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2018.10/13(Sat)

Op461 ベートーヴェン:「ディアベリのワルツによる33の変奏曲」 by バックハウス

ベートーヴェン変奏曲を聴くシリーズ」。
シリーズの締め括りとしてベートーヴェンの変奏技法が駆使された集大成の
「ディアベリのワルツによる33の変奏曲」を。

この「ディアベリ変奏曲」は数ある変奏曲のうちでも圧倒的にディスクが多いですね。
手持ちのディスクで探したところ次々と「ディアベリ変奏曲」が出てきます。
どのディスクにするか迷った末にバックハウスの演奏で聴くことに。
私の大好きな10枚組の廉価盤からです。

ベートーヴェン:ディアベリのワルツによる33の変奏曲
バックハウスベートーヴェン名演集より


461:べートーヴェン:ディアベリ変奏曲 バックハウス、ベートーヴェン名演集
(収録曲)

ベートーヴェン:ディアベリの主題による33の変奏曲 Op.120
ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲 より

ヴィルヘルム・バックハウス(P)
(録音:ベートーヴェン 1954年)


作曲されたのは1819年から23年にかけてだそうです。
「ミサ・ソレムニス」と並行して書かれ、1822年に交響曲第9番第1楽章とともにその大半を創作。
1823年3月から4月にかけて最終的にまとめられたとのことです。

この作品はベートーヴェンの変奏技法を集大成した作品であり
バッハの「ゴルドベルク変奏曲」と並び変奏曲の最高傑作として称えられているそうです。

ベートーヴェンは「ディアベリ変奏曲」に “ Variationen ” ではなく“Veränderungen” と記しているそうです。
後者の語が採られているのは様態を移し替えていく「変容」が意図されている、と考えられるようです。
因みにバッハの「ゴルドベルク変奏曲」にもバッハの自作の表題には “Clavier Ubung bestehend in einer ARIA mit verschiedenen Veränderungen vors Clavicimbal mit 2 Manualen” と記されているとのこと。


(wikiドイツ)462 ベートーヴェン ディアベリ変奏曲 アントン.ディアべリ
Anton Diabelli
(1781年9月5日-1858年4月8日)

作曲の動機となったのは、オーストリアの作曲家兼音楽出版業のアントン・ディアベリの依頼だったそうです。
彼は自作のワルツ主題による変奏曲の作曲を何人かの作曲家(ツェル二ー、シューベルト、リストも含まれていたとか)に依頼をし
それを取りまとめ「祖国芸術家同盟」として出版する予定であったそうです。
ベートーヴェンはその案を嫌い自分だけで33の変奏曲を書き作品120として出版したのがこの曲とのこと。
初版の翌年1824年6月には「祖国芸術家同盟」第1部として再刊されたそうです。

献呈はブレンターノ夫人アントーニエに。
自筆譜は個人蔵(ドイツ)。
自筆譜のフォトコピーはボンのベートーヴェン・ハウスに。


バックハウスで聴くベートーヴェンの「ディアベリ変奏曲
いつもの自分のメモを兼ねつつ。

主題は単調だが構造的には豊かな可能性を内包したもので、外見の単調さと内実の複雑性がベートーヴェンの創作意欲を掻き立てたものと推測されるそうです。
この主題の以上の性格はベートーヴェン晩年の諸作の主題に共通する特徴でもあるとのこと。

ワルツのリズムに乗り弾みをもって主題を奏するピアノでの始まり。
明朗な主題。
バックハウスのピアノも軽やかに指が鍵盤上を飛び跳ねているかのよう。

続く変奏。
変奏は幾つかのグループに分かれるそうです。
ユルゲン・ウーデのグループ分けによると次のようになるとのこと。
1)発展群     第1変奏-第10変奏
2)コントラスト群 第11変奏-第20変奏
3)スケルツォ群   第21変奏-第28変奏(第24変奏はトリオ)
4)フィナーレ群  第29変奏-第33変奏

変奏は飛び飛びの感想等になります。

第1変奏(Alla marcia ,maestoso) は力強さを感じさせるタッチでの始まり。
行進曲風で力強い足踏みを感じさせるピアノ。
バックハウスの堅固なタッチが曲想にぴったりのよう。
第2変奏で趣は一転。

いつものように変奏の面白さ、楽しさを感じつつ耳を傾け・・・。
33の変奏を聴きつつ耳を奪われたのが第22変奏。
グループ分けによると 3)のスケルツォ群(21-28変奏)に属する変奏。
前変奏までとは一味、趣を異にするような雰囲気。
明朗な雰囲気の変奏。
この第22変奏はモーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」冒頭のレポレロのアリア<夜も昼も休む間もなく>の旋律が採られているそうです。
このアリアの一部も和声構造的に「ディアベリ」主題と重なるもので、変容の一例であると言えるとのこと。

次の第23変奏では素早いアルペッジョを奏するバックハウスのタッチに、またもや耳が釘付けに。

第24変奏(Fugato:Andante )はお気に入りに。
嬉しい事に変奏の中では長い演奏時間で2分54秒。
穏やかな瞑想的な調べのフガート。
優しい雰囲気に満ちているよう。

グループ分けの 4 )フィナーレ群、第29変奏から最終変奏がこの曲のグループ分けではお気に入りで魅力を感じる変奏です。
第30変奏(Andante sempre cantabile)の悲歌のような趣の調べ。
しんみりする優しさを感じる変奏。

第32変奏(Fuga:Allegro) は二重フーガの形がとられ晩年のベートーヴェンの作品を特徴づけるフーガ様式への傾斜を示す一例になっているとのこと。

第33変奏(Tempo di Menuetto moderato grazioso e dolce)もまた印象に残ります。
この変奏ではワルツの主題がメヌエットに変容され、ピアノ・ソナタ第32番の第2楽章主題との関連性を明確に窺わせる形を採り顕れているとのこと。
愛らしい調べの変奏。
愛らしさの根底に感じる素朴さが何ともいえずに魅力的。
左手の厳かに響く低音と右手の愛らしい響きのうちに力強く閉じられる曲。


この曲のディスクを出し、眺めては迷い・・・バックハウスにして正解?
今までのように各変奏にじっくりと耳を傾けることができずに
一度、流し聴きをしてこの曲に対して抱いた印象は、優しさに溢れた曲。
改めて約50分近いこの長い変奏曲を部分的にじっくりと聴き直し
やはり曲の全体に流れる優しい雰囲気に魅力を感じます。

バックハウスの演奏ではキツイかとも想いつつ。
まったくの杞憂でした。
バックハウスの演奏から優しさが滲み出ているような。
感傷に陥ることなく整然とした演奏。
その優しさ。

以前は「ディアヴェリ変奏曲」の曲名を目にしても
余り関心を抱くことがなかったのですが
バックハウスのこの演奏を聴き俄然、この曲の虜になってしまったようです。

                
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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : ベートーヴェン 変奏曲 ディアベリ変奏曲 バックハウス

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Comment

●Re: お早うございます

rudolfさま、こんばんは。
いつも押しかけコメントで失礼をしていますm(__)m

はい、やっと「ディアベリ変奏曲」に辿り着きました。
「変奏曲を聴くシリーズ」の当初から気になっていた「ディアベリ」でした。
長大な曲でもあり、近寄りがたい作品とのイメージもあり今まで尻込みをしておりました。

この曲はピアノ・ソナタ第32番と関連もあるようですし、献呈者にも注目をしてしまいました。
当時のベートーヴェンのアマーリエに対する「心の旅」を象徴するような曲かも、と勝手に想い描いたりしています。

> 聴き続けると 何かが得られるような気もします

この曲、聴き続けてみますね。
曲を書いていた当時のベートーヴェンの心に触れることができるような気もしていますが・・・。

嘗てrudolfさまの記事を拝読させていただき関心を抱き求めたハンス・リヒター=ハ―ザーのベートーヴェンの作品集。
探し始めて半年以上が経ったでしょうか、やっと先日見つかりました。
ハ―ザーの演奏で「ディアベリ変奏曲」も記事になさっていらっしゃいましたね。
ハ―ザーの「ディアベリ」も楽しみになってきました(^^♪
lumino | 2018.10.15(月) 20:45 | URL | コメント編集

●Re: ついにディアベリですね

burleskeさま
いつもコメントをありがとうございます。

尻込みをしていたのですが、やっと「ディアベリ変奏曲」に辿り着きました。

> ベートーヴェンのピアノ作品のなかでも「ディアベリ」と「ハンマークラヴィーア」は聴くまでになんか覚悟が必要な感じがしますね。
> でも聴いてしまうと惹き込まれてしまうんですよね。

そうなのですよね。私などは殊更です。
「ディアベリ変奏曲」を以前聴いた時(ピアニストは忘れてしまったのですが)にはあまり感じるものがなく、今回聴き「こんなに良い曲だった?」と、これまたいつものパターンで。
何なのでしょうね、やはりベートーヴェンの音楽の魅力?

この「ディアベリ変奏曲」に大きな魅力を感じてしまいburleskeさまのコメントを拝読して、シュタイアー、シフでも聴きたくなってしまいました。
早速、ショップ・サイトでシフのディスク探しを。
2種の演奏があるのですね。使用しているフォルテピアノ(この曲にはピッタリかも、ですね)に魅力を感じますます聴きたくなってしまいました。
シュタイアーとシフのディスクをいつか入手できることを夢見て、リストに入れてきました。
lumino | 2018.10.15(月) 20:06 | URL | コメント編集

●お早うございます

luminoさま お早うございます
お久しぶりです

いつもコメント ありがとうございます。
なかなかコメントができずに…

「ディアベリ」に来ましたね
この大きな変奏曲は 大作でもあり 意図も分かりにくい感じがしますね 
ただ 聴き続けると 何かが得られるような気もします
バックハウスの演奏は聴いたことがあるようにも 思うのですが あまり覚えていないような… また聴いてみますね(その前に CD探しをしないと行けないかもですが…)
ミ(`w´彡) 
rudolf2006 | 2018.10.15(月) 11:44 | URL | コメント編集

●ついにディアベリですね

ついに「ディアベリ変奏曲」の登場ですね。
ベートーヴェンのピアノ作品のなかでも「ディアベリ」と「ハンマークラヴィーア」は聴くまでになんか覚悟が必要な感じがしますね。
でも聴いてしまうと惹き込まれてしまうんですよね。

バックハウスの演奏は僕ももっています。
一見愛想がないように聴こえるのですが、luminoさまの仰る通り優しさが滲み出てくるようで、味わい深くてよいですよね。

他にアラウやゼルキンも素敵な演奏ですが、ピアノフォルテで演奏しているシュタイアーとシフも面白いですよ。
burleske | 2018.10.14(日) 21:31 | URL | コメント編集

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