♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.374 チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」 by パールマン;アシュケナージ&ハレル

過日、パールマンのワーナー録音全集の Box より
ベートーヴェンのピアノ三重奏曲の記事にお寄せいただいたコメントを拝読し
チャイコフスキーピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」を聴いてみました。
この曲は嘗て他の演奏で聴いたことがありましたが
記憶に残っているのは第1楽章の第1主題の旋律だけで・・・。
聴いていて掴みにくい曲、とのイメージを抱いていました。
以来、数年を経て耳を傾けこの曲との出合いに喜びを感じています。
演奏はまた、パールマンのワーナー録音全集より
アシュケナージパールマンそしてハレルです。

         チャイコフスキーピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」
                 アシュケナージパールマンハレル
                  パールマン、ワーナー録音全集より

              (HMV)374 チャイコフスキー ピアノ三重奏曲『偉大な芸術家の思い出』 パールマン、アシュケナージ、ハレル
                          (収録曲)

     チャイコフスキーピアノ三重奏曲イ短調 Op.50 「偉大な芸術家の思い出に」
 
                 ウラディーミル・アシュケナージ(P)
                 イツァーク・パールマン(Vn)
                 リン・ハレル(Vc)
                      (録音:1980年)


作曲されたのは1882年、チャイコフスキー42歳の時だそうです。
前年の1881年3月23日にパリで急死をしたチャイコフスキーの先輩であり
恩人のような存在であるニコライ・ルビンシュテインの死を悼み書かれた曲とのこと。
ルビンシュテインの死に伴いモスクワ音楽院の初代校長であった
ルビンシュテインの後任とされたチャイコフスキーは辞退をし
同年の11月にローマに旅立だったそうです。
ローマ滞在中にルビンシュテインの死を悼み、その霊に捧げるために
このピアノ三重奏の作曲に着手をしたとのことです。

曲は2楽章構成だそうですが、第2楽章が2つの部分に分かれているので
3楽章構成とみることもできるとのこと。

楽譜には「ある偉大な芸術家を記念して」と記されているそうですが
偉大な芸術家とはニコライ・ルビンシュテインを指しているとのことです。

              374:チャイコフスキー:「偉大な芸術家の思い出に」ルビンシュテイン
               Nikolai Grigorjewitsch Rubinstein
               (1835年6月2日 - 1881年3月23日)

ルビンシュテインはモスクワ音楽院の初代院長で
チャイコフスキーは無名時代からニコライの世話になり
そのお陰で世に出ることができたそうです。
ピアノ協奏曲第1番の作曲をめぐり2人の間には一時不和になった時期も
あったそうですがニコライに対するチャイコフスキーの畏敬の念は
変わることはなかったそうです。

初演は曲が完成した年、1882年ルビンシュテインの一周忌に
非公開で行われたそうです。
ピアノはセルゲイ・タニェエフ、ヴァイオリンはグルジマリーそしてチェロは
ドイツのチェリストでモスクワ管弦楽団のコンサート・マスターであり
モスクワ音楽院の教授を務めたフィッツェンハーゲンの演奏だったそうです。



悲劇的楽章と名付けられている第1楽章は
静かに流れるようなピアノを伴奏にチェロが奏する第1主題の旋律での始まり。
悲痛、沈痛な調べの第1主題。
第2主題になり抒情的に奏される穏やかさ、静けさ。
この主題に漂う調べの優しい美しさは
亡きルビンシュテインへの慰霊の調べのように感じられます。
さて、主題はチェロからヴァイオリンに受け継がれ。
ヴァイオリンとチェロが二重唱のように歌う主題。心に染み入ります。
今まで伴奏に徹していたピアノが奏し始める主題。
力強いピアノ。
アシュケナージのピアノは悲痛な想いを吹き飛ばすかのよう。
ピアノが奏する明るい力強さを感じさせる旋律。
加わるヴァイオリンとチェロ。
次第に情熱的な雰囲気に。
いつしか活発に奏される3つつの楽器たち。
チェロは素早いピッツィカートで、ヴァイオリンは軽快な歌を
そしてピアノは力強く。
3つの楽器たちは躍動するような趣に。
再び戻る静けさ。
静かに閉じられる第1楽章。

第2楽章は
「主題と変奏」、「変奏フィナーレとコーダ」の2つの部分から構成されているそうです。
ピアノが奏する主題で始まる第2楽章。
ルビンシュテインはロシアの民謡の歌や踊りが好きだったそうです。
チャイコフスキーがルビンシュテインやモスクワ音楽院教授たちと
郊外に出かけた折りにルビンシュテインの望みで農夫たちが演じた踊りや
歌から考えついたもの、と言われているそうです。
ルビンシュテインの死を悼む曲とは感じられないくらいに明るさを感じる主題。
歌謡風で親しみやすく軽やかさも感じる旋律。
主題に続く11の変奏も変化に富み耳を奪われるようです。
印象い深いのは第6と第7変奏でしょうか。

「変奏フィナーレとコーダ」になり力強く活発なピアノの旋律での始まり。
繰り返すヴァイオリンの明るさ。
躍動的に奏される3つの楽器たち。
第1楽章の第1主題が現れピアノとヴァイオリン、チェロが壮大な趣で。
楽器たちの掛け合いの活発さはエネルギッシュ。
重々しく響き渡るピアノ。
第1主題を奏するヴァイオリンから明るさは消え暗澹とした趣に。
耳を引くピアノのアルぺッジョの美しさ。
再び静けさが戻り第1主題を歌うヴァイオリンそしてチェロ。
ピアノで静かに迎える曲の終わり。


チャイコフスキーは室内楽を得意としていなかったそうで
また性格の違う3つの楽器を組み合わせたピアノ三重奏という形式は
嫌悪感をすら抱かせるものだったとか。
専門家ではない私にはそのようなことは微塵も感じられません。
今更ながら、とにかく素晴らしい三重奏曲。

1980年の録音とのことですので
アシュケナージ43歳、パールマン35歳、ハレルが36歳頃の演奏でしょうか。
こちらの3人による「偉大な芸術家の思い出に」は
悲痛さを殊更濃厚に強調する演奏ではなく
哀悼の意とともに回想する明るい気分を感じられるようです。
死を悼み悲痛な想いを込めて作曲した曲とは感じられないような明るさに
初めは戸惑いも感じてしまいました。
感情移入よりも明るく爽やかな心情で故人を回想をしているような演奏でしょうか。

アシュケナージのピアノの力強い、エネルギーを感じさせるピアノ・タッチが
印象的です。
主人公のピアノを支えるパールマンとハレルの控え目な演奏。
この曲自体の主人公がピアニストでもあるルビンシュテインであることを想うと
アシュケナージのピアノに耳を傾けつつルビンシュテインの化身のような
存在に感じられてしまいます。

志鳥栄八郎氏はこの曲を一言で、次のように記述されています。
 「ニコライとチャイコフスキーとの麗しい友情の記念碑」

                 
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Op.373スメタナ:弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」 by スメタナ四重奏団

偶然、耳に入ってきた旋律。
スメタナの弦楽四重奏曲第1番から第4楽章だったようです。
スメタナがお目当てで求めたディスクは嘗て一度もない有様。
「わが祖国」「モルダウ」など有名な曲があるにも拘らず
疎遠を通り越して無縁な作曲家だったように思います。

スメタナの弦楽四重奏曲第1番を是非、聴いてみたくなり
今更ながらにスメタナ四重奏団のディスクを入手してみました。
ディスクが届いてから毎日、耳を傾けている我が身の変わり様です。
スメタナの音で綴った弦楽四重奏曲第1番をスメタナ四重奏団で。

             スメタナ:弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」
                       スメタナ四重奏団


             (373)スメタナ.弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」スメタナ四重奏団

                          (収録曲)
           スメタナ:弦楽四重奏曲第1番 ホ短調 「わが生涯より」
                 弦楽四重奏曲第2番 ニ短調

                       スメタナ四重奏団
                    (録音:1976年2月12日-16日 プラハ)


