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2018.08/11(Sat)

Op.452 シューベルト:「3つのピアノ曲」D.946 by ピリス

シューベルトのピアノ・ソナタを聴くシリーズ」を変更して。
ピアノ・ソナタではまだ残っている作品があるようですがソナタの方は今回お休みを。
今日はピアノ曲ということで即興曲の部類に入る「3つのピアノ曲」D.946 を。

さて、「3つのピアノ曲」。
手元にあるディスクで目に付いたのがアラウとピリスです。
ピリスの演奏で聴いてみました。

シューベルト:「3つのピアノ曲」D.946~シューベルト・エディション第1巻より
マリア・ジョアン・ピリス


452:シューベル .3つのピアノ曲~シューベルト・エディション第1巻~交響曲、管弦楽、室内楽、ピアノ作品集(39CD)
(収録曲)
シューベルト

即興曲D.935
3つのピアノ曲D.946

マリア・ジョアン・ピリス(P)
(録音:1997年9月 リスボン)

第1番:Allegro assai-Andante 変ホ長調;ホ短調 2/4拍子
第2番:Allegretto 変ホ長調 6/8拍子
第3番:Allegro ハ長調 2/4拍子


作曲されたのは1828年5月。
シューベルトの死の半年前になるそうです。
原題のDrei klavierstucks は「3つの小品」または「3つの即興曲」と表記されるとのこと。

1828年、シューベルトにとって最期の年、創作意欲は高まり
新しい交響曲D.936A(スケッチ、未完)を始め、ミサ曲D.950、弦楽五重奏曲D.956、歌曲集では「白鳥の歌」などが書かれたそうです。
ピアノ作品では最後の3つのピアノ・ソナタD.958、959、960 などの傑作が誕生しているとのこと。

この作品はブラームスが関与していることを知り興味を抱き聴いてみたくなりました。
3つのピアノ曲」はシューベルト亡き後、長い間忘れ去られていたそうです。
この曲集の価値を認めたのがブラームスだったとのことです。
ブラームスは匿名で編集をし「3つのピアノ曲」とのタイトルを付け出版したそうです。
出版されたのはシューベルトの死から40年を経た1868年。
ブラームスがいなければ永遠に忘れ去られていた曲集になるのでしょうか。

シューベルトが前年の1827年に作曲した「4つの即興曲」D.899 と D.935 の2つの即興曲に続く3つ目の曲集として書かれたものと考えられているそうです。
尚、第1、2番と第3番は別の紙に書かれているとのことで
これらの曲が一つの曲集として作曲されたものか
或いはブラームスによりまとめられたものであるかは定かではないそうです。

この曲集で、シューベルトは冗長と考え割愛、削除しようとしている個所も
ブラームスは充実に出版しているそうです。
親しみ易い作品として演奏される機会は多いとのこと。


ピリスで聴くシューベルトの「3つのピアノ曲

第1番。3部形式。
本来はA-B-A-C-Aのロンド形式で書かれたそうです。
シューベルト自身により後に冗長になるとの理由で C A の部分が削除 されたとのこと。

左手の3連符の早い動きで始まる第1番。
情熱的な激しさも感じられるようです。
躍動的な趣を経て中間部に。
中間部でアンダンテになり穏やかな調べに。
右手の語らいに左手の重々しい響きがゆったりと寄り添うよう。
右手が奏する調べは情熱を秘めたようにも感じられ
自由に夢想するかのような調べ。
時折響く短いアルペッジョは一抹の美しいスパイスのよう。
無限に続くかのような夢想する旋律。
続く穏やかで美しい歌の調べ。
曲の中では最も惹かれる旋律です。
冒頭の主題が奏され静かに閉じられる第1番。

第2番。ロンド形式。
歌の調べのような抒情的なロンド主題で始まる第2番。
この主題はシューベルトが1823年に作曲した歌劇「フィエラブラス」の合唱より引用されているそうです。

主題の抒情的な歌。漂う優しさ、柔和な調べで始まる第2番。
主題の合間を縫い現れる激しさが漂う旋律。
そしてまた、ピアノが切実に語りかけるような旋律も。
最後に再び抒情的なロンド主題が現れ静かに終わる第2番。
私が文章にすると味も素っ気もなくなってしまいますが
この曲集での一番のお気に入りになりました。

第3番。3部形式。
勢いを感じさせる活発な趣の主題で始まる第3番。
生命力に溢れているような主題。
中間部ではゆったりとした速度に。
愛らしい響きで紡ぎ出される右手の旋律が印象的。
ホッとするコーヒー・タイムのような中間部。
惹かれてしまう旋律美。
主題が戻り活発に切れ味良く奏され情熱的な趣を湛えつつ閉じられる第3番。


