章:Allegro giusto イ短調 4/4拍子
第2楽章:Andante ヘ長調 4/4拍子
第3楽章:Allegro Vivace イ短調 3/4拍子


作曲されたのは1823年2月に完成したとのことです。
シューベルト26歳頃でしょうか。
前作のソナタ第13番イ長調D.664 から4年を置いて書かれたそうです。

第13番は旧全集版や他の多くの版で「1825年作曲」と誤って収録され、曲番は第10番が付けられたそうです。
その結果、ピアノ・ソナタの創作に関し1817年から1823年までは空白期間と考えられていたとのこと。
その期間に書かれた作品は少ないそうですが、ソナタ第13番の他にスケッチが残されており、ソナタ創作に対するシューベルトの苦悩ぶりを示す重要な時期でもあったとのことです。

前作の第13番後の4年振りの努力が実を結んだのがこのソナタ第14番。
以前のソナタとは格段の差のある作品が生み出された、とのことです。
が、他者の記述を見るとこのソナタに対しては次のような厳しい評価も目に付きます。
このソナタは完成作品であるが調性が不安定。
短調であるが故に陰鬱、とのこと。
以上のことによりシューベルトの中期のピアノ・ソナタの中では
第13番(イ長調 D 664)、第15番「レリーク」(ハ長調 D 840)、第16番(イ短調 D 845)に比べ演奏される機会は少ないそうです。

このソナタに着手をしていた頃のシューベルトの状況を知りたくなりました。
1823年を中心にその前後の年をメモとして。

●1822年、25歳:「魔弾の射手」のウィーン上演を機にウェーバーと会う。
(1、3月)シューベルト歌曲に関する詳細な論評を新聞と雑誌が掲載。
この年に書かれた作品:交響曲「未完成」D.759(10-11月)、「さすらい人幻想曲」D.760 など。

●1823年、26歳:少なくとも4つの公的演奏会で作品が演奏される
(4月)シュタイヤーマルク音楽協会から名誉会員に推奨。
(7-9月)夏から秋にかけてフォーゲルとともにシュタイヤーとリンツに旅行。
(8月)リンツ音楽協会がシューベルトとフォーゲルを名誉会員に推奨。
(11月)健康が優れず、春あるいは秋にウィーン一般病院に入院か。しかし回復に向かい「美しき水車小屋の娘」D.795を完成。
シュトゥーベンバスタイに転居、フーバーと住む。
(12月)「ロザムンデ」初演。反響を呼ぶ。
この年の作品:「ピアノ・ソナタ第14番」D.784、「君こそわが憩い」D.776、オペラ「フィエラブラス」

●1924年、27歳
(3月)シュパンツィッヒ弦楽四重奏団が「ロザムンデ」D.804 を楽友協会ホールで演奏。
シューベルトはかなり健康を取り戻すが、この頃、手紙や日記に苦悩と葛藤を綴る。
夏から秋にかけ再びハンガリーのツェレスに滞在。
秋以降、ロッサウの父の家に戻る。
この年の作品:「八重奏曲」D.803、弦楽四重奏曲「死と乙女」D.810、連弾用ソナタ「グラン・デュオ」D.812、「アルペジョーネ・ソナタ」D.821   (以上)

   
寄り道が長くなりました。

自筆譜はスウェーデンのマルメーの領事オットー・タウシッヒが所蔵。
初版はシューベルトの死から11年後、1839年にウィーンのA.ディアベッリ社から出版。
出版社の意向でメンデルスゾーンに献呈されているそうです。


ワルター・クリーンで聴くシューベルトのピアノ・ソナタ第14番

重々しく陰鬱な旋律で始まる第1楽章。
この第1主題の前半は重々しく陰鬱な雰囲気が漂う中にもシューベルトらしい歌を感じさせる趣も。 
主題の後半では低音域が激しく響き渡り激情を感じるよう。
現れる第2主題。
穏やかな歌の調べが奏された後にフォルティシモに。
力感のある和声が混じり重厚な雰囲気に。 
展開部になり第1主題冒頭の動機が活躍し緊張感が高じるような雰囲気に。
再現部では第2主題がイ長調で再現されているとのこと。
迎えるコーダもイ長調で第2主題の静かな歌の旋律が奏されるのが印象的。  
ゆっくり消え入るように閉じられる第1楽章。

第2楽章はほぼ2部形式になっているとのことです。
前楽章から一転して穏やかな旋律で始まる第2楽章。
主題の初めの部分では穏やかに。
後半より雰囲気が変わり激しい音型。力強い盛り上がり。
第2部に入り漂う夢想的な雰囲気。
束の間右手高域が煌めきのように奏されるのが印象的。
ゆったりと静かな冒頭の主題が奏され閉じられる第2楽章。
ホッと寛いだ気分にさせてくれる快い調べの楽章でしょうか。

第3楽章はロンド・ソナタ形式とのことです。
目まぐるしく疾走するような第1主題で始まる第3楽章。
この第1主題の後半では16分音符とスタッカートで奏され躍動的な趣に。
第2主題は歌の調べ。
叙情味が漂う穏やかな歌。
展開部で再び第1主題が現れ活気のある雰囲気に。
再現部を経て迎えるコーダは第1主題の後半が用いられているとのこと。
力強く闊達に迎える曲の終わり。


