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2018.09/29(Sat)

Op.459 ベートーヴェン:「トルコ行進の主題による6つの変奏曲」 by ギレリス

ベートーヴェン変奏曲を聴くシリーズ」。
前回までのチェロ用の変奏曲から、今回は再びピアノ用の変奏曲に戻ってきました。
今回は「トルコ行進曲の主題による6つの変奏曲」。
タイトル中の「トルコ行進曲」を目にした時にモーツァルトのピアノ・ソナタ第11番第3楽章の「トルコ行進曲」かと早合点をして関心を抱いた変奏曲です。

過日、ギレリスの演奏で「創作主題による32の変奏曲」を聴き
その同じディスクからの収録曲です。

ベートーヴェン:トルコ行進曲の主題による6つの変奏曲
エミール・ギレリス EMI録音全集より


455:ベートーヴェン:創作主題による32の変奏曲 エミール・ギレリスEMI録音全集(9CD)
(収録曲)
ベートーヴェン

ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 Op.73「皇帝」
       (セル&クリーブランドO.)
創作主題による32の変奏曲 ハ短調  WoO.80
ヴラニツキーのバレエ「森のおとめ」のロシア舞曲の主題による12の変奏曲イ長調 WoO71
創作主題(トルコ行進曲)による6つの変奏曲 ニ長調 Op.76
 (録音:1968年 クリ―ヴランド)


作曲されたのは1809年。
「創作主題(トルコ行進曲)の主題による6つの変奏曲」で主題はベートーヴェンのオリジナルだそうです。
1811年秋から1812年にかけ、アウグスト・フォン・コツェブーの戯曲「アテネの廃墟」にベートーヴェンは劇付随音楽として作曲したそうです。
「アテネの廃墟」の第4曲「トルコ行進曲」に転用されていることから
この作品に「トルコ行進曲の主題による6つの変奏曲」とタイトルが付けられたとのことです。
「アテネの廃墟」は現在では序曲と「トルコ行進曲」以外、ほとんど演奏されないそうです。
「トルコ行進曲」はピアノ用の編曲でも親しまれているとのこと。
日常、よく耳にするのはこのピアノ用編曲ですね。
変奏曲になると他の変奏曲同様に聴いていて主題の変化に興味津々となってしまいます。

初版は1810年10月にライプツィヒのブライトコプフ&ヘルテル社から刊行。
献呈はF.オリヴァーとのことですが、どのような人物であるのか知りたくて調べたのですが、まったく分からずでした。


ギレリスで聴くベートーヴェンの「トルコ行進曲の主題による6つの変奏曲」
いつものように自分のメモを兼ねつつ。

主題:Allegro risolto
「トルコ行進曲」の主題の明るくりズミックな旋律での開始。
8分音符を主としてのリズムに交わる16分音符。
昔々、クラシック音楽に親しむ以前から耳に馴染んでいる親しみやすく簡潔な主題。

主題を終えて変奏に。
各変奏は技巧を凝らしたものではないが、力強く、単調さを感じさせない巧みな構成をみせているとのこと。
第1変奏から第5変奏までは主題の22小節構造。
最終変奏の第6変奏では拡大され57小節構造の後に主題の再帰部が接合され、変奏全体では82小節構造になっているとのこと。

第1変奏は右手が奏し始める旋律の愛らしさ、素朴な美しさを感じる音色。
左手は右手を支える良き相棒でしょうか。
この変奏でのギレリスの優しく柔和なタッチに心が和むようです。

第2変奏に移り、前奏の愛らしさは主題のリズミカルさに。
主題の姿は第1変奏よりも忠実な面影を。
第2変奏とこの変奏での微妙な変化。
ギレリスのタッチからは繊細な心配りが感じられるよう。

第3変奏では優雅な変奏として変容をする主題。
右手が紡ぎ出す優しい調べにトリルの装飾が生きているよう。

第4変奏では左手で刻まれるリズムで始まり
すぐに右手がアルペッジョ風に愛らしく奏される右手と左手の対話。
主題の面影は左手のリズムに現れているよう。
この変奏の終わり頃から主題の姿に近付きつつ
左手のタッチに加わる力強さ。

第5変奏、左手の川の流れのような伴奏にのり
右手が奏する調べは抒情性を帯びた歌のよう。
主題の面影は完全消滅をしているような。
この変奏曲の中では最も印象に残る変奏として耳に伝わります。

迎える最終変奏の第6変奏はPresto。
この変奏で主題の22小節構造が拡大され57小節構造に。
その後、更に主題の再帰部の接合で変奏は82章節構造に。

大幅に変容をしている主題。
右手が活発に鍵盤上を跳びはねるかのように。
均一に刻まれる左手も闊達な意気込みを感じさせるよう。
低音域を雄大な風情を感じさせつつ奏する左手。
右手の闊達な推進力で変奏が進んだ後に主題の復活。
ユーモアを感じさせるような明朗な変容を見せる主題。
明るく、リズミカルに閉じられる曲。


「トルコ行進曲」というタイトルを目にすると、一番に思い浮かぶのがモーツァルトのピアノ・ソナタ第11番。
モーツァルトとベートーヴェンの2曲とも巷で耳にする機会の多い曲である割りには
今まで、ほとんど意識をして聴いていなかったベートーヴェンの「トルコ行進曲」。
今回、じっくりと耳を傾ける機会になったようです。
個人的にはモーツァルトよりも好みに合っているのがベートーヴェンの「トルコ行進曲」。

ベートーヴェンの変奏曲はどの作品も明るく軽快な感じで耳に快いですね。
その快さは日頃、馴染んでいるベートーヴェンの音楽との隔たりのようにも感じられ
物足りなさのようなものも・・・・。
その物足りなさに似た感覚を払拭してくれるのが主題が変容する各変奏。
この変奏曲で印象に残るのは第1変奏と第5変奏。
第1変奏では右手が奏する素朴で愛らしい音色にも魅了され
第5変奏の抒情的なピアノの歌に惹かれてしまいます。

この曲でもギレリスの繊細で細やかな気配りを感じさせるピアニズムを感じます。
特に第1変奏では顕著にギレリスの魅力に触れるようです。

演奏時間は約6分とのこと。
ピアノ・ソナタへの道に繋がるピアノ用変奏曲は
ピアノ・ソナタのためのウォーミング・アップ?
短い演奏時間の中でキラリと光るベートーヴェンの魅力が
この変奏曲からも伝わってくるようです。

こちらのディスクに収録されている曲では
ヴラニツキーのバレエ「『森のおとめ』のロシア舞曲の主題による12の変奏曲」も軽やかでお気に入りです。

                
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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : ベートーヴェン 変奏曲 トルコ行進曲による6つの変奏曲 モーツァルト ギレリス

20:47  |  ベートーヴェン  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●Re: ベートーヴェンのトルコ行進曲は・・・

burleskeさま
いつもコメントをありがとうございます。

「トルコ行進曲」は知名度に比し、演奏家にとっては本格的(?)作品の亜流のような存在なのでしょうかね。
モーツァルトに比べベートーヴェンの「トルコ行進曲」には良い演奏がないように思われる、とのことですね。
やはりモーツァルトのようにピアノ・ソナタに組み込まれているのとは違い、ベートーヴェンの方は単なるピアノ小品扱いなのでしょうか。
と言う本人が、じっくりとベートーヴェンのトルコ行進曲」に耳を傾けたのは今回が初めての有様なのですが。

他の演奏でも聴きたいと思っているのですが、やはり録音は少ないのですね。
アラウのディスクなのですが収録曲に「創作主題による6つの変奏曲」がありましたので、このトルコ行進曲の変奏曲かと思ってしまいました。
burleskeさまのコメントを拝読し、「創作主題による6つの変奏曲」であってもよく見ましたところ作品番号が違っていました。
この「創作主題(トルコ行進曲)による6つの変奏曲」の方は作品番号76 でしたが、手元にあるもう一曲の「創作主題による6つの変奏曲」は作品番号が34になっていました。
作品番号をうっかりしてしまい・・・記事の該当文章を削除しました。
アラウはこの曲を録音していなかったのですね。
コメントに助けられましたm(__)m

「トルコ行進曲の主題による6つの変奏曲」はリヒテルの演奏があるそうですね。
リヒテルのディスクで探してみますね。
lumino | 2018.09.30(日) 16:04 | URL | コメント編集

●ベートーヴェンのトルコ行進曲は・・・

ベートーヴェンのトルコ行進曲は昔から馴染みのある曲ですが、モーツァルトのトルコ行進曲に比べるとなかなか良い演奏がないように思えますね。
ギレリスの「トルコ行進の主題による6つの変奏曲」、聴いてみましたが、魅力的な演奏で気に入りました。
でも、「トルコ行進の主題による6つの変奏曲」も「エロイカ変奏曲」などに比べると録音が少ないみたいですね。
僕の持っているケンプとアラウのセットには収録されていませんでした。
その代わりリヒテルの録音があったので、改めて聴いてみようと思います。
burleske | 2018.09.30(日) 12:25 | URL | コメント編集

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