          第1楽章:Allegro vivo appassionato ホ短調 4/4拍子
          第2楽章:Allegro moderato a la polka ヘ長調 2/4拍子
          第3楽章:Largo sostenuto 変ニ長調 6/8拍子
          第4楽章:Vivace ホ短調-ホ長調 2/4拍子


スメタナが遺した2曲の弦楽四重奏曲のうち第1番。
作曲の着手は1876年10月、同年暮れに完成したそうです。
曲の完成時には「わが生涯より」との副題は付けられていず
1879年3月25日の公開初演の際に付けられたとのことです。
自叙伝的な標題音楽とのこと。

この第1番についてスメタナは親友で著述家ヨゼフ・スルプ=デブルノフ
(1836-1904年)宛ての書簡の中で
「私の人生の思い出と、完全な失聴というカタストロフィーを描いた」
と述べているそうです。

スメタナの生涯についてまったく無知ですので
メモとしてCDの結城亨氏の解説からの引用を。
 「スメタナの生涯は実に波乱に富んだ一生であった。恋人カテルジナと結婚して幸福だったのも束の間、4人の娘のうち3人までもが次々病死したのに加え、愛妻も胸を病んで若死にしてしまった。
そして更にスメタナ自身も40歳頃から耳の病に冒されて次第に悪化、最後は精神異常を来して病院で60歳の生涯を閉じたのであった」

重複しますが手持ちの解説書からも引用を。

1849年、スメタナはカテジナ・コラジョヴァーと結婚。1859年に死別。
1874年7月、スメタナ54歳の時に失聴の微侯を自覚したそうです
8月には幻聴と強い耳鳴りに悩まされるようになり
秋が深まる頃には完全に失聴をしたとのことです。
名医たちの診察や治療を受けたそうですが効果はなく
スメタナの生涯における最も輝かしいページは終焉を迎えたそうです。
あらゆる公的な地位から引き下がり余生を作曲に送るしかなくなったとのこと。

1876年6月からスメタナは娘夫妻を頼りプラハの北東部にある村ヤブケニツェに
隠匿をして作曲に専念をしたそうです。
ヤブケニツェに於いて交響詩組曲「わが祖国」の完成
そしてプラハからヤブケニツェに転居をした4カ月後に誕生したのが
この弦楽四重奏曲第1番だそうです。

初演は1877年4月から6月にかけて(1879年3月26日の説も)
プラハのヨゼフ・スルプ=デブルノフの家で何回か試演をされていたそうです。
その時にはヴィオラをドヴォルザークが受け持ったとのこと。
公開初演は1879年3月29日、プラハの神学校の講堂で4名の奏者により
行われたそうです。
4名の奏者はスメタナが隠遁前に指揮者を務めてた国民劇場完成までの
仮劇場の管弦楽団の中心メンバーたちだったそうです。
この公開初演は成功を収めたとのこと。
公開初演は元来1877年2月のプラハ室内楽協会発足記念の演奏会で
初演される予定だったそうですがドイツ系の人々との反対があり
また、技術的に難しすぎて弾けない、様式的に問題がある、などの
言いがかりを付け外されたと推測されるそうです。

スメタナは友人のスルプ=デブルノフ宛ての書簡において
この作品の標題について詳しい説明を書いているそうです。
各楽章の冒頭にメモとして書簡に記されたスメタナの説明を引用。


第1楽章
「私の青年時代の強い芸術愛好、ロマンティックな雰囲気、自分ではよく分からない何かへの言い表し難い憧れ、それに、将来の不幸の知らせをも描いている」
 
ヴァイオリンが小刻みで弱く奏されるなか
ヴィオラが奏する第1主題の動機で始まる第1楽章。
第1主題の不安、緊張感。劇的な趣も漂っているよう。
第2主題では第1ヴァイオリンが奏する抒情性漂う調べ。
この主題の穏やかな旋律は第1主題の緊張感を解すかのようです。
印象に残る調べ。
ヴァイオリンの力度が強くなり情熱的な雰囲気に。
展開部で現れる第1主題からは激しい感情の高まりが感じらるよう。
この楽章の内省的で多様な心の在り様、時には激しく、時には寂しげな趣が
パノラマのように展開する楽章でしょうか。


第2楽章
「ポルカ風の楽章で、私の心に楽しかった青年の日々を甦らせる。その頃私はダンス音楽を作曲し、至るところで熱烈なダンス狂として知られていた。」

第1楽章の趣からは一転して4つの楽器たちが明朗に奏し始める第2楽章。
何とも愉しげな雰囲気。
ポルカのリズムで軽快で明朗に楽器たちも愉しげに奏されているよう。
第2ヴァオリンが現れ引き延ばすように奏され独特な雰囲気が。
この第2ヴァイオリンのパートには「トロンバ風のソロ」と記され
ポスト・ホルンのファンファーレのような響きが求められているそうです。
このパートはスメタナの旅行好き表しているとのことです。
そして明朗なトリオに。
主題の回想をするコーダを経て閉じられる第2楽章。


第3楽章
「このクァルテットを弾かれた方々のご意見では、演奏不可能という楽章であるが、のちに私の忠実な妻となった少女との初恋の幸福な思い出を私によみがえらせてくれる」。

威厳を感じさせるく暗いチェロの調べで始まる第3楽章。
静かで寂寥感を湛えた調べは美しくもあり、悲しげでもあり心に沁みる。
一時、4つの楽器が揃って奏され激しさも。
静かに閉じられる第3楽章
回顧するような趣で心に残る楽章。
スメタナにとっては「幸福な想い出」とのことですが・・・。
悲しみのベールに包まれた旋律として耳に響きます。


第4楽章
「民族的な要素を音楽で扱う未知を見いだし、せっかく仕事が軌道に乗り出して喜んでいたところへ、失聴になるというカタストロフィーが襲いかかってきて、挫折させられるまでを描く。それと、悲惨な先の見通しや、一抹の回復への希望も描いている。だが、それにしても、それまでの私の先行きが楽しみだった経歴を思い出すと、やる方ない無念さが胸に込み上げてくる」

軽快でリズミカル、溌剌と始まる第4楽章。
この第1主題の明るさ、活発さ。
第2主題では第1ヴァイオリンが主奏する旋律の何と愉しげな雰囲気。
この曲の中で最も愉しさを感じさせる旋律。
楽器たちも愉しげに弾む心で歌っているよう。
展開部では活き活きとした主題の変容。
再現部での愉しげな雰囲気が終わる頃に
速度を上げた後、奏されるトレモロ。
第1ヴァイオリンから金属的な高い音が出され
これは失聴の始まりを告げる突き刺すような耳鳴りの音、とのこと。
激変する音楽。
コーダでは暗澹とした雰囲気を経て現れる穏やかさ。
静かに消え入るように奏され、無音の中でチェロが弱いピッツィカートを3回奏し
迎える曲の終わり。


曲を聴き終え追悼番組でも観終えたような後味です。
曲の終わりのチェロのピッツィカートからは心臓の鼓動を連想し
鼓動が止まるように曲も終わりを迎えるように感じます。

第2番は第1番の姉妹作とのことですので
第2番にもじっくりと耳を傾けてみたいと思います。

スメタナ四重奏団の4者対等な演奏。
スメタナの息吹が伝わってくるようであり
スメタナの生涯を観ているような想いも抱きます。
目下、繰り返し聴いていたくなる一曲、演奏です。

                  
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Op.372 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第16番」 by アシュケナージ

前回、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲第6番を聴き
アシュケナージのピアノを聴きつつベートーヴェンピアノ・ソナタ
アシュケナージの演奏で聴いてみたくなりました。
中期以前のピアノ・ソナタを聴いてみたくなり第16番を聴いてみることに。
たぶん初めて耳にする曲ではないかと・・・。
曲が流れ始めた瞬間、明るさに惹かれてしまいました。

                  ベートーヴェンピアノ・ソナタ第16番
          アシュケナージベートーヴェンピアノ・ソナタ全集より


                 372(345) ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第16番 全集 アシュケナージ
                          (収録曲)

           ベートーヴェンピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 Op.27-2
                     ピアノ・ソナタ第15番 ニ長調 Op.28
                     ピアノ・ソナタ第16番 ト長調 Op.31-1

                  ウラディミール・アシュケナージ(P)
                      (録音:1977年 ロンドン)


              第1楽章:Allegro vivace ト長調 2/4拍子
              第2楽章:Adagio grazioso ハ長調 9/8拍子
              第3楽章:Rondo, Allegretto ト長調 2/2拍子


第16番 作品31-1。
作品31は3曲のソナタでなっているそうです。
 作品31-1 ト長調 第16番
 作品31-2 ニ短調 第17番≪テンペスト≫
 作品31-3 変ホ長調 第18番
これらの3曲のソナタは1801年から翌1802年にかけ並行して
書かれたそうです。
1802年の初めには完成、或いは大体の作曲は完了していたとのこと。
最初に出版をされたのは第16番、17番。
1803年4月にチューリッヒの出版社、ハンス・ゲオルグ・ネーゲリにより
彼の編集する「クラヴサン奏者演奏曲集」として出版されたそうです。
第18番は1804年5月或いは6月にピアノ・ソナタ第8番≪悲愴≫との組み合わせで
出版されたとのことです。
1804年にジムロック社から作品31の3曲がまとめて出版されたそうです。
自筆譜は紛失しているとのこと。
尚、この作品31には献呈者がいないそうです。


アシュケナージで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第16番。

弱音のピアノで軽やかに始まる第1楽章。
この第1主題は軽快な動機と付点リズムの動機からなっているそうです。
軽快さに付点リズムが溌剌とした雰囲気を加味しているような第1主題。
耳と心を釘付けにされる第1主題の晴れやかさ。
第2主題では弾むようなピアノ。
耳を傾けているうちにアシュケナージの指が鍵盤の上で
軽やかに舞っているような連想を。
この第2主題の軽快に弾む明朗さと親しみやすい旋律がとても印象的。
展開部では第1主題が主役でしょうか。
強音と弱音が交互に現れる第1主題。
経過部での華麗なピアノの旋律も印象に残ります。
コーダは独特な感じで、第1主題が度重なる休止を挟み奏されつつ
柔和な雰囲気で終わる第1楽章。

第2楽章は古くから南ヨーロッパの情緒を多くの人に連想させたそうです。
ピアノのトリルで始まる第2楽章。
この楽章は三部形式とのことで第1部では右手が奏する旋律の歌の優しさ。
歌は左手に移り変わることのない歌の甘美な趣。
夢見るかのような穏やかで優しい調べに聴き入ってしまいます。
中間部に入りスタッカートで奏されるゆったりとした旋律。
右手と左手が奏する鍵盤の対話からは無邪気な雰囲気も感じられるよう。
第3部ではスタッカートがあたかも通奏低音のように奏されつつ耳に届く旋律も
また歌を聴いているようです。
静かにゆっくりと閉じられる楽章。

優しく歌いだされるロンド主題で始まる第3楽章。
優しい歌から明るく活発な雰囲気に。
ロンド主題に似た趣の第2主題では盛り上がりも。
再びロンド主題に。
展開部では音楽が拡張されるような趣を感じます。
コーダでは変化するテンポの「動」と「静」。
左手の重々しく迫力のあるトリルを経て速いテンポで力強く
そして華々しく迎える曲の終わり。


たまたま聴いてみたベートーヴェンのピアノ・ソナタ第16番。
微塵の屈託も感じさせない明るい第1楽章。
第2主題はとても心に残り曲が終了してもこの主題が
脳裏の中で木霊をしているようです。
第2楽章ではトリルとスタッカートの多用さで動的な趣が印象的。
明るく活気を感じさせる第3楽章。
軽快で明るく、元気溌剌とした雰囲気が曲全体に感じられ
肩の凝らないソナタでしょうか。
あまりにも明るい曲で物足りなく感じる・・・という
贅沢な気持ちも微かに抱きつつも
ベートーヴェンのピアノ・ソナタの新たな一面に触れることができたように思います。

アシュケナージ、40歳頃の若い日の演奏になるのでしょうか。
ピアノの音色の美しさ、力まない軽やかなタッチにも惹かれます。
アシュケナージに抱いているイメージに
この曲はに合っているような気もしていますが。

                  
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Op.371 ベートーヴェン:「ピアノ三重奏曲第6番」 by アシュケナージ、パールマン&ハレル

昨年末に出合ったパールマンのワーナーとユニヴァーサルの2種のBoxは
手にする機会が最も多いものになっています。
昨年に続いて今年もまた耳を傾けている日々です。

ワーナーのBoxにはアシュケナージパールマン&ハレルの演奏で
ベートーヴェンピアノ三重奏曲全集が収録されているとの
コメントをいただいておりました。
ベートーヴェンの室内楽では1ピアノ三重奏曲も気に入っていますので
喜々として耳を傾けています。

ピアノ三重奏曲では一番のお気に入りの「大公」を聴く機会が多く
今回は第6番を聴いてみました。
第6番を聴いた記憶が定かではなかったのですが
聴いているうちに過去に聴いた記憶が甦り懐かしくもありました。

              371:ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第6番 パールマン・ワーナーBox
                        (収録曲)
  
       ベートーヴェンピアノ三重奏曲第5番 ニ長調 Op.70-1「幽霊」
                 ピアノ三重奏曲第10番 変ホ長調 Op.44
                 ピアノ三重奏曲第6番 変ホ長調 Op70-2

                ウラディミール・アシュケナージ(P)
                イツァーク・パールマン(Vn)
                リン・ハレル(Vc)
                  (録音:1979年6月-1984年4月)


    第1楽章:Poco sostenuto- Allegro, ma non troppo ハ短調 4/4拍子
    第2楽章:Allegretto ハ長調 2/4拍子
    第3楽章:Allegretto, ma non troppo 変イ長調 3/4拍子
    第4楽章:Finale. Allegro変ホ長調 2/4拍子


ベートーヴェンのピアノ三重奏曲の作品70は
2つのピアノ三重奏曲で成っているそうです。
作品70-1 第5番「幽霊」
作品70-2 第6番
作曲されたのはともに1808年とのことです。
この時期はベートーヴェンの創作が頂点に達していたそうです。
この同じ年1808年には交響曲第5番、第6番の完成
翌、1801年にはピアノ協奏曲第5番「皇帝」の作曲など。

この時期のベートーヴェンは作曲の主力をピアノ曲や交響曲に注ぎ
室内楽は比較的少ないそうですが、これらのすべての作品は
室内楽史上においては最も重要な価値を持つ作品とのことです。
しかし、作品70の2曲は演奏されることの少ない作品だそうです。

この2曲の作品は初めピアノ・ソナタとして計画されていたことが
ブライトコプフ&ヘルテル社宛てのベートーヴェンの手紙により
明らかにされているそうです。
2曲は初めは1曲として計画されたという説が有力とのことです。

さて、この第6番について大木正興、正純両氏は以下のように
評価をされている記述がありました。
「全曲は一貫して陽気な明るい気分が支配的だが、ベートーヴェン特有の迫力ある盛り上がりに乏しく、全体としてのまとまりも冗漫で緊縮性を欠き、高く評価されず、演奏される機会も少ない」
とのことです。
残念な評価ですが、専門家ではない私にとっては好感を抱くことができる曲であり
第5番「幽霊」、第7番「大公」ととともにお気に入りの曲。

初演は1808年12月末、クリスマス前後にウィーンのエルデーディ伯爵邸に
於いて行われたそうです。
ピアノはベートーヴェン自身、他の演奏者については不明とのこと。

