2017.07/29(Sat)

Op.398 モーツァルト:「オーボエ、クラリネット、ホルン、バス―ンと管弦楽のための協奏交響曲」 by ジュリーニ&ベルリン・フィル

毎回、続いているモーツァルトの作品。
当拙ブログが「モーツァルトを聴くシリーズ」化してきたようです。
今日は、「オーボエ、クラリネット、ホルン、バス―ンと管弦楽のための協奏交響曲」K.297b です。
この曲を書き上げてから着手されたのが前回聴いた「フルートとハープのための協奏曲」とのことです。

協奏交響曲」K.297b。
ジュリーニベルリン・フィルで聴いてみました。
独奏管楽器奏者たち4人はベルリン・フィルの首席奏者とのことです。
 
           モーツァルト:管楽器のための協奏交響曲K.297b
                   ジュリーニベルリン・フィル


            (398)モーツァルト 管楽器のための協奏交響曲K.297b ジュリーニ&BPO
                        (収録曲)

                       モーツァルト
            交響曲第39番 変ホ長調 K.543
            管楽器(オーボエ、クラリネット、ホルン、バス―ン)の
                  ための協奏交響曲 変ホ長調 K.297b

                 ハンスイェルク・シュレンベルガー(Ob)
                 アロイス・ブラントホーファー(Cl)
                 ノルベルト・ハウプトマン(Hrn)
                 ダニエーレ・ダミアーノ(Bassoon)

                 カルロ・マリア・ジュリーニ指揮
                 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
             (録音:1991年2月 ベルリン イエス・キリスト教会)


          第1楽章:Alegro 変ホ長調 4/4拍子
          第2楽章:Adagio 変ホ長調 4/4拍子
          第3楽章:Andantino con variazioni 変ホ長調 2/4拍子


作曲されたのはモーツァルトの父宛ての書簡により1778年4月5日から4月20日の間
と推定されるようです。
過日に綴ったことと重複する点もありますが。
成人になり故郷のザルツブルクに飽き足りなくなったモーツァルトは
才能を存分に発揮できるより良い仕事の場を得るために
1777年9月から母アンナ・マリアに付き添われ初めて父レオポルドに伴われること
なくパリに旅立ったそうです。
この旅行では本来の目的を果たすことはできなかったとのこと。

寄り道になりますが。
この旅行中の7月にモーツァルトの旅に付き添っていた母マリア・アンナが病に倒れ
世を去ったそうです。
彼女はフランス語を話すことができず、パリで地位を得ようとして奔走する息子
モーツァルトを一人宿の中から見守り続け、息を引き取ったそうです。

話を元に。
パリに到着したモーツァルトは4人の名管楽器奏者たち
フルートのヨハン・バプティスト・ヴェンドリング、オーボエのフリードリヒ・ラム
バス―ンのリッター、ホルンのヨハン・シュティヒ(通称ブント)たちとの交友を
得たそうです。
4人のために1曲の協奏交響曲を作曲したのがこの作品とのことです。

曲を書き上げ1725年以来テュイルリー宮殿で行われる音楽会、コンセール・スピリチュエルで演奏するために総監督のジャン・ル・グロに自筆譜を売り渡したそうです。
演奏会用のパート譜作成の段階で自筆譜が紛失し作品は演奏されることがなかった
とのことです。

この作品はそのまま消失されたものとされていたそうです。
20世紀の始めに19世紀のモーツァルト研究家オットー・ヤーンの遺品の中から
1曲の協奏交響曲の筆写譜が発見されたとのこと。
その筆写譜ではフルートではなくクラリネットが用いられていたそうです。
ヤーンの「モーツァルト伝」(1905年、第4版)の校訂者ダイタースは
その中でこの筆写譜こそ消失したと思われていた協奏交響曲の編曲譜である
との説を提出したとのことです。
その説の根拠になっているのはモーツァルトの1778年10月3日付けの書簡にて
鮮明に記憶に残っているこの作品を帰郷後にもう一度書き下ろすつもりだ、と述べているそうです。
ダイタースのこの説は広く承認されたとのこと。
ケッヘル目録第2版では、おそらく真作として「Anh9」 の番号が付され
音楽学者アインシュタインが1937年に刊行したケッヘル目録第3版では
「K.297b」 の番号が与えられたとのことです。
この曲がモーツァルトの作品であるという客観的証拠がなく
真偽についての議論は絶えることがない、とか。
近年ではモーツァルトの作品ではないとの評価の方が多くなっているそうです。
1964年のケッヘル第6版では完全に偽作とされ番号も変えられ新全集からも
除外されたとのこと。
1990年代にはコンピュータを利用してこの曲をフルートを含む形に
編曲し直す復元の試みも為されたそうです。
尚、ヤーンの遺品から発見された筆写譜はベルリン国立図書館に所蔵。

CDのブックレットに吉成順氏の次のような記述がありました。
「曲そのもの、音楽の歓びに溢れた極めて魅力的な作品であることは間違いない。
その魅力があればこそ、多くの人々がモーツァルトの作品だと確信したのである」