このソナタもじっくりと耳を傾け聴くのは初めてに等しい曲です。
聴き終えて感じるのは陰鬱さなどを吹き飛ばしてしまうようなスケールの大きさでしょうか。
緩徐楽章ではホッとするものの両端楽章のダイナミックな趣。

クリーンの演奏では第1楽章の第1主題の後半部の瞬発力を感じさせるタッチが印象に残ります。
楽想の故でしょうか、じっくりと耳を傾けさせるというよりも
実直な感情を込めた演奏のように感じられます。

                
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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : シューベルト ピアノ・ソナタ クリーン

20:35  |  シューベルト  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●Re: こんにちは

rudolfさま、こんばんは。
いつも私の方こそありがとうございます。
今年の夏も、また楽しく・・・ありがとうございました。

シューベルトのピアノ・ソナタをクリーンの演奏でお聴きくださった本日の記事を拝読させていただきました。
コメントとともにありがとうございました。
今回の記事については私の紛らわしい書き方や間違いもありまして申し訳ありません。
初めてブログに登場したのが第13番と書いたのは良かったのですが、ディスク画像の上の曲番が本来「第14番」と書くべき所ですのに「第13番」と間違えてしまいました。
今日になり気付いて慌てて訂正をしましたが・・・もう、誤字、脱字等々のミスが多くて慌てることばかりです。


> この曲には後期の暗い感じも見受けられますね

今回の主役の第14番についてのrudolfさまのご感想を拝読し、そのようにも感じられますね。
複雑に絡み合う感情のようなものも・・・聴いていてシューベルトのピアノ・ソナタは難しい、と感じることが多々あるのです。
そしてまた、どうも聴いても記憶から早々と抜け落ちてしまうような。
このソナタも第13番を聴いた折に一度聴いていたのですが・・・今回、初めてじっくりと耳を傾けたのですが、まったく想い出すことがないままでした(T_T)

「ベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴くシリーズ」の終わり頃、アラウの例のBoxからの記事のコメントにrudolfさまが「シューベルトも良い」とお綴りくださいました時、すぐアラウでシューベルトのピアノ・ソナタから第18を聴き好感を抱きました。
やっと思い切って「シューベルトのピアノ・ソナタを聴くシリーズ」に足を踏み入れたのですが、ベートーヴェンのソナタよりも手強さのようなものを感じてしまいます。

ベートーヴェンのソナタと同じように、シューベルトのピアノ・ソナタも「シリーズ」化すれば、全曲(?)を聴く良い機会になりそうです。
ベートーヴェンのソナタは心に刻まれる旋律が多々あるのですが、シューベルトの方はあまり・・・どうして?何故?と自問をしつつシューベルトを聴いている日々になりました。

猛暑を通り越すような毎日ですね。
どうぞご自愛をなさってお過ごしくださいますように(*^_^*)
lumino | 2018.07.18(水) 21:06 | URL | コメント編集

●こんにちは

luminoさま  こんにちは

お久しぶりです 
いつもありがとうございます <(_ _)>

やっと シュベルト 13番 聴きました
クリーンさんの演奏 持っていましたから…
あああ 間違っていました、爆

14番も今聴き出しました 
少し思い出しています
この曲には後期の暗い感じも見受けられますね
シュベルトのピアノ・ソナタ かなり聴いてきたと思うんですが、覚えていないものもありますね

▼・。・▼
14番でエントリーだったんですね

rudolf2006 | 2018.07.18(水) 15:25 | URL | コメント編集

●Re: シューベルトの第14番は・・・

burleskeさま
コメントをいつもありがとうございます。

シューベルトのピアノ・ソナタでは初期、中期はあまり聴く機会がないですよね。
「シリーズ」として開始をしなければ、やはり初期、中期のソナタを聴くことがなかったように思います。
このソナタ第14番もまた、(ベートーヴェンのソナタのように)心に強く食い込むような強い印象はあまり・・・というのが正直な感想になりそうです。
聴いている時には「良いなぁ」と感じるのですが、時間とともに・・・。

> 第3楽章冒頭がスメタナの『モルダウ』の冒頭に似ているそうですが、言われてみれば、『モルダウ』のテンポを速くした感じのようにも聞こえますね。

まったく気付かずに聴いておりました。
改めて聴き直してみますね。

burleskeさまは内田光子でお聴きになる機会が多いようですね。
今、ソナタ第16番を聴いているところなのですが、やはり内田光子の演奏は評価が良いみたいですね。
クリーンの演奏はまだお聴きになられたことがないそうですね。
手持ちのシューベルトの全集から今回、たまたまクリーンで聴いてみただけなんですよ。(無責任ですね)
クリーンの演奏で聴いたものの改めてこのソナタを他のピアニストで聴いてみたくなってしまいました。
lumino | 2018.07.16(月) 20:44 | URL | コメント編集

●シューベルトの第14番は・・・

シューベルトのソナタ第14番も普段あまり耳にしない作品ですが、聴いてみると、なかなか魅力的ですよね。
第3楽章冒頭がスメタナの『モルダウ』の冒頭に似ているそうですが、言われてみれば、『モルダウ』のテンポを速くした感じのようにも聞こえますね。
僕は久しぶりに内田光子で聴いてみましたが、こちらも感情表現豊かで、面白く聴かせてくれました。

ワルター・クリーンのピアノはまだ聴いたことがありません。
一度くらいは聴いてみたいと思うのですが、なかなか機会がないんですよねぇ。
burleske | 2018.07.15(日) 21:05 | URL | コメント編集

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