献呈は前回のチェロ・ソナタ第5番同様に
エルデーディ伯爵夫人、アンナ・マリーに。

アシュケナージパールマン&ハレルで聴くベートーヴェンの
ピアノ三重奏曲第6番。

弦楽器が奏する仄暗さを感じさせる序奏で始まる第1楽章。
弦楽器の仄暗く不気味な趣にすぐに加わるピアノの華やかさ。
長い序奏で2分近くはあるようです。
序奏が終わり、やっと主部に。
チェロが奏し始める第1主題の軽快な明るさ。
溌剌とした雰囲気で時には3つの楽器たちがワルツでも踊るかのように。
第2主題では穏やかな美しさに。
屈託なく楽しげに語り合う楽器たち。
コーダでは速度を落とし静かに閉じられる第1楽章。
この楽章でチェロで奏し始める第1主題のフレーズが記憶を呼び覚まします。
気に入っていた主題。久しく耳にすることがなく忘れていたフレーズ。
懐かしさ。口ずさみたくなる調べ。明朗な旋律なのに郷愁も感じる現在です。

第2楽章は二重変奏曲の形式になっているそうです。
ピアノの瞬発的な打鍵がユーモアを感じさせるように始まる第2楽章。
第1主題の愛らしさ。
無邪気でお茶目な雰囲気も。
スフォルツァンドで鋭角的に奏される第2主題では力強さも。
対等に奏され応答する3つの楽器たちの会話には
ついつい耳を奪われてしまいます。
力強く終わる第2楽章。

ヴァイオリンが穏やかに和みを感じさせるように奏され始まる第3楽章。
ヴァイオリンが歌う第1主題。
簡潔で親しみを感じる反面、郷愁を感じさせる調べが印象的。
第2主題でのピアノと弦の応答には微かに激しさが。
静かに閉じられる第2楽章。
和みの楽章でしょうか。ゆったりとした趣に耳を奪われてしまいます。

活気を感じさせるピアノの導入で始まる第4楽章。
前楽章でウットリと聴き惚れていた気分が覚めます。
第1主題での活気と動的に奏される弦楽器
そしてピアノは流麗に。
活き活きと華々しい雰囲気。
雄弁に語り合う楽器たち。時には激しい会話は激論をしているかのようにも。
活き活き、溌剌とした旋律で曲が進み
コーダの終わりに音量を上げ力強い激しさの内に閉じられる曲。


ピアノ三重奏曲第5番「幽霊」と第7番「大公」に挟まれた第6番。
大公」の第2第楽章と第4楽章の溌剌とした明朗さが
この第6番では一貫して感じられ聴いていて爽快な気分になります。
久しく聴くことがなかったこの曲が第5番、第7番とともにお気に入りにりました。

曲が終了。もしもリサイタルだったら大きな拍手をしたいと思う演奏です。
ピアノ三重奏曲とは言え3つの楽器は対等に活躍し
室内楽の域を越えたスケール感も感じられるようです。

第4楽章では息をつめて聴き入ってしまいました。
楽理にはまったく疎い私はこの第6番にも第5第7番同様の魅力を感じます。
「演奏させれる機会が少ない・・・」ということが考えられないくらい。

パールマンの伸びやかなヴァイオリン。
アシュケナージのピアノに時折、燦然と輝くような音色にハッとしたり
特に第1楽章でのハレルのチェロ活躍には聴いていて心も躍るようです。
三者三様の素晴らしい掛合い。

久しく聴く機会がなく忘れてしまっていた第6番。
今回出合うことができ、このBox とお寄せいただいたコメントに感謝です。

                  
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Op.370 ベートーヴェン:「チェロ・ソナタ第5番」 by カザルス&ホルショフスキー

嘗てベートーヴェンチェロ・ソナタの第1番、2番を
カザルス&ホルショフスキー(1939年録音)の演奏で聴き
いつか第3番以降も聴きたい・・・と望みつつ
やっと「いつか」が訪れました。
気が付けば5年も経ってしまいました。
今回はベートーヴェンチェロ・ソナタ第5番を。

               ベートーヴェンチェロ・ソナタ第5番
                  カザルス&ホルショフスキー
         パブロ・カザルス・エディション 第2集《プラド音楽祭》より


          (HMV)370ベートーヴェン.チェロソナタ第5番カザルス.エディション第2集
                         (収録曲)

         
          J.S.バッハ: 無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調 BWV.1009
          ベートーヴェン::チェロ・ソナタ 第5番 ニ長調 Op.102-2
          ベートーヴェン:『仕立て屋カカドゥ』の主題による
                       変奏曲とロンド Op.121a 19:50

                 パブロ・カザルス(Vc))
                 ミエチスラフ・ホルショフスキ(P)
          (録音:チェロ・ソナタ第5番 1953年6月)     

          第1楽章:Allegro con brio ニ長調 4/4拍子
          第2楽章:Adagio con molto sentimento ニ短調 2/4拍子
          第3楽章:Allegro ニ長調 3/4拍子


ベートーヴェンのチェロ・ソナタ作品102は2つのソナタでできているそうです。
第4番 作品102-1
第5番 作品102-2
2曲とも作曲されたのは1815年とのこと。
作品102の2つの曲の完成はベートーヴェンの記録に依ると
第4番が1815年7月末ごろ、第5番が8月初旬になっているとのことです。
ベートーヴェンの最後のチェロ作品になるそうです。

作品102の2曲のチェロ・ソナタが作曲された1815年は
ウィーン会議が開催された年だったそうです。
会議は9カ月に及んだとのこと。
この会議による社会のお祭り騒ぎやベートーヴェン自身の身体不調などで
ベートーヴェンの作曲の筆は進まなかったそうです。

             370:ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第5番(作品102の2曲)Joseph Linke
                     Joseph Linke
               (1783年6月8日-1837年3月26日)

この2曲はイグナーツ・シュパンツィヒが第1ヴァイオリンを担当する
ラズモフスキー家の弦楽四重奏団のチェロ奏者ヨーゼフ・リンケのために
書かれたとのことです。
ラズモフスキー伯爵が1808年にウィーンにいたリンケを自邸の管弦楽団の
奏者として迎え入れたそうです。
同時にシュパンツィヒとリンケを中心に弦楽四重奏団を組織させたとのこと。
リンケは優れたチェロ奏者であり作曲もしたそうです。
彼は1814年にズモフスキー家が火災で全焼し四重奏団が解散するまで
四重奏団の一員として残っていたとのことです。

曲の献呈はエルデーディ伯爵夫人に。
伯爵夫人はベートーヴェンの音楽の良き理解者であり相談相手でもあったそうです。
ラズモフスキー家の弦楽四重奏団の技量を高く評価し
楽員とも親しく付き合っていたとのことです。
伯爵夫人はルドルフ大公、キンスキー侯爵そしてロブコヴィッツ侯爵の3人が
設定したベートーヴェンの年金問題についても尽力をしたとのことです。

ベートーヴェンはリンケのため、及びこの年の5月に息子を亡くし
ピアノが達者な伯爵夫人を慰め、感謝をする意味で
2曲のチェロ・ソナタを作曲するに至ったそうです。


上行するようにピアノが奏し活気を感じさせる第1主題で始まる第1楽章。
続くチェロも軽快に始まり、すぐに荘重な調べに。
ピアノとチェロの力強い応答を経て第2主題に。
跳ねるかのような愛らしさも感じる第2主題。
この主題の歌のような調べは心に残ります。
ピアノとチェロは伸び伸びと生き生きと会話を弾ませているよう。
コーダでピアノがクレッシェンドしてゆく様は華々しくまた力強さを感じます。
この盛り上がりのなか閉じられる第1楽章。

前楽章から一転してチェロとピアノが静かに暗い旋律を奏して始まる第2楽章。
第1部で主題に漂うチェロの調べの深い寂寥感。
チェロに寄り添うホルショフスキーのピアノからは
優しく慈しむような感じも受けます。
ふと気付くと旋律に漂う暗鬱さは長閑な趣に。
第2部になり穏やかに語るチェロ。
チェロとピアノの調べには明るさが感じられるように。
優美な雰囲気も醸し出されているよう。
第3部になり再び第1部のような暗さが戻り。
沈み込むチェロとピアノの調べ。
チェロが深く長い呼吸をするかのように奏され
ピアノも断片的な想いを語るかのよう。
耳を傾けていると心が静まるような気がする楽章です。
曲の中ではお気に入りの楽章に。