ジュリーニベルリン・フィルで聴くモーツァルトの「オーボエ、クラリネット、ホルン
バス―ンと管弦楽のための協奏交響曲」

オーケストラが雄大に奏され始まる第1楽章。
雄大さ、重厚な響き。いかにも「交響曲」の開始のように感じられます。
弦楽器で奏される軽やかで生き生きとした第1主題。
オーボエと掛け合う第1ヴァイオリンと
オーケストラの重々しい響きが対照的な雰囲気。
管楽器たちの掛け合いにオーケストラは相の手を入れているかのよう。
第2主題の優美さも印象的。
ホルンとバス―ンが現れ始まる展開部。
4つの独奏管楽器たちの雄弁な会話。
オーボエの調べが印象的です。
生き生きとした雰囲気の中にも素朴さが漂っているように感じられます。
4つの独奏管楽器たちによるカデンツァでの楽しげな雰囲気を終え
オーケストラが雄々しく奏され閉じられる第1楽章。

弦のユニゾンで始まる第2楽章。
先ずバス―ンでゆったりと奏され始まる第1主題。
独奏楽器はバス―ンから次々と交替。
調べには美しさが漂う歌のよう。  
第2主題ではポーボエとクラリネットの対話。
この対話も穏やかな歌のよう。
展開部で歌い出すバス―ン。応えるオーボエ。
美しさと寂寥感が混じり合ったような趣を感じます。
ゆったりと歌う独奏管楽器たち。
じっくりと心ゆくまで語り合うような独奏管楽器たちの響きに惹かれます。
静かに淡々と支えるオーケストラ。
独奏楽器たちが静まりオーケストラが奏し始め静かに閉じられる楽章。

第3楽章は主題と10の変奏から成る楽章だそうです。
10の変奏は独奏者の技巧を引き出すためにさまざまな音型や楽器の組み合わせで
巧妙に書かれているとのこと。

前楽章から一転して愛嬌を感じさせる第3楽章の始まり。
明るく弾むような独奏管楽器たち。
弦やオーケストラも軽快な伴奏で。
この楽章からは独奏楽器たちが戯れているかのような印象を受けます。
戯れる楽器たちをしっかりと見守るように奏されるオーケストラ。
第10変奏で軽快な趣から速度を落とし、引き締めるように奏されるオーケストラ。
すぐに元のコミカルな軽妙さに。
生き生きと軽やかに迎える曲の終わり。


華麗な雰囲気より明朗で生き生きとした曲。
明朗さの中にも素朴な雰囲気が漂っているのも魅力に感じます。

今回、ジュリーニベルリン・フィルとベーム&ウィーン・フィルの演奏を
聴いてみました。
ベーム&ウィーン・フィルでは各独奏楽器の演奏に魅力を感じます。
他の曲と同様に味わい深い趣を感じる演奏。
好感を抱きつつ繰り返し聴いておりました。

ジュリーニ&ベルリン・フィルのモーツァルトも気になっていたので聴いてみました。
こちらのディスクは廃盤になっているようです。
録音当時、ジュリーニは80歳を目前にしていた頃でしょうか。
独奏楽器の4人の奏者たちはジュリーニから見れば子供や孫のような世代とか。
ジュリーニは独奏楽器奏者たちを引き立て、時にオーケストラは
一歩引き下がるような控え目さを示しつつも
オーケストラから重厚な響きを引き出し
軽やかさ、生き生きとした雰囲気も見事に醸し出しているように感じられます。
独奏楽器奏者たちとオーケストラとの息もピッタリ。
若き日のモーツァルトの作品。
演奏からも若々しさが溢れている協奏交響曲のように思います。
聴き始めた時よりも繰り返し聴いているうちにベーム盤と同様に
お気に入りの演奏になってきました。

                 

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2017.07/22(Sat)

Op.397 モーツァルト:「フルートとハープのための協奏曲」 by ゴールウェイ、ロブレス;マリナー&アカデミー室内管弦楽団

モーツァルトのクラリネット協奏曲から始まり、モーツァルトの管楽器による協奏曲
聴く日々が続いています。
今回もまたモーツァルト。「フルートとハープのための協奏曲」です。
この作品も昔々のLP時代に出合いお気に入りの曲です。

モーツァルトの管楽器による協奏曲作品のディスクを求めているうちに
フルートとハープのための協奏曲」も手元に3種。
ゴールウェイ、ロブレス;マリナー&ASMF のマリナー
ゴールウェイ、ヘルミス;カラヤンベルリン・フィルカラヤン
シュルツ、サバレタ;ベーム&ウィーン・フィルのベーム
この3種の中でマリナー盤を軸にして。


           モーツァルトフルートとハープのための協奏曲
             ゴールウェイ、ロブレス;マリナー&ASMF


           (397)モーツァルト フルートとハープのための協奏曲 ゴールウェイ.マリナー&アカデミー室内管弦楽団
                       (収録曲)
             フルート協奏曲第1番 ト長調 K.313
             フルート協奏曲第2番 ニ長調 K.314
             フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299

                 ジェイムズ・ゴールウェイ(Fl)
                 マリサ・ロブレス(Hrp)
                 サー・ネヴィル・マリナー指揮
                 アカデミー室内管弦楽団
                     (録音:1995年)


              第1楽章: Allegro ハ長調 4/4拍子
              第2楽章:Andantino ヘ長調 3/4拍子
              第3楽章:Rondeau – Allegro ハ長調 2/2拍子


作曲されたのは1778年4月と推測されているようです。
モーツァルトの管楽器のための協奏曲でフルート、オーボエ、ホルン、バスーンの
各協奏曲に引き続き着手されたとのことです。

モーツァルトは母アンナ・マリアに付き添われ1778年に3度目のパリ訪問をしたそうです。
母アンナはパリ到着して約2週間後の1778年4月5日、レオポルド宛の手紙に
次のような記述があるとのことです。

「ヴォルフガングは仕事をいっぱい抱えています・・・・ある公爵のために協奏曲を
2つ書かなければなりません。フルートのためのとハープのための、とです」

書簡の「2つの協奏曲」というのはアンナの思い違いで、モーツァルトが受けたのは
2つの楽器、フルートとハープのための協奏曲1曲の注文だったとのこと。
書簡中の依頼主の「公爵」というのは、ベルリン、次いでロンドン在住フランス大使を
務めた外交官アドリアン・ルイ・ボニエール・ド・スアストル・ド・ギーヌ伯爵(1735-1806)のことだそうです。

モーツァルトがド・ギーヌ侯爵と知己を得たのは、前2回のパリ滞在時
パトロンだったグリム男爵の引き合わせによるそうです
ド・ギーヌ侯爵について1778年5月4日にモーツァルトは父レオポルドに
次のような報告の手紙を記しているそうです。
「ド・ギーヌ侯爵はなかなか大したフルートの名手です。その令嬢に僕は
作曲を教えていますが、彼女もハープをとても上手に弾きます」

フルートとハープという珍しい組み合わせのこの作品は上流階級の
素人芸術家ド・ギーヌ伯爵とその令嬢をソリストに想定して書かれたそうです。

3楽章全体に置かれたカデンツァは本職の演奏家ではない独奏者のために
モーツァルトがあらかじめ全部の音符を書き出しているそうですが
モーツァルト自身によるカデンツァは消失してしまっているとのことです。
カール・ライネッケが書いたカデンツァがしばしば演奏されてきたそうです。
古楽器演奏では新たに演奏家がカデンツァを書くこともあるとのこと。

ここで少々、私自身苦手な音楽史を。メモとして。
このモーツァルトの作品のように複数の楽器を持つ協奏曲はバロック時代の
コンチェルト・グロッソに端を発しているそうです。
古典派の時代になるとソナタ形式の交響的楽章に協奏曲の技法を融合させた
サンフォニー・コンチェルタントに姿を変えモーツァルト滞在当時のパリでは
ことのほか持てはやされていたそうです。
尚、協奏交響曲と訳されているサンフォニー・コンチェルタントは
フランス語「サンフォニー」は「交響曲」というよりも「大規模な管弦楽曲」や
「合奏曲」との意味合いになるそうです。
このフルートとハープのための協奏曲は交響曲風な要素はほとんどなく
控え目なオーケストラを背景に2つの独奏楽器が主役として競い合う
あくまで純粋な協奏曲の部類に属しているとのことです。


ゴールウェイ、ロブレス;マリナー&ASMFで聴くモーツァルトの
フルートとハープのための協奏曲

独奏楽器のフルートとハープそしてとオーケストラが奏し始まる第1楽章。
この冒頭の第1主題の華麗さと清明な雰囲気。
曲の開始から心が洗われるような爽やかさになります。
第2主題ではホルンやオーボエの響きも。
第1主題同様にやはり華麗な趣。
主旋律が独奏フルートとハープのアルペッジョで。
華麗なハープの伴奏に独奏フルートからは愛らしさも。
マリナー&ASMF、オーケストラの控え目な響きが心地よく耳に響きます。
ハープの伴奏で歌うフルートを弦楽器たちのピッツィカートが支え
生き生きとした調べとして感じられるようです。
展開部に入り独奏フルートが奏する調べに漂う憂愁の面影。
ハープとフルートが一時交互に弾むように現れ
再びハープの伴奏で歌うフルート。
2つの独奏楽器が休みオーケストラだけが奏された後に
ハープで始まるカデンツァ。
フルートは高音域を主として奏し優雅に伴奏をするハープ。
優雅さから呟くように趣が変わるフルートとハープも印象的です。
カデンツァが終わりオーケストラの主導で閉じられる第1楽章。

第2楽章ではオーボエとホルンを除き弦楽器だけの伴奏になっているそうです。
弦楽器たちが奏する低音域でゆったりと始まる第2楽章。
悠々と流れるような調べを奏する弦楽器たち。
独奏楽器が現れフル―トとハープが奏する主題。
優美な歌を歌うフルート。
弦楽器たちと2つの独奏楽器が交互に現れては
束の間の会話を楽しんでいるかのよう。
フルートとハープが交互に主奏しての対話を経て加わる弦楽器。
カデンツァになり物想うような趣で奏し始めるハープ。
しばし沈黙をするフルート。
フルートが奏し始め伴奏に徹するハープ。
高音域で清明な調べを歌うフルート。
フルートのトリルでカデンツァを終えて弦楽器たちとの合奏に。
2つの独奏楽器と弦楽器たちで静かに閉じられる第2楽章。

弦楽器たちで奏され始まる第3楽章。
このロンド主題の踊るような軽やかさ。
管楽器が現れロンド主題を反復。
弦と管楽器のリズミカルな応答。
やっと登場する2つの独奏楽器。
ハープとフルートの典雅な雰囲気で奏される独奏楽器同志の対話。
ハープは新たに管楽器との対話に。
再び独奏楽器が奏するロンド主題に。
フルートのトリルから始まるカデンツァ。
ハープは主題を一音一音爪弾きつつ奏し、恰もピッツィカートのように聴こえます。
高音で主奏をするフルート。
カデンツァを終え独奏楽器とオーケストラで力強く華やかに迎える曲の終わり。


優雅、優美、典雅・・・何と雅やかな曲。
マリナー盤、カラヤン盤、ベーム盤の3種の演奏を聴き
少々気になったことから。
第1楽章冒頭の第1主題がマリナー盤とカラヤン盤、ベーム盤では異なって
いるように聴こえるのです。

モーツァルトFlute And Harp Concerto K.299 1stmov
この譜面では曲の開始から独奏楽器もオーケストラと同時に。
マリナー盤ではこの譜面通りに演奏されています。
ですがカラヤン盤とベーム盤では独奏楽器のフルートとハープが登場するまでに
序奏でもあるかのようにオーケストラのみの演奏があります。
カラヤン盤で1分30秒位、ベーム盤で1分33秒くらいでしょうか。
オーケストラの演奏が終わってから独奏楽器が現れるのですが。
マリナー盤、カラヤン盤とベーム盤のこの演奏の違いに「???」になっています。
私の聴き違いなのかと思い聴き直してみても・・・やはり、違うのですが・・・。

早々に脱線をしました。
3種の演奏を聴き個人的な好みでマリナー盤を中心にしてみました。
華麗さと素朴さの中庸の演奏のように感じます。
オーケストラのこじんまりとした佇まいの演奏は聴いていて落ち着きます。
ゴールウェイのフルートはやはり大らかな伸びやかさ、輝きがあり魅力的。
ハープのマリサ・ロブレスは初めて耳にする演奏でしたが流麗でフルートとともに
耳を奪うような演奏で聴き入ってしまいました。
ゴールウェイはこの作品の演奏は5回目の録音になるそうです。

以下に簡単ですがカラヤン盤とベーム盤を。

            モーツァルト:木管楽器のための協奏曲集より
                    カラヤン&ベルリン・フィル

            397:モーツァルト 木管楽器のための協奏曲集 カラヤン&ベルリン・フィル
                         (収録曲)

                フルートとハープのための協奏曲 K.299
                フルート協奏曲第1番 ト長調 K.313
                オーボエ協奏曲 K.314
               
                   ジェイムズ・ゴールウェイ(Fl)
                   フリッツ・ヘルミス(Hrp)
                   ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
                   ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
                    (録音:1971年 サンモリッツ)

過日、ゴールウェイのフルートではカラヤン&ベルリン・フィルの録音があるとの
コメントをお寄せいただき求めたディスクです。
カラヤン盤では独奏楽器とともにオーケストラも大活躍でしょうか。
テンポもサクサクと進み明朗で華麗な演奏。
オーケストラの響きの豊かさに負けないゴールウェイのフルート。
スケールの大きな「フルートとハープのための協奏曲」に出合うことができたように思います。 


         管楽器のための協奏曲&セレナードとディヴェルティメント集より
                     ベーム&ウィーン・フィル


           397モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲 ゴールウェイ:ベーム
                        (収録曲)
             フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299
             オーボエ協奏曲 ハ長調 K.271

                  ヴォルフガング・シュルツ(Fl)
                  ニカノール・サバレタ(Hp)
                  カール・ベーム指揮             
                  ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
         (録音:1975年5月 ウィーン、ムジークフェライン 大ホール)

演奏の好みとは順不同で最後になってしまいましたが、ベーム盤。
3種の中では最も地味な演奏に感じました。
シュルツのフルートの落ち着きのある音色。
ニカノール・サバレタのハープの堅実なサポート。
ベームの遅めのテンポで進む演奏からは風格すら漂い
味わいも感じられるようです。

三者三様の「フルートとハープのための協奏曲」に耳を傾け
真夏日の毎日との闘いにホッとした潤いのひと時を過ごすことができました。

                  

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2017.07/15(Sat)

Op.396 モーツァルト:「フルート協奏曲第1番」 by トリップ;べーム&ウィーン・フィル

先日、モーツァルトのクラリネット協奏曲をライスター;カラヤン&ベルリン・フィルで
聴いて以来モーツァルト管楽器による協奏曲に嵌り込んでいる日々に
なっています。
先日お寄せいただいたコメントを拝読させていただき
ベーム&ウィーンフィル そしてオーマンディ&フィラデルフィアO. も
首席奏者たちの演奏でモーツァルト管楽器による協奏曲
録音していることを知りました。

先ずはベームウィーン・フィルの7枚組を求め
1枚目のディスクから聴き始めています。
今日はフルート協奏曲第1番を。
ヴェルナー・トリップのフルート独奏です。

                 モーツァルトフルート協奏曲第1番
     ベーム~管楽器のための協奏曲&セレナードとディヴェルティメント集より


            396:モーツァルト フルート協奏曲第1番 管楽器のための協奏曲&セレナードとディヴェルティメント集 ベーム、
                        (収録曲)

                       モーツァルト
                 クラリネット協奏曲 イ長調 K.622
                 フルート協奏曲 ト長調 K.313
                 バス―ン協奏曲 変ロ長調 K.191

                   ヴェルナー・トリップ(Fl)
                   カール・ベーム指揮
                   ウィーン・フィルハーモ二ー管弦楽団
           (録音:1973年5月 ウィーン ムジークフェライン大ホール)

          第1楽章:Allegro maestoso ト長調 4/4拍子
          第2楽章:Adagio ma non troppo ニ長調 4/4拍子
          第3楽章:Rondo: Tempo di Menuetto ト長調 3/4拍子


作曲されたのは1778年1月或いは2月と推定されるそうです。
モーツァルト、22歳頃でしょうか。
1777年9月23日にモーツァルトは母とともにザルツブルクを出発して
マンハイムに旅立ったそうです。
宮廷音楽家として求職のための旅だったとのことですが職は得られずに
幾人かの優れた演奏家たちとの交友を得ることができたそうです。

交友を得た演奏家の中に当時ヨーロッパに名を馳せていた名フルート奏者
ヨハン・バプティスト・ヴェンドリングやオーボエ奏者のフリードリヒ・ラムなどが
いたとのことです。

                396:モーツァルト フルート協奏曲第1番 Johann Baptist Wendling
                  Johann Baptist Wendling
               (1723年6月17日-1797年11月27日)

このマンハイム滞在中に一連のフルートのための作品が書かれているそうです。
2曲のフルート協奏曲と3曲のフルート四重奏曲が2-3ヶ月のうちに作曲されとのこと。
ヴェンドリングの名人的演奏に啓発されることが多かったようです。

1777年12月10日付けの父宛ての手紙でモーツァルトは次のように書いているそうです。
「僕はいつものようにヴェンドリングのところに食事に行きました。その時、彼は僕に言うのです。私たちのインド人(これは財産があって自適していて、学問という学問を愛好し、しかも僕の大の仲良しで、僕の<崇拝者>のオランダ人です)のためにちょっとした軽く短い協奏曲を3曲と四重奏曲を2,3曲、フルート用に作ってくれれば、彼はあなたに200フロリーン差し上げます。」

ヴェンドリングの仲介によりモーツァルトはオランダ人フェルディナント・ジャンの
ために、3曲のフルート四重奏曲、フルート協奏曲第1番、第2番を書いたそうです。
後者のフルート協奏曲第2番はオーボエ奏者ジョゼッぺ・フェルナンディスのために
書いたオーボエ協奏曲を時間的余裕がなくフルート用に編曲し直したものとのこと。

初演 及び 自筆譜に関しては不明とのことです。


トリップベームウィーン・フィルで聴くモーツァルトのフルート協奏曲第1番

オーケストラで始まる第1楽章。
堂々とし且つ流麗な第1主題。次いで奏される第2主題。
独奏フルートが現れ奏する第1主題。
耳に馴染んでいる旋律です。
前回のクラリネット協奏曲同様にモーツァルトの曲を聴いていると
思わず口ずさみたくなる親しみを感じる旋律。
第2主題も伸び伸びと奏する独奏フルート。
屈託のない伸びやかな旋律。
オーケストラの後に奏されるカデンツァ。
カデンツァで伸びやかな調べから速いバッセージを奏する独奏フルート。
カデンツァを終えオーケストラで力強く閉じられる第1楽章。

オーケストラが低音域を重々しく奏しすぐに現れるホルンで始まる第2楽章。
ゆったりと歌うホルン。
第1主題が現れフルートとヴァイオリンが奏する美しく優しさを感じさせる調べ。
独奏フルートも第1主題を歌い続いて第2主題に。
淡々と歌い続ける独奏フルート。
悠とした趣で寄り添うオーケストラ。
再現部の後に現れるカデンツァは静かな趣で。
独奏フルートが第1主題を歌いつつ
静かに奏されるオーケストラで閉じられる第2楽章。

軽やかな明るさを感じさせる独奏フルートで始まる第3楽章。
ロンド主題の明るさ。
第1副主題での第1ヴァイオリンと独奏フルートの軽やかな掛合い。
第2副主題も弦楽器の伴奏で独奏フルートとの楽しげな会話をしているかのよう。
独奏フルートの伴奏をする弦のトレモロが美しく耳に伝わります。
爽やかで軽やかさに満ちた楽章。
オーケストラが語りかけるような雰囲気で迎える曲の終わり。


新しいディスクを手にすると先ずクラリネット協奏曲から聴き始めてから
次の曲を聴くというパターンになってきました。
今回もこのパターンでクラリネット協奏曲を堪能してからフルート協奏曲を。

このフルート協奏曲も懐かしいLP時代を彷彿と思い出します。
このディスクに収録されている3曲に耳を傾けつつ
先日聴いたカラヤン&ベルリン・フィルの演奏を想い出していました。

カラヤン&ベルリン・フィルとのキリッとした演奏も魅力ながら
ベーム&ウィーン・フィルの演奏に漂う穏やかさ、柔和な雰囲気に惹かれます。
オーケストラの温かく落ち着いた響きが各曲をじっくりと聴かせてくれるようです。

個人的にはクラリネット、バス―ンに比べフルートに対しての魅力は
減じるものを感じていました。
ですが、この曲でヴェルナー・トリップが奏するフルートの音色には
味わい深い温もりを感じられるようで好感を抱きます。
特に第2楽章での音色、響きには惹かれます。

このディスクに収録されている3曲に耳を傾けつつ
新たな魅力に触れることができたように感じています。
そして兼ねてからのお気に入りだったバス―ン協奏曲に耳を傾け
「この曲、こんなに良い曲だった?」と改めて感じ入ったりしています。
こちらのベームの7枚組セットに出合うことができ
各曲から新たな魅力を感じつつ・・・聴き比べに耳を奪われています。
オーマンディ&フィラデルフィアO.による演奏も聴きたい、と夢を見つつ。

                

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タグ : モーツァルト 管楽器による協奏曲 フルート協奏曲 トリップ ベーム ウィーン・フィル

20:44  |  モーツァルト  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2017.07/08(Sat)

Op.395 モーツァルト:「クラリネット協奏曲」 by ライスター;カラヤン&ベルリン・フィル

先日、ふとモーツァルトクラリネット協奏曲の第2楽章が耳に入ってきました。
昔、LPでよく聴いていた・・・懐かしいなぁ・・・と、またいつもの懐かしさに。
今日も「懐かしの曲シリーズ」でモーツァルトクラリネット協奏曲を。
初めて入手をしたモーツァルトクラリネット協奏曲のCD。
ライスターカラヤンベルリン・フィルです。
曲とともに演奏者も懐かしいメンバー。

                モーツァルトクラリネット協奏曲
                ライスターカラヤンベルリン・フィル


            395:モーツァルト:クラリネット協奏曲 ライスター、カラヤン&ベルリン・フィル
                       (収録曲)
                      モーツァルト
                クラリネット協奏曲 イ長調 K.622
                オーボエ協奏曲 ハ長調 K.314
                バス―ン協奏曲 変ロ長調 K.191

                    カール・ライスター(Cl)
                ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
                ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
          (録音:1971年8月 スイス サン・モリッツ フランス教会)

                 第1楽章:Allegro イ長調 6/8拍子
                 第2楽章:Adagio ニ長調 3/4拍子
                 第3楽章:Allegro イ長調 6/8拍子


この曲が作曲された日付けについては自筆譜もなく正確にはわからないそうですが
モーツァルトが記していた「自作作品目録」の書き込みによると
1791年9月28日から11月15日の間に書かれたと推定されるようです。

この曲の第1楽章は最初からクラリネットのために書かれたものでは
なかったそうです。
「バセットホルンのための協奏曲」K.621b を手直しした編曲で
原曲の草稿と編曲版でほとんど内容は変わらないとのことです。

このクラリネット協奏曲は協奏曲のジャンルの中でモーツァルトが遺した最後の
作品になるそうです。
またクラリネットのための唯一の協奏曲とのこと。

             396モールァルト クラリネット協奏曲 アントン.シュタードラー
                   Anton Paul Stadler
              (1753年6月28日-1812年6月15日)

この曲はモーツァルトの親しい友人で同じフリーメイソン結社の一員であった
アントン・スタドラーのために作曲されたそうです。
スタドラーはクラリネットとバセット・ホルン奏者でウィーン宮廷楽団に仕え
当時並ぶ者がないクラリネットの名手だったとのことです。
「クラリネット協奏曲」K.622 と「クラリネット五重奏曲」K.581 は
ともにスタドラ―の優れた演奏技法に触発されて作曲されたそうです。

モーツァルトの最晩年に作曲されたクラリネット協奏曲。
またいつもの寄り道を。
この作品が作曲された1791年、35歳のモーツァルトの足跡をメモとして。

3月:演奏会でピアノ協奏曲変ロ長調K.595 を演奏。
   これがモーツァルトが演奏家として舞台に立つ最後になる。
5月:「魔笛」の作曲開始。
   聖シュテファン教会の副楽長に任命される。
6月:前年に病気になったコンスタンツェが療養しているバーデンにたびたび
   見舞う。
   モテット「アヴェ・ヴェルム・コルぷス」の作曲。
7月:「レクィエム」の作曲を依頼される。
8月:弟子のジュスマイアーを連れプラハに旅立つ
9月:5日「皇帝ティートの慈悲」完成。翌日、プラハ国立劇場で初演。
   中頃にウィーンに戻る。
   28日「魔笛」完成。翌々日、ヴィーデン劇場で初演。
10月:「クラリネット協奏曲」完成。
11月:モーツァルト病床に臥す。
12月5日、モーツァルト生涯を閉じる。


ライスターカラヤンベルリン・フィルで聴くモーツァルトのクラリネット協奏曲

弦楽器の流麗な旋律で始まる第1楽章。
管楽器に移り奏されるこの第1主題。
この主題を耳にして久し振りに聴くモーツァルトの曲にホッとする気分です。
主役のクラリネットが登場し奏する第1主題。
そして悠とした雰囲気で第2主題を歌うクラリネット。
オーケストラに支えられクラリネットは伸び伸びと吹奏されているよう。
流麗でありながらも素朴さを湛えた楽章。
第1楽章を聴き終え、またもや・・・久し振りのモーツァルトに感銘を。

クラリネットが静かに素朴な雰囲気で奏され始まる第2楽章。
ゆったりと歌うクラリネット。
静かに寄り添うように奏される弦楽器。
この主題の素朴さを湛えた長閑さ。
暫くして加わるオーケストラ。
オーケストラの響きに郷愁のようなものを感じ、またもや懐かしさに浸っていると
耳に響くクラリネットの静かな調べ。
ゆったりと奏するオーケストラが奏し。
静かに響くクラリネットの調べ。
素朴で限りないくらいの美しさ。
感慨深さが一段と増してきます。 
淡々と歌うクラリネットが印象的。 
静かにクラリネットが歌いつつ閉じられる第2楽章。

前楽章から一転して快活な旋律で始まる第3楽章。
ロンド主題の快活さ。軽快さ。
クラリネットはオーケストラに話しかけるかのように。
応えるオーケストラ。
2者の対話の楽章でしょうか。
時にはオーケストラはスケールの大きさで応え
時にはリズミカルに応え。
クラリネットに生彩を与えているようなオーケストラ。
ロンド主題が奏されて軽やかに迎える曲の終わり。



モーツァルトの作品に接する機会はいろいろありましたが
この曲、特に第2楽章の心に染み入る調べは強く印象に残ります。
第1楽章の口ずさむことができる親しみのある旋律。
聴いていてホッとする調べ。
この曲を通して改めてクラリネットの音色、素朴さなど多々の魅力を感じます。

モーツァルトの人生の最後に書かれた曲かと思うと
感慨もひとしおのものがあります。

この曲に耳を傾けつつ
ライスターのクラリネット、カラヤンベルリン・フィルの演奏に
素直に、良い演奏だと感じています。
彼らの長年培われた「絆」の強さが感じられる演奏でしょうか。

このディスクには他に、オーボエ協奏曲、バス―ン協奏曲が
収録されているのも魅力です。
今更ながらですが、曲、演奏ともに感銘深いものを抱いています。

                  

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20:51  |  モーツァルト  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

2016.10/01(Sat)

Op.355 モーツァルト:「ヴァイオリン協奏曲第5番」 by オークレール;クーロー&シュトゥットガルト・フィルハーモニーO.

久々振り、数年振りに聴いたモーツァルトヴァイオリン協奏曲第5番。
先日、いつもお邪魔をさせていただいているブログでミシェル・オークレール
というヴァイオリニストを知りました。
オークレールの演奏でモーツァルトヴァイオリン協奏曲第5番を
お取り挙げになられていらっしゃった記事を拝読させていただき
是非、オークレールの演奏で聴きたくなりディスクを求めてみました。
8枚組Boxで私には大助かりな廉価盤。
ヴァイオリン協奏曲では他にブラームス、チャイコフスキー、ブルッフなどが
収録されており喜々として手にしました。

モーツァルトヴァイオリン協奏曲は5曲ともすべてお気に入りです。
第5番は長いこと第3楽章に関心を抱いていた曲です。
興味津々、楽しみにしつつ聴いてみました。

               モーツァルトヴァイオリン協奏曲第5番
                ミシェル・オークレール・ボックスより


             355モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番ミシェル・オークレール・ボックス
                         (収録曲)

            モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番 K.218
                    ヴァイオリン協奏曲第5番 K.219

                 ミシェル・オークレール(Vn)
                 マルセル・クーロー指揮
                 シュトゥットガルト・フィルハーモニー管弦楽団
                       (録音:1961年)

          第1楽章:Allegro aperto イ長調 4/4拍子
          第2楽章:Adagio ホ長調 2/4拍子
          第3楽章:Rondeau Tempo di Minuetto イ長調 3/4拍子


モーツァルトは1773年と1775年にヴァイオリン協奏曲を5曲作曲したそうです。
この第5番はモーツァルトが作曲した最後のヴァイオリン協奏曲で
前作の第4番から約2ヶ月後の1775年12月20日に完成したとのこと。

モーツァルトの協奏曲作品は一定の周期に集中的に作曲されているとのことで
その傾向が著しいのはヴァイオリン協奏曲だそうです。
5曲のヴァイオリン協奏曲のうち4曲は1775年、19歳の時に
作曲されているそうです。
これら4曲は1775年6月から12月にかけて故郷ザルツブルクで作曲されたとのこと。
ザルツブルクはモーツァルトが少年期に多くの長い旅行ののち
青年芸術家としての過渡的歳月をこの故郷で送ることになったそうです。

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲についての海老沢敏氏の記述を
引用させていただきます。
 「ザルツブルクで作曲された当時の数多い作品、特にヴァイオリン協奏曲の響きには故郷ザルツブルクの町をはじめとする南ドイツの音楽の反映とともに、かつての実り多い旅の思い出を鮮やかに聴き取ることができる」


全合奏で始まる第1楽章。
第1ヴァイオリンが奏するスタッカートが溌剌としています。
伴奏の第2ヴァイオリンとヴィオラの細やかな刻みも印象的です。
アダージョになり独奏ヴァイオリンが現れ奏される優しく美しい調べ。
オークレールが奏するゆったりとした優しさに惹かれます。
アダージョから再び始めのアレグロ・アぺルトに戻ると
独奏ヴァイオリンは活気を帯び明るく軽やかに。
のびのびと軽快に歌い続ける独奏ヴァイオリン。
カデンツァを経てオーケストラにバトンタッチをされ
生き生きと楽章の終わりに。

穏やかに奏される第1主題で始まる第2楽章。
第1ヴァイオリンの旋律に漂う長閑な雰囲気。
再現部になり独奏ヴァイオリンの登場。
甘美な調べを奏する独奏ヴァイオリン。
丁寧に弾き込まれる一音一音。
弱音が殊更に美しく耳に響きます。
噛みしめるかのように紡ぎ出される調べの端正な趣。
前楽章同様にオークレールのヴァイオリンに耳を奪われ通しです。

ロンドと記されている第3楽章は実際にはメヌエット楽章とのことです。
愛らしく軽やかな弦楽器の旋律で始まる第3楽章。
独奏ヴァオリンの軽やかさに心が弾むようです。
中間部になり一転して速度を上げて躍動的に。
早いパッセージを華々しく奏する独奏ヴァイオリン。
全合奏でトルコ風に。
コル・レーニョで奏する弦楽器群。
このコル・レーニョの部分はトルコの軍隊が行進をする時の
太鼓を表現しているそうですが
モーツァルトはこの曲で弦楽器の弓の裏側、木の部分を使い
弦を叩く奏法のコル・レーニョを取り入れて太鼓を表しているとのことです。
この演奏では勇壮で重厚な趣が漂うコル・レーニョ。
テンポが元に戻り生き生きと奏される主題。
曲は穏やかに終了。


第5番は第3楽章で奏されるコル・レーニョに関心があり
いろいろな演奏で聴いてきた曲です。
耳に焼き付いている旋律ですが、いつ聴いても新鮮さを感じます。
第5番以外の4曲からも同じように、いつ聴いても新鮮。
そして何故か、いつ聴いても 懐かしい のです。

               355モーツァルトPhotograph of young Michèle Auclair
                     Michéle Auclair
               (1924年11月16日- 2005年6月10日)

オークレールを始め指揮のマルセル・クーロー
シュトゥットガルト・フィルハーモニーO.の演奏を耳にするのも初めてです。

オークレールのヴァイオリンの優しい響きに惹かれます。
丁寧に弾き込まれたヴァイオリンの優しい歌のように感じられます。
曲に耳を傾けつつも独奏ヴァイオリンばかりに耳が集中してしまったようです。
オークレールはパリ音楽院卒業後にジャック・ティボーにも学んだそうです。
「女ティボー」と呼ばれたりしたとのこと。
30歳で現役を引退した後は後進の指導をしていたそうです。

この曲で一番の関心を抱いていた第3楽章のコル・レーニョ。
昔、まだカセットテープの時代にFM放送をエア・チェックをしました。
とても印象深いコル・レーニョでした。
コル・レーニョの部分を楽団員が床を靴で踏み鳴らすものでした。
愉しい雰囲気・・・を通り越したような陽気さ。
カセット・テープはすべて処分をしてしまいましたがこの演奏は
記憶に刻み込まれています。
残念ながら演奏者名はすべて記憶になし、ですが。

指揮者のクーロー(1912年-1986年)はミュンシュに指揮法を学んだそうです。
クーローが率いるシュトゥットガルト・フィルハーモニーO. の
ゆったりとした余裕のある響きにも好感を抱きました。

彼らの演奏はじっくりと聴かせてくれる第5番のように感じられました。
ブログがなければ出合うこともなかったディスク。
この演奏を聴きつつブログの存在に感謝を。

                  

テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : モーツァルト ヴァイオリン協奏曲 トルコ風 オークレール

20:04  |  モーツァルト  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑
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