特別に期待をして耳を傾けた訳でもない「3つのピアノ曲」。
ピリスの演奏も一昔以上、耳にすることがありませんでした。
期待をせずに(作曲家と演奏者に対し何とも失礼な言い方)聴いてみました。
「3つのピアノ曲」を聴きピリスに抱いていた印象が一変しました。
第1番の冒頭から抑制を効かせたタッチ。
お気に入りになった第2番のロンド主題の抒情性豊かな歌の調べを紡ぎ出すピリスのタッチにはただ魅了されるのみ。
第3番、中間部での繊細さ。
好感を抱く演奏で聴き入っておりました。

この曲集の3曲、各々が個性的な作品として感じられるようです。
ピリスは気になる存在のピアニストの一人になりました。
ピリスでシューベルトのピアノ・ソナタを聴きたくなりショップ・サイトへ 。
ソナタ第21番と第16番のカプリングの一枚が目に付きました。
あまりシューベルトの作品の録音がないのが少々残念ですが
第21番を聴くことができるのですから大満足です。

ブラームスの存在がなければ陽の目を見なかったこの「3つのピアノ曲」。
ブラームスに感謝の念を抱きつつ耳を傾けておりました。

                 
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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : シューベルト ピリス 3つのピアノ曲 ブラームス

20:04  |  シューベルト  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●Re: ピリスのモーツァルトは、

burleskeさま
ありがとうございます。

ピリスのモーツァルトのピアノ・ソナタ全集でburleskeさまのお気に入りはDGの方なのですね。
ありがとうございました。

ピリス&アバド協演のモールァルト、ピアノ協奏曲第20番、27番も良いとのことですね。
偶然にも昨夜、急に聴きたくなったのがモーツァルトのピアノ協奏曲でした。
それも第20&27のカプリング。
カーゾン;ブリテン&イギリス室内O.で聴いていました。
ピリスの第20番・・・想像をして・・・「良さそう。聴きたい」になっています。
ショップのリストにモーツァルトのソナタ全集とシューベルトのソナタ第16&21番とともに登録をしてきました。
早く聴きたくなってしまいますね。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタをを聴くシリーズ」ではソロモン、ギレリスに目覚めたように、シューベルトのピアノ曲を聴いているうちにピリスの魅力に嵌り込んでしまったようです。
lumino | 2018.08.14(火) 20:00 | URL | コメント編集

●ピリスのモーツァルトは、

再びお邪魔します。
僕のお気に入りのピリスのモーツァルトの全集はDGの再録音の方です。
実は旧録音は聴いたことないんですよねぇ。
ピリスのモーツァルトはアバドとのピアノ協奏曲第20,27番もよいですよ。
burleske | 2018.08.13(月) 21:28 | URL | コメント編集

●Re: ピリスのシューベルトは・・・

burleskeさま
いつもコメントをありがとうございます。

この「3つのピアノ曲」はburleskeさまもピリスのディスクをお持ちなのですね。
本当に美しい響きですよね。
シューベルトのピアノ曲には美しい響きの作品が多いみたいですが、ピリスの演奏で聴くとまた格別ですね。

ピリスでソナタ第16番、21番もお持ちだそうですね。
まだ注文をしていないのですが、第21番がとても楽しみです。
そうですね、今後のピリスにシューベルト作品の録音を期待したいですね。

ピリスではモーツァルトのピアノ・ソナタ全集がburleskeさまのお気に入りだそうですね。
この「3つのピアノ曲」を聴きピリスに抱いたイメージがモーツァルトにぴったりのようにも感じられます。
ピリスのモーツァルト、ピアノ・ソナタ全集・・・やはり聴いてみたくなってしまいました。検討中に。
ショップ・サイトで探してみましたところ、デノンから発売されている旧録音とDG盤の新録音の2種の全集があるようなのです。
質問になってしまいすみませんが、burleskeさまがお気に入り全集はどちらになりますか?
lumino | 2018.08.13(月) 20:10 | URL | コメント編集

●ピリスのシューベルトは・・・

ピリスのD.946は僕も持っています。久しぶりに聴いてみましたが、きれいな響きと歌心で聴き惚れますね。
ソナタの第16番と第21番も持っているので、こちらも改めて聴いてみようと思います。
ピリスのシューベルトの録音が少ないのはほんとに残念ですね。これから録音してくれることを期待したいですね。
ちなみに、ピリスはモーツァルトが得意みたいで、ピアノ・ソナタ全集は僕のお気に入りの演奏のひとつです。
burleske | 2018.08.12(日) 21:00 | URL | コメント編集

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