チェロ、次にピアノが音階風に奏され始まる第3楽章。
2つの楽器が奏するフーガ主題からは躍動的な雰囲気が。
活発に「動」を感じさせるチェロとピアノ。
チェロの奏する新たな主題の登場で
奏される2つの楽器からは壮大な趣を感じます。
鋭い切れとともに力強く迎える曲の終わり。


厳格さを感じさせるような第5番。
この曲の中では第1楽章の第2主題が歌を感じさせ趣で心に残ります。
第2楽章ではカザルスの凛とした趣で奏されるチェロを
優しく包み込むようなホルショフスキーのピアノが印象的です。
第3楽章のフーガでは一糸乱れないカザルスとホルショフスキー
聴いていて緊張感を抱きつつも耳を奪われてしまいます。

昨年、出合った書籍で感銘を受けた一冊に
アルバート・E・カーン著「パブロ・カザルス 喜びと悲しみ」があります。
この書の中でホルショフスキーについてのカザルスの一文を通し
ホルショフスキーに関心を抱き始めました。
プラド音楽祭の演奏を聴いてみたい、との想いが募ってきた折りに
こちらの カザルス・エディション第2集を知り求めてみました。
昨年来、少しづつディスクを聴いているお気に入りのBox の一つです。
この Box に収録されているカザルス&ホルショフスキーの演奏他に
これからもじっくりと耳を傾けてゆきたいと思うこの頃です。

                
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OP.369  シューベルト:エレンの歌Ⅲ「アヴェ・マリア」 by ボ二ー&パーソンズ

新しい年もすでに1週間が過ぎようとしています。
 今年もどうぞよろしくお願いいたします

2017年のスタートはシューベルトの歌曲で。
ボ二ーの歌で「エレンの歌Ⅲ:アヴェ・マリア」です。


           シューベルトエレンの歌Ⅲ「アヴェマリア」 D.839
                     ボ二ー&パーソンズ

             369:シューベルト:歌曲集 ボ二ー&パーソンズ

                     バーバラ・ボニー(S)
                     ジェフリー・パーソンズ(P)
            (録音:1994年4月 テルデック・スタジオ、ベルリン)
 
 
作曲されたのは1825年4月。
シューベルティアーデが盛んに催されていた頃だそうです。
シューベルトは28歳歳頃でしょうか。

曲は 3節の有節歌曲  変ロ長調  4/4拍子 
テンポは「非常にゆっくりと」と記されているそうです。
ウォルター・スコットの叙事詩「湖上の美人」に付曲。

              369スコット像エディンバラ
       エディンバラ、プリンス・ストリート・ガーデンのスコットの記念碑                  
                Sir Walter Scott, 1st Baronet
              ( 1771年8月15日 - 1832年9月21日)
         

湖上の美人」はイギリスの歴史小説家ウォルター・スコット作の叙事詩だそうです。
湖上の美人」はスコットランドのカトリーン湖を背景に
エレンを中心とした恋と武勇の話で全6篇からなっているとのこと。
独訳はアーダム・シュトルク。
このシュトルク訳にシューベルトは付曲をしたそうです。
この叙事詩の7つの詩にシューベルトは付曲をしているそうです。
エレンの歌Ⅲ アヴェ・マリア」はそのだ6番目の曲とのことです。

シュトルク訳では原詩の形式が各4行8詩節の民謡詩節に
変えられているそうです。
初版は1826年4月5日にウィーンのアルタリア社から出版され
この初版では英語の歌詩も添えられたとのことです。

この叙事詩のヒロインがエレン・ダグラス。
城主である王の仇討から逃れるためにエレンと父親はスコットランド高地の
コブリンの洞窟近くに身を隠している。
父娘は王に追放されてから、ハイランドの族長ロデリックに匿われてきた。
切羽詰まった逆境の中でエレンは湖畔の岩上で聖母像に額ずき
父の罪が許されるようにマリアの加護を求め祈りがこの曲だそうです。

因みに
エレンの歌Ⅰ」は第1篇31節で
狩りをして道に迷い疲れた兵士を休ませるためにエレンが歌う子守歌だそうです。
エレンの歌Ⅱ」は第1篇32節。「エレンの歌Ⅰ」と詩の内容に大差はないとのこと。

作曲された当時も「アヴェ・マリア」は多くの人々に感銘を与え
シューベルト自身が好んで歌って聴かせたそうです。

余談ですが。
湖上の美人」は1819年にロッシーニがオペラ・セリアとして作曲しているそうです。
台本はアンドレア・レオーネ・トットラで
原曲名はLa donna del lago とのことです。


ボ二ーの歌で聴く「アヴェ・マリア」。

ピアノ伴奏はハープを模しているそうです。
旋律もさることながら、ボ二ーの歌唱そのものが祈りとなり
耳に、心に染み入ります。
言葉に託された微妙な心が真摯に歌われているようにも感じます。
反復句の “Ave Mria ! ” という呼びかけは
各節の初めでは微妙に変化しているのが印象的です。
“Ave Mria ! ” との呼びかけの一つ一つが
繊細に歌い分けられているように感じます。

真摯な祈り、時には緊張感をともなう祈り。
第2節次の2行が印象的です。
 “Du lächelst, Rosendufte wehen
  In dieser dumpfen Felsenkluft”
微かに声量を落として優しく囁くように歌われ
辛苦の中で希望を垣間見る想いがするようです。
言葉を必要としないボ二ーの歌唱。
語ろうとすればするほど
祈りそのものの歌に言葉、文字は必要のないことを感じるのみです。

「エレンの歌Ⅰ」「エレンの歌Ⅱ」はまだ聴く機会がないのですが
聴いてみたく思います。

      ライン 

               エレンの歌Ⅲ:Ellens GesangⅢ D839

         (訳詞)
         アヴェ・マリア!優しき乙女よ、
         一人の娘の願いを聞いてください、
         この堅く険しい巌からも
         きっとたしの祈りはあなたへと届くでしょう。
         それでわたしたちは安心して朝まで眠っていられるのです 。
         世の人々がどんなに冷たくても。
         おお 乙女よ、この娘の不安を見て
         おお 母よ、願う子の声を聞いてください!
         アヴェ・マリア!

         アヴェ・マリア!汚れ無き方よ!
         わたしたちがこの巌で眠る時、
         あなたの護りがわたしたちを包んでくれ
         硬い巌も柔らかく感じられるのです。
          あなたが微笑めば、バラの香りが匂い立ちます
         この湿った岩間にも。
         おお 母よ、子の願いを聞いてください、
         おお 乙女よ、一人の娘が呼びかけています!
         アヴェ・マリア!

         アヴェ・マリア!清き女性よ、
         地の、空の悪魔たちを
          あなたの眼の慈しみで追い払い、
         わたしたちの側に住み着けないようにしてください。
         わたしたちはじっとこの運命に従います。
         あなたの神聖な慰めがもたらされるのですから。
         この娘にやさしく身をかがめてください、
         父の為に祈るこの子に。
         アヴェ・マリア!
                                   (若林氏訳)

         Ave Maria! Jungfrau mild,
         Erhöre einer Jungfrau Flehen,
         Aus diesem Felsen starr und wild
         Soll mein Gebet zu dir hin wehen.
         Wir schlafen sicher bis zum Morgen,
         Ob Menschen noch so grausam sind.
         O Jungfrau, sieh der Jungfrau Sorgen,
         O Mutter, hör ein bittend Kind!
         Ave Maria!

         Ave Maria! Unbefleckt!
         Wenn wir auf diesen Fels hinsinken
         Zum Schlaf, und uns dein Schutz bedeckt
         Wird weich der harte Fels uns dünken.
         Du lächelst, Rosendufte wehen
         In dieser dumpfen Felsenkluft,
         O Mutter, höre Kindes Flehen,
         O Jungfrau, eine Jungfrau ruft!
         Ave Maria!

         Ave Maria! Reine Magd!
         Der Erde und der Luft Dämonen,
         Von deines Auges Huld verjagt,
         Sie können hier nicht bei uns wohnen,
         Wir woll'n uns still dem Schicksal beugen,
         Da uns dein heil'ger Trost anweht;
         Der Jungfrau wolle hold dich neigen,
         Dem Kind, das für den Vater fleht
         Ave Maria!


