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2018.09/15(Sat)

Op.457 ベートーヴェン:「ユダス・マカベウスの主題による12の変奏曲」 by ケンプ&フルニエ

ベートーヴェン変奏曲を聴くシリーズ」。
今回はチェロとピアノのための変奏曲を聴いてみました。
ヘンデルオラトリオユダス・マカベウス」の主題による12の変奏曲

前回、「カカドゥ変奏曲」にお寄せ下さいましたコメントでフルニエの名前が眼に止まり聴いてみました。
この変奏曲を聴くシリーズを始めてから聴きたく思っていた「ユダス・マカベウスの主題による変奏曲」も収録されていましたのでた聴いてみることに。

こちらのBoxにはベートーヴェンのチェロ・ソナタ全曲と「ユダス・マカベウス変奏曲」他、2種の録音で収録されていました。
ピアノがグルダ(1959年録音)とケンプ(1965年)の2種。
お気に入りのケンプフルニエの協演で聴いてみました。

ベートーヴェンヘンデルオラトリオユダス・マカベウス」の主題による12の変奏曲
フルニエ~DG、デッカ、フィリップス録音全集より

(457)ベートーヴェン 「ユダス.マカベウスの主題による変奏曲 ピエール・フルニエ DG、デッカ、フィリップス録音全集
(収録曲)
ベートーヴェン

チェロ・ソナタ第1-5番(全曲)
ユダス・マカベウス」の主題による12の変奏曲 WoO.45
「魔笛」の主題による7つの変奏曲 WoO.46
「魔笛」の主題による12の変奏曲 Op.66

ヴィルヘルム・ケンプ(P)
ピエール・フルニエ(Vc)
(録音:1965年2月 パリ)


作曲されたのは1796年。ベートーヴェン26歳頃でしょうか。
前年、1795年にはリヒノフスキー侯爵(この作品はリヒノフスキー侯爵夫人に献呈)とともに
第1回のプラハ旅行に出かけ、1796年2月にも侯爵とともに第2回のプラハ旅行に。
プラハからはベートーヴェンは単独でドレスデン、ライプツィヒ、ベルリンに足を向け約半年に渡る大旅行だったそうです。

ベートーヴェンがチェロとピアノのために作曲した変奏曲は3曲だそうです。
こちらの「ユダス・マカベウスの主題による変奏曲」、他にモーツァルトの「魔笛」の主題から2つの変奏曲。
いずれも1800年前後に書かれているとのこと。
ピアノ独奏用の変奏曲も1790年代の後半から1800年頃にかけ集中的に作曲されたとのことで
1800年前後はベートーヴェンの「変奏曲の時代」に相当するようです。
チェロとピアノ用に作曲された3つの変奏曲もベートーヴェンの「変奏曲の時代」の産物とのこと。

ピアノ曲の分野においてベートーヴェンは変奏曲からソナタへと移行し
チェロ作品でも同様に変奏曲からソナタへの移行が認められるそうです。

ユダス・マカベウスの主題による変奏曲」の初版譜には
『オブリガートのチェロを伴うクラヴサンないしピアノフォルテのための12の変奏曲』と記されているそうです。
主題になっているのはベートーヴェンが尊敬をしていたヘンデルオラトリオ<ユダス・マカベウス>から採られているとのこと。
ヘンデルのこのオラトリオは1747年4月にコヴェント・ガーデンで初演されたそうです。
ヘンデルの合唱曲の中でも広く知られている≪見よ、勝利の英雄の来るを≫は
オラトリオの第3部で英雄ユダを讃えて歌う民衆の合唱だそうです。
この歌の部分は1747年の初演時にはなく、1750年の再演の時にオラトリオ「ヨシュア」のために書かれた曲を転用したとのことです。
余談ながらこの旋律は讃美歌第130番「よろこべや」にも用いられているとのこと。


初版は1797年夏、乃至秋にウィーンのアルタリアから刊行。
献呈はリヒノフスキー侯爵夫人マリア・クリスティーネに。
自筆譜はウィーンの楽友協会に保存されているとのこと。


フルニエケンプで聴くベートーヴェンの「ユダス・マカベウスの主題による変奏曲」

主題:アレグレット 2/2拍子 ト長調
第4、第8変奏でト短調に転じているほかは調性的には大きな変化はないとのこと。

ピアノが主旋律を奏しチェロが伴奏、耳に馴染み深い旋律で曲の開始。
チェロの勇壮さを感じさせる伴奏に主題の旋律を奏するピアノ。

続く12の変奏。メモを兼ねつつ。
各変奏はいずれもピアノに重点が置かれ、初版稿に「オブリガート・チェロを伴った」変奏曲のスタイルを採っているとのこと。
これは当時の弦楽ソナタの様式であったそうです。
12の変奏は主題と終曲を枠として考えると
第1-3変奏、第5-7変奏、第9-11変奏、各3つづつの変奏を一組にし
その区切りの部分である第4変奏、第8変奏にト短調の変奏が置かれ調的対照性を成しているとのこと。
12の変奏はそれぞれに性格を異にしながらも主題の旋律を巡りつつ変奏を行っている点で共通性を保っているそうです。
尚、終曲が3/8拍子で書かれているのは、晩年の<ディアベリ変奏曲>を予告するものとのこと。

第1変奏はピアノ独奏による装飾的に奏される主題旋律。
第2変奏になりチェロの主奏。
ピアノは小川の流れのように流麗な伴奏を。
伸び伸びと歌うチェロの旋律に主題の面影が。
第3変奏では主題の面影はほとんど姿を消し
チェロとピアノが同時に力強く奏し始め
装飾的で華麗なピアノの独奏の後にチェロはピアノの伴奏役に。

第4変奏でト短調に。
伸びやかにゆったりと歌い始めるチェロ。
伴奏のピアノは自由な雰囲気を感じさせるよう。
この変奏ではチェロの調べに漂う哀愁が心に残るようです。
第5変奏で調性は再び元のト長調に。
細やかに装飾的に奏されるピアノとは対照的に
悠とした趣で奏されるチェロとの対話。
ゆっくりと第5変奏が終わり第6変奏に。
第6変奏ではチェロとピアノの対話からピアノが主となり流麗な調べを。
第7変奏、疾走するような趣のチェロ。
ピアノも軽やかリズミカルに応答。

変奏の区切りとして第8変奏でト短調に。
勇壮な力強さを感じさせつつ始まるこの変奏。
ピアノが主導で旋律を奏し、チェロとピアノの華々しい応酬のよう。
第9変奏で再び調性はト長調に戻り主題の面影が現れ
歩を刻むかのように奏されるチェロとピアノ。
行進を連想させるような第9変奏。
10変奏になりアレグロで。主題が原形で復活。
チェロが主旋律を奏し、ピアノは活発な伴奏を。
第11変奏ではアダージョに。
チェロが沈黙をする中、ピアノが和音を愛おしむかのようにに奏し始まる変奏。
そして現れるチェロは抒情性が漂うような緩やかな調べを。
ピアノ独奏になりゆったりと瞑想的な雰囲気を漂わしつつ歌うピアノ。
現れるチェロは穏やかに静かな趣。
チェロが歌う調べには瞑想的な雰囲気も。
チェロに寄り添うピアノ。
最後の第12変奏はアレグロ 3/8拍子。
生き生きとした活発な雰囲気の変奏。
闊達なピアノとチェロ。
主奏するチェロをピアノはトリルを奏しつつ力強く閉じられる曲。


ヘンデルの「ユダス・マカベウス」の主題を聴くと
必ず想い出すのが運動会の終了時。
優勝チームに表彰状が手渡される時に流れていた曲。
昔々の当時には「かっこ良い曲」ぐらいにしか感じていませんでした。
ベートーヴェンの手に掛かるとこの主題が生まれ変わるようです。
ベートーヴェンが作曲したいずれの変奏曲からも感じることですが
豊かな楽想に裏打ちをされた新たな息吹の作品として生まれ変わるようです。

印象的だったのは
第2変奏での主題の面影を残して奏されるチェロの歌。
第4変奏での哀愁を帯びたチェロの調べ。
第10変奏で主題が原型で現れ奏される調べに感慨に近い想いも。
続く第11変奏が最も印象深く心に残るようです。

フルニエとケンプの演奏。
曲の冒頭から惹き込まれます。
主題を奏し始めるケンプのピアノの響きの美しさ。
フルニエのチェロの伸びやかさ。
じっくりと聴かせ、時には心を打たれつつ耳を傾けていました。

入手しておきながら未聴だったこのフルニエのBox。
昨年1月発売でしたが既にショップでの取り扱いがなく
発売をされてから姿を消してしまう速さに驚きも。
求めておいて良かった、と痛感しているところです。
Boxが目に付く度に早く聴きたいと思いつつも手にすることがなく過ぎてしまった月日。
やっと、このBoxのディスクたちに耳を傾けられそうです。

                
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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : ベートーヴェン 変奏曲 ユダス・マカベウスの主題 フルニエ ケンプ ヘンデル オラトリオ ユダス・マカベウス

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Comment

●Re: ケンプ&フルニエのベートーヴェンは・・・

burleskeさま
いつもコメントをありがとうございます。

ベートーヴェンのチェロ・ソナタではケンプ&フルニエの演奏がお気に入りの一つになっているのですね。
ケンプ&フルニエのチェロ・ソナタは今回、「ユダス・マカベウス」を聴いた後に聴いてみました。
ソナタも変奏曲もじっくり聴かせてくれる「じっくり型」でお気に入りになりました。
「魔笛」の主題による2つの変奏曲も、モーツァルトの明るい軽やかさがベートーヴェン版になったようで、演奏もやはり「じっくり型」でしょうか。

グルダは今まで避けてしまうピアニストだったのですが、グルダ&フルニエの演奏は「新鮮で生き生きした雰囲気」とのご感想を拝読させていただき、曲想に似つかわしい演奏かも知れませんね。
そうですね、幸いディスクが手元にあるのですし、ケンプとグルダの聴き比べをしてみますね。
案外、気に入る演奏かも、です。
lumino | 2018.09.17(月) 20:20 | URL | コメント編集

●ケンプ&フルニエのベートーヴェンは・・・

ケンプ&フルニエのベートーヴェンのチェロ・ソナタは僕のお気に入りの演奏のひとつですが、変奏曲もじっくりと聴かせてくれて良いですね。
「魔笛」の主題による変奏曲の方も改めて聴いてみたくなりました。

フルニエのベートーヴェンはグルダとの録音も持っていますが、こちらは新鮮で生き生きした雰囲気が感じられるように思えます。
ケンプとグルダ、聴き比べてみると面白いと思いますよ。
burleske | 2018.09.16(日) 18:44 | URL | コメント編集

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