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2018.09/01(Sat)

Op.455 ベートーヴェン:「創作主題による32の変奏曲」 by ギレリス 

ベートーヴェン変奏曲を聴くシリーズ」の2回目です。
今回は小型の「ディアベリ変奏曲」とも言われる「創作主題による32の変奏曲」を聴いてみました。
手持ちのディスクではアラウギレリスの2種のディスクがありました。
共にベートーヴェンのピアノ・ソナタではお気に入りのピアニストの3羽カラスのお二人。
先ずはギレリスで聴いてみました。
この作品もじっくり耳を傾けるのは初めてになります。

ベートーヴェン:創作主題による32の変奏曲
エミール・ギレリス~EMI録音全集より

455:ベートーヴェン:創作主題による32の変奏曲 エミール・ギレリスEMI録音全集(9CD)
(収録曲)
ベートーヴェン

ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 Op.73「皇帝」
  (セル&クリ―ヴランドO. 1968年録音)
創作主題による32の変奏曲 ハ短調 WoO80
ヴラニツキーのバレエ「森のおとめ」のロシア舞曲の主題による
   12の変奏曲イ長調 WoO71
創作主題(トルコ行進曲)による6つの変奏曲 ニ長調 Op.76
(録音:1968年)


作曲されたのは1806年、ベートーヴェン36歳の時だそうです。
ベートーヴェンの中期に属する作品。
曲としては演奏される機会が多いとのことです。
1806年から1808年はロマン・ローランが「傑作の森」と呼び多くの名作、大作が書き上げられた時期とのこと。

この「創作主題による32の変奏曲」には作品番号はなく
ベートーヴェンの死後、整理の際に WoO.80 の番号が付けられたそうです。

ベートーヴェンの創作姿勢に関してはピアノ用ソナタが最も実験的であると指摘されているそうです。
ピアニストであったベートーヴェンはピアノにより音楽思考を深め、ピアノ曲においてベートーヴェンの音楽思考が最も先鋭な形で現れているとのことです。
ピアノ曲の中で一層、その実験的性格が反映されているのが変奏曲とのこと。
ベートーヴェン的創作手法の変遷はピアノ用変奏曲の中に表れているそうです。
この作品は主題が内包する可能性を余すところなく汲み尽している点において、小型の「ディアベリ変奏曲」であると言えるそうです。

出版は翌、1807年4月にウィーンの美術工芸社より。
献呈はなし、とのことです。


ギレリスで聴くベートーヴェンの「創作主題による32の変奏曲

以下、自分の鑑賞メモ的に記しつつ感想を綴ってみました。
かなり雑然としてまとまりのないメモになってしまったようで。

曲の開始の主題は素早い動きで活気を感じます。
8小節の短いものだそうです。
ギレリスの演奏では0分18秒との記載。
この主題は簡潔ながら凝縮された音楽的可能性を内包しているとのこと。

続く変奏についてのメモ。
各変奏は続けて演奏されるように考えられているそうです。
各変奏は主題の形をだいたい保持しながら、そこに内在する音楽的可能性を引き出すベートーヴェン的性格変奏の形を採っているとのこと。
続けて演奏する意義として、次々と異なる音楽的気分を展開してゆくこと。
このような楽想の接合の手法は晩年の諸作に至るまで一貫して用いられた構成手法だそうです。

曲の演奏時間は約11分程。
32の変奏はいずれも短く、ブックレットに記載されている変奏で一番短いのは第7&8変奏、合わせて 0分11秒。
最も長い変奏では、第31&32変奏の 1分55秒。
ほとんどの変奏が秒単位のようですので、聴いていても次々と楽想が変わり演奏時間の約11分が実際よりも短く感じてしまいます。

32の変奏のうち最も印象的だったのは、第9から第11変奏。
第9変奏の内省的な美しさ、一転してドラマティックに。 
第10変奏でのゆったりとした調べ。
第11変奏での右手の小刻みな短い調べに乗り左手が奏する歌の調べ。

さてまた、ここでメモに。
続く変奏で第12変奏から第14変奏はハ長調とのこと。
他の変奏はすべてハ短調。

第31変奏についてのメモ。
第31変奏では主題旋律の再帰が図られているそうです。
ベートーヴェンが意図したのは主題の変容であり、異なる存在様態における主題の現象。
主題に内在する可能態としての本質の探究とのこと。
(独り言:苦手な哲学書を読んでいる気分になり頭が痛くなりそう)

最終の第32変奏についてのメモ。
32変奏のうち第31変奏までは主題の8小節構造が守られているそうです。
第32変奏のみが拡大され50小節になっているとのこと。

メモ書きばかりが多くなりました。
高揚感で迎える曲の終わり。


前回の「エロイカ変奏曲」と同じようにこの「創作主題による32の変奏曲」も
聴き始めると惹き込まれてしまいます。
感想を綴るために、変奏の変わり目に横に設置をしてあるCDプレーヤーのトラック番号を見つつですので、曲を聴いているのか、首の運動をしているのか・・・。
改めて各変奏を意識せずに通して聴いてみると、本当に変化に富んだ曲。
演奏時間も短い曲ですが、本当にアッと言う間に曲の終了。
この短時間の中に含まれる数多い楽想、各々の変奏の性格的な相違に耳を奪われます。

ギレリスのピアノタッチ・・・素直さを感じる、というのも変な表現かも知れませんが
その言葉が一番ピッタリのように感じます。
自然体で自ら愉しみながら演奏をしているような印象を受けるようです。
多々の要素が内包された変奏、各々の性格を誇張をすることなく
ピアノに語らせているギレリス。
好感を抱きつつギレリスの演奏に聴き入っておりました。
さて、これからアラウの演奏を聴いてみることに。


               
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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : ベートーヴェン 変奏曲 32の変奏曲 ディアベリ変奏曲 ギレリス アラウ

20:52  |  ベートーヴェン  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●Re: ベートーヴェンは変奏曲も魅力的ですね

burleskeさま
いつもコメントをありがとうございます。

burleskeさまもこちらのBoxをお持ちなのですね。
そうですよね、やはりピアノ協奏曲の方を主に聴いて変奏曲の方はオマケのように感じてしまいますよね。
私などは「32の変奏曲」がこのBoxに収録されていることすら今までウッカリ忘れていました。

ベートーヴェンの変奏曲、魅力的ですよね。
色々と変奏曲を続けて聴いているうちに次第に惹かれ始めました。
ピアノ独奏用の変奏曲の他にコメントを拝読して・・・「カカドゥ変奏曲」もあったのですね。
早速、手持ちのディスクを探したところスターン・トリオのディスクが見つかりました。
以前、聴いて気に入っていた筈の曲のような記憶があります。
改めて聴いてみますね。
変奏曲でもピアノ独奏用に留まらずピアノ・トリオ用やチェロ用の作品も聴いてみたくなってしまいます。
burleskeさまと同じように、聴いてみたい作品がまたまた増えてしまい嬉しく愉しい悲鳴(?)です。
lumino | 2018.09.03(月) 20:22 | URL | コメント編集

●ベートーヴェンは変奏曲も魅力的ですね

ギレリスのこのEMIの録音集は僕も持っていますが、やはりセルとのピアノ協奏曲がメインで変奏曲はオマケみたいに感じて、聞き流していました。
改めて「創作主題による32の変奏曲」、聴いてみましたが、変奏ごとの楽想の変化が面白くて、一気に聴かせてくれますね。
ベートーヴェンは変奏曲もじっくりと聴いてみると、やはり魅力的ですね。
ベートーヴェンの変奏曲にはピアノの他にも「カカドゥ変奏曲」みたいにピアノ・トリオのものなどもあるので、そちらも聴きたくなってきました。
また、聴いてみたい作品が増えてしまいますね。
burleske | 2018.09.02(日) 21:34 | URL | コメント編集

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