いつもの蛇足です。おばさんの井戸端会議。
シューベルトが付曲をした7曲をメモとして。(Wikipediaドイツ語よりそのままコピー)

1.Ellens Gesang I D 837 „Raste Krieger, Krieg ist aus“/„Soldier rest! the warfare o’er“
2.Ellens Gesang II D 838 „Jäger, ruhe von der Jagd“/„Huntsman, rest! thy chase is done“
3.Bootgesang D 835 „Triumph, er naht“/„Hail to the chief“, Männerquartett (TTBB)
4.Coronach (Totengesang der Frauen und Mädchen) D 836 „Er ist uns geschieden“/„He is gone to the mountain“, Chorlied (SSA)
5.Normans Gesang D 846 „Die Nacht bricht bald herein“
6.Ellens Gesang III (Hymne an die Jungfrau) D 839 „Ave Maria! Jungfrau mild!“/„Ave Maria! maiden mild!“, Lied für Frauenstimme
7.Lied des gefangenen Jägers D 843 „Mein Roß so müd“/„My hawk is tired“

この7曲はシューベルトの歌曲集『湖上の美人』(Liederzyklus vom Fräulein vom See)とされているようです。
この歌曲集の存在を初めて知りました。
できることなら聴いてみたく思い、探してみたのですが見当たりません。
発売されているものなのでしょうか。
ご教示をいただけると助かります。

                
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Op.368 2016年 出合ったCDたちにありがとう!

今年もいろいろなCDたちとの出合いがありました。
出合うことができたディスクたちは特にこの数年来
音楽ブログを拝読させていただいたり
またお寄せ下さいましたコメントにより聴きたくなり求めたCDたちが主です。
今年出合ったCDたちの中で心に残ったものを思い浮かぶまま順不同になりますが。


先ずはシューベルトからです。
            シューベルト:歌曲集「美しき水車小屋の娘」
       ジェラール・スゼー~Schubert: Favourite Liederより

            330「水車小屋」Schubert: Favourite Lieder
             ジェラール・スゼー&ダルトン・ボールドウィン
                    
シューベルトの三大歌曲集の中で一番好きな「水車小屋の娘」。
大好きなシューベルトの歌曲をあまり聴くことがなかった今年ですが
スゼーのディスクとの出合いは心に残るものになりました。
スゼーの「水車小屋」には感嘆の心持ちになりました。
こちらは2枚組で1枚目に「水車小屋」、2枚目にはシューベルトの歌曲が
収録されています。
シューベルトの歌曲の中でも気に入っているものが多く収録されており
今年出合ったお気に入りのディスクの一枚になりました。


今年は私にとってはベートーヴェン再発見の年とでも言うのでしょうか。
例年になくベートーヴェンの作品に多く出合う機会があり
多々耳を傾けることができた一年でした。

以下、ベートーヴェンが続きます。
先ずはピアノ・ソナタから。
               ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集
                      クラウディオ・アラウ

            2016まとめ:ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集 アラウ

ベートーヴェンの作品はとても好きなのですが
長年、例外的にピアノ・ソナタは疎遠なジャンルでした。
自分でも不思議に感じるくらいに今年は急接近をすることに。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタのディスクをいろいろと求めては
耳を傾けるに日々でしたし、現在も進行中です。
ピアノ・ソナタに耳を傾けつつ 今までの長い年月を振り返り
自分はベートーヴェンの何を聴いてきたのか、との想いを抱いたりしました。
ソナタで最もお気に入りになっているのは第30番。
心の中で不動の位置を占めています。
当拙ブログでは既にブッフビンダーの演奏で登場しておりました。
お気に入りの全集の一つはアラウ、1960年代の録音です。

次はベートーヴェンの弦楽四重奏曲です。
               ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
                      ズスケ四重奏団

            2016まとめ:340ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第4番 ズスケ四重奏団

ベートーヴェンの作品では弦楽四重奏曲にも例年になく嵌り込むことに
なった年でした。
契機になったのは一昨年、ブログを拝読して求めたゲヴァントハウス四重奏団の
全集です。
この全集を聴き以前にも増してすっかりベートーヴェンの弦楽四重奏曲の世界に。
いろいろな四重奏団のディスクを求めた一年でした。
数種の全集のうちではズスケ四重奏団が印象に残っています。
長年、「ラズモフスキー第2番」が一番のお気に入りでしたが
第5番がお気に入りの座を占めている昨今になりました。

ベートーヴェンの交響曲では。
              ベートーヴェン:交響曲第1番~第8番
              ジュリーニ&スカラ座フィルハーモニー

       (HMV)368ベートーヴェン交響曲第1番~第8番ジュリーニ&スカラ座フィルハーモニー
 
ベートーヴェンの交響曲でもまたいろいろなディスクに出合うことができました。
印象に残っているのはジュリーニ&ミラノ・スカラ座のディスクです。
全集に収録されていなかった第9番を是非聴きたくベルリン・フィルや
ロンドン交響楽団のディスクを求めたことも思い出します。
ジュリーニのベートーヴェンを聴き今まで気付くことなく耳を通り過ぎて
しまっていたフレーズや楽器が克明に耳に届き
どの曲からも新鮮さを感じました。
演奏を聴いていると懇切丁寧な解説を読んでいるようにも感じられます。
私にとって「こんなに良い曲だった」との想いにさせてくれるのがジュリーニ。
そしてクレンペラーです。


我がことながら不思議にもシューマンに目覚めた年でもあったように思います。

              シューマン、ブラームス弦楽四重奏響全集
                       メロス四重奏団

             2016まとめ:シューマン、ブラームス:弦楽四重奏曲全集メロス四重奏団

こちらのディスクはブラームスが目当てで一昨年入手したものです。
シューマンの弦楽四重奏曲は今年になり、つい先頃聴き
第3番を聴いた途端にすっかりシューマンの世界に嵌り込んでしまいました。
シューマンの作品に嵌り込むとは自分でもまったく予想することもなく
私にとっては今年の音楽鑑賞の重大事件の一つになりそうです。
そして来年も引き続きシューマンになりそうです。


最後は再びシューベルトです。
                 セレナーデ~シューベルト名曲集
              ミッシャー・マイスキー&ダリア・オヴォラ

            2016まとめ:352セレナーデ~シューベルト名曲集 マイスキー

シューベルトの歌曲もブログに姿を現すことが少なくなってしまいました。
今年、一番手に取ることが多いディスクがマイスキー&オヴォラが
演奏するシューベルトです。
「アルぺージョーネ・ソナタ」の第2楽章が妙に心に染み入るこの頃です。
こちらのディスクに出合った秋以降マイスキー&オヴォラが奏する
シューベルトの調べが優しい子守歌のように心を和ませてくれます。
年越し蕎麦、ならぬ 年越し音楽はこのディスクとともに。


或る曲、または演奏を聴き、その作曲家、演奏家のディスクの多くを
聴きたくなってしまい、ディスク収集(?)の羽目に陥ってしまいます。
来年は・・・・どのような出合いがあるのか楽しみです。

拝読をさせていただくブログ
お寄せいただいた、お一つお一つのコメントにより
私の狭い音楽の範囲が年々、拡がってきています。
今年も誠にありがとうございました。
お健やかに新しい年をお迎えになり
新たな年がどうぞ良い一年となりますように。

                  
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Op.367 ベートーヴェン:「ヴァイオリン・ソナタ第2番」 by パールマン&アシュケナージ

今年もあと一週間を残すのみとなり内心、焦っております。
今日、慌てて年賀状を作成し・・・
日常、手抜きをしているしわ寄せで明日は、明後日は・・・。
頭の中でスケジュールが目まぐるしくなってきました。

今年の買い納めのディスクはパールマンのDG&DECCA録音全集になりました。
まだ、入手して聴きたいディスクは山ほどあるのに今年のCD購入資金はゼロ。

さて、先日、パールマンのワーナー録音全集よりブルッフのヴァイオリン協奏曲を
取り上げた際にコメントをお寄せいただきました。
パールマンの2種発売されているBox。
ワーナー録音全集とDG&DECCA録音全集の2種。
迷いに迷ってワーナー録音全集の方を求めましたが
DG&DECCAの全集も気になり諦めきれなかったものです。

お寄せいただいたコメントを拝読させていただき
諦めきれなかったパールマンのDG&DECCA録音全集を思い切って
求めてみました。
入手して本当に良かったと、日々聴いています。
お目当てだったベートーヴェンヴァイオリン・ソナタ全曲から
パールマンアシュケナージで今日は第2番を。

              ベートーヴェンヴァイオリン・ソナタ第2番
               パールマン~DG&DECCA録音全集より


                 367:ベートーベン.ヴァイオリン.ソナタ第2番 パールマン~DG&DECCA録音全集
                         (収録曲)

       ベートーヴェンヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 Op.12-2
                 ヴァイオリン・ソナタ第9番 イ長調 Op.47「クロイツェル」

                 イツァーク・パールマン(Vn)
                 ウラジミール・アシュケナージ(P)
                  (録音:1973年10月
                      ロンドン キングズウェイ・ホール)

           第1楽章:Allegro vivace イ長調 6/8拍子
           第2楽章:Andante più tosto Allegretto イ短調 2/4拍子
           第3楽章:Allegro piacevole イ長調 3/4拍子


過日のベートーヴェンヴァイオリン・ソナタ第1番と重複する内容になりますが。
ベートーヴェンが遺した10曲のヴァイオリン・ソナタのうち
第2番は作品12の3曲のソナタ、作品12-2。

1797年から98年にかけてこれら3曲のソナタが書かれたとのことです。
作品12の3曲のヴァイオリン・ソナタ、自分のメモとして。
 第1番 作品12-1 ニ長調
 第2番 作品12-2 イ長調
 第3番 作品12-3 変ホ長調

第2番は作品12の3曲のソナタの中ではモーツァルトの趣に一番近いものが
あるとのことから最も早い時期に書かれた、とも言われているそうです。

1792年11月にボンからウィーンに移り住んだベートーヴェン
ハイドンやサリエリ、フェルスター等に師事を詩作曲を学んだそうです。
作品12の3曲は師の一人、アントニオ・サリエリに捧げられたとのことです。


パールマン&アシュケナージで聴く第2番

ヴァイオリンの規則正しい音の刻みを伴奏にピアノの旋律で始まる第1楽章。
この第1主題のピアノが下降するパートは星の煌めきのよう。
またこの主題の軽快で明朗な旋律。
光明でもあるかのように心に刻まれる主題です。
ヴァイオリンとピアノが躍動的に奏されるさまは
まるで2つの楽器の元気溌剌な対話、お喋りのよう。
ピアノの軽やかな伴奏で歌うヴァイオリンも爽やか。
第2主題も明るく軽やか。
弾むようなヴァイオリンとピアノ。
コーダでは第1主題に基づいたヴァイオリンとピアノの応答。
凛とした雰囲気で閉じられる第1楽章。
ヴァイオリンとピアノの愉しげな会話を耳に
聴いているだけで気分も愉しくなるような楽章。

第2楽章は前楽章から一転した趣の第1主題の始まり。
ピアノが奏する第1主題には哀愁が漂っているかのよう。
ヴァイオリンが反復するこの主題。
哀愁と儚さを感じさせるヴァりオリンは心の琴線に強く触れます。
第2主題になり平穏な雰囲気の中で
ヴァイオリンに寄り添うようなピアノ。
思索するような、物想うような趣が漂っているようにも。
穏やかに閉じられる第2楽章。
第1楽章とは対照的な趣ですが惹かれる楽章です。

再び第1楽章の雰囲気に似て軽やかで明るいロンド主題で始まる第3楽章。
親しみを感じる主題です。
第2の主題が現れ流麗な趣に。
第3の主題では力強さが加わるよう。
明朗で軽快、伸び伸び、溌剌とした雰囲気が漂う第3楽章。
ヴァイオリン、ピアノの愛らしさが楽章全体に散りばめられているように感じます。
曲の終わりも軽快に。ピアノが一つの音を叩き迎える曲の終わり。


この第2番を聴いているとヴァイオリン・ソナタ第5番の「春」が
彷彿と想い出されます。
この第2番第1楽章の第1主題そして第3楽章のロンド主題。
第5番同様に明るい軽やかさが温もりのように伝わってくるようです。
温もりの中からは煌びやかな光が射し込んでいるようにも感じます。

今回、第2番を久々振りに耳にして
昔、かなり頻繁に聴いていた曲であったような・・・・。
旋律だけが脳裏に刻み込まれ、あまりにも親しみを感じる曲でありながら
曲番が思い付きませんでした。
第2番、認識を新たにしました。

パールマンとアシュケナージで聴き始めたベーとヴェンのヴァイオリン・ソナタ。
パールマンとアシュケナージの息の合った演奏。
耳に馴染んでいる曲ですがパールマンのヴァイオリンが新鮮に感じられます。
アシュケナージの生き生きとしたピアニズムが爽快。

第2楽章ではパールマンの表情豊かな演奏の再確認をさせられるようです。
聴いていて熱中する気分にさせるのではなく(アルゲリッチとの「クロイツェル」は例外として)冷静に耳を傾けることで曲の本質に導いてくれるような演奏のように感じられます。
パールマンのヴァイオリンを耳にしていると、ホッとした安堵感を抱きます。

ホッと一息の心のコーヒー・タイムに一枚取り出しては耳を傾けるのが
日課になりつつあります。
こちらのBox そしてワーナーのBox ・・・長い長いお付き合いになりそうです。
ゆっくり、じっくり、そして愉しみに。

                  
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Op.366 シューマン:「弦楽四重奏曲第3番」 by メロス四重奏団

ふとした時に、ふと聴きたくなる曲。
その時々によって聴きたくなる曲は違いますが
今回はシューマン弦楽四重奏曲を、ふと聴いてみたくなりました。
初めてシューマン弦楽四重奏曲に耳を傾けたのは2年前になるかと思います。
その当時のお気に入り順は第2番、1番、3番 だったようです。
今回、じっくりと耳を傾け第3番がお気に入りの筆頭になりました。
演奏はいつものメロス四重奏団で聴いてみました。

弦楽四重奏曲シューマン、ブラームスともに3曲遺し
ともにベートーヴェンの弦楽四重奏曲からの影響を受けたそうで。
ブラームスの弦楽四重奏曲では第3番がお気に入りでした。
今回、シューマンの第3番を聴きシューマン弦楽四重奏曲もまた第3番が
お気に入りになりました。
私にとっては何故か符合するブラームスとシューマン

                 シューマン:弦楽四重奏曲第3番  
      メロス四重奏団~ブラームス、シューマン弦楽四重奏曲全集より


            230シューマン弦楽四重奏曲第2番
                        (収録曲)
              
           シューマン:弦楽四重奏曲第3番イ長調 Op.41-3
           ブラームス: 弦楽四重奏曲第3番 変ロ長調 Op.67
                   
                      メロス四重奏団
                 ヴィルヘルム・メルヒャー(1st.Vn)
                 ゲルハルト・フォス(2nd.Vn)
                 ヘルマン・フォス(Vla)
                 ペーター・ブック(Vc)
                 (録音:第2番 1986年5月 
                     バンベルク ツェントラルザール)

  第1楽章:Andante espressivo - Allegro molt modeerato イ長調 4/4拍子
  第2楽章:Assai agitato - un poko adagio - Tempo risoluto
                                  嬰へ短調 3/8拍子
  第3楽章:Adagio molt ニ長調 4/4拍子
  第4楽章:Allegro molt vivace イ長調 2 /2拍子


シューマンが遺した3曲の弦楽四重奏曲 作品41。
これらの3曲は1842年6月から7月にかけ相次いで短時日のうちに
書き上げられたそうです。
3曲は各々の特徴を持ちながらもベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲からの
影響を受けているとのこと。
この第3番は3曲の中で最もしばしば演奏される曲だそうです。
そのわりには発売されているディスクが少ないみたいで・・・。

シューマンの日記には弦楽四重奏曲の作曲経過について
1842年6月から7月にかけ記述されているそうです。
門馬直美氏が四重奏曲についてのシューマンの日記を整理されて
いましたので簡略し一部分を引用させていただきます。

1842年:シューマン32歳(1810年6月8日生)
6月2日   四重奏曲を試み始める。
6月4日   イ短調(第1番)に着手。
6月11日  第2の四重奏曲に着手。
6月24日  第1の四重奏曲完成。
7月5日   第2の四重奏曲を書き上げる。
7月8日   第3の四重奏曲に着手。
7月22日  第3の四重奏曲完成―歓喜。

楽譜が出版されるまでの間にシューマンは更に多々、修正を施したそうです。

非公開の初演は同年9月8日、3曲はシューマン宅で行われたそうです。
第3番の公開初演は1848年1月18日に、第1・2番(公開初演1843年1月8日
ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサート・マスター、フェルディナント・ダヴィッドを
中心とする四重奏曲によって)と同様にゲヴァントハウスに於いて
行われたとのことです。


ゆっくりとした序奏で始まる第1楽章。
短い序奏ながら印象に残ります。
各楽器たちは溜め息をついているようにも感じられるようです。
主部に入り第1ヴァイオリンが奏する第1主題。
流麗な明るさを感じさせる旋律。
主題に続く新たな旋律は伸びやかに流れる歌のように。
第2主題ではチェロの歌が。
終始、華麗な歌を聴いているような楽章でしょうか。

第2楽章は変奏曲になっているそうです。
主題は動的な趣で第1ヴァイオリンに始まりヴィオラに。
第1変奏は主題よりも一層動的な雰囲気。
第2変奏は第1変奏とはっきり区別できなかったのですが
力強さが加わったような動的な趣に。
第3変奏になり速度を落とし、ゆっくりと静かに奏される主題。
穏やかな旋律に哀感が漂うようで美しい調べ。
第4変奏で一転して活発、躍動的に。
各楽器の存在が拡大されるかのように飛翔をするような雰囲気。
高揚感と生命力を感じます。
コーダになり再び穏やかに。
音を引き延ばし静かに名残惜しそうに閉じられる第2楽章。

第1ヴァイオリンが奏する第1主題で始まる第3楽章。
平穏な趣を感じさせる第1主題。
ゆったりと語り合う他の楽器たち。
第2主題になり第2ヴァイオリンの刻むリズムにのって
対話をする第1ヴァイオリンとヴィオラ。
旋律は流れのように進み第1ヴァイオリンが歌い続ける間
悠然とした調べを聴かせる他の楽器たち。
しばしば現れる第2ヴァイオリンの付点リズムが印象に残ります。
終わりの方で豊かに響くチェロのピッツィカートと
対照的な第1ヴァイオリンの歌も印象的。
落ち着いた趣で閉じられる第3楽章。
第2楽章同様に歌を感じる楽章。

明朗で躍動的な旋律で始まる第4楽章。
始まりのロンド主題の弾力のある明るさ、溌剌さ、活気。
口ずさみたくなる親しみ易さ。
一度耳にすると記憶に刻み込まれるようです。
続く第1、第2副主題の合間を縫い顔を出すロンド主題。
喜々とした明るさ、溌剌さ、活発さに満ちたロンド主題。
ロンド主題とともに心に刻まれるのが第2副主題。
明るい旋律を耳にステップを踏みたくなるような愉しさ、親しみ
そして愛らしさを感じます。
ロンド主題以上に心に刻まれる第2副主題の調べ。
活発に勇壮ささえ感じさせつつ力強く迎える曲の終わり。


この曲にもっと早く出会いたかった・・・と感じる曲の一つになりました。
特に第4楽章のロンド主題と第2副主題は心に刻み込まれます。
シューマンの作品の中でこのような明朗な旋律をもった曲は
他にあるのか思い付かないのですが。
とても気に入った曲になりました。

作曲された前々年、1840年9月12日にシューマンはクララと結婚。
そして翌1841年9月にはメンデルスゾーンが名付け親となった長女の
マリエの誕生等が思い浮かびます。
この曲に漂う明るさと温かさ。
シューマンの幸せな日々がこの曲にも反映されいるように思ってしまいます。

メロス四重奏団の演奏もも活き活きとして明るく
持ち前の歌を感じさせる演奏に切れ味の良さが加わり
耳を傾けていて爽快さを感じるようです。

聴き終えても第4楽章のロンド主題と第2副主題は
脳裏に焼き付き歌い続けているようです。
   
                 
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Op.365 ブルッフ:「ヴァイオリン協奏曲第1番」 by パールマン;ハイティンク&コンセルトヘボウO.

懐かしいヴァイオリ二スト、イツァーク・パールマン。
コンサートで初めて聴いたヴァイオリ二ストがパールマンでした。
友人の都合が悪くコンサートに行くことができないとのことで
頂き物のティケットでの鑑賞。
当時、若かったパールマンも今年で71歳のようですので早いものです。
あれから云十年。

今まで特別な関心を寄せることがなかったパールマンです。
Box も必要なし、と思っていました。
ですが懐かしさと収録曲に惹かれついつい手が。
EMI、TELDEC,、ERATOへの録音を集大成したワーナーのBox です。
各ディスクは紙ジャケット入りで発売当時のジャケット・デザインだそうです。
紙ジャケットの中にはブックレトが入っていました。
他にハード・カバー仕様のブックレットは100ページとか。
とても丁寧な作りでこのような Box に出合ったのは初めてです。
ショップの在庫特価でしたので助かりました。

このBoxからヴァイオリン協奏曲でお気に入りの曲を数曲聴き
求めて良かった・・・と。
Box に目を向けてはニッコリとしています。

              ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番
              パールマン~ワーナー録音全集より

         365:ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番イツァーク・パールマン/ワーナー録音全集より
                   
                       (収録曲)
          メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64
          ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 Op.26

                イツァーク・パールマン(Vn)
                ベルナルト・ハイティンク指揮
                コンセルトヘボウO.
            (録音:1983年1月24-25日 アムステルダム)

        第1楽章:Introduktion, Allegro moderato ト短調 4/4拍子
        第2楽章:Adagio 変ホ長調 3/8拍子
        第3楽章:Finale, Allegro energico ト長調 2/2拍子


曲の完成は1866年、ブルッフ28歳の時だそうです。
ブルッフは1865年から66年にかけてコブレンツの演奏協会で
指揮者の地位にあったとのことです。

ブルッフが残したヴァイオリン協奏曲は3曲。
第1番はメンデルスゾーン以来では最も多く演奏されるヴァイオリン協奏曲の
一つとして有名であり、またブルッフの代表的な傑作とのことです。
曲の形式は一般的な3楽章でありながらも
通常の協奏曲形式よりかなり自由なものになっているそうです。
例えば第1楽章は「前奏曲」とされていることなど。

初演は1866年4月24日にコブレンツの演奏会において
ブルッフ自身の指揮、ケルンのヴァイオリニスト、オットー・フォン・ケーニヒスロウにより行われたそうです。
この初演は好評だったそうですがブルッフは満足しなかったとのこと。
ヨーゼフ・ヨアヒムに助言を求めて改訂をしたそうです。
この大規模な改訂は1868年初頭まで行われたとのことです。
改訂版の初演は1868年1月7日、ブレーメンにおいてブルッフ自身の指揮
ヴァイオリン独奏、ヨアヒムで行われたとのこと。
この改訂版が現行の形で演奏されているものだそうです。

曲の献呈はヨーゼフ・ヨアヒムに。


パールマンで聴くブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番


静かに奏されるオーケストラで始まる第1楽章。
間もなく現れる独奏ヴァイオリンはカデンツァを。
第1主題の豪快さ。
第2主題での独奏ヴァイオリンが奏する旋律の優美な趣。
耳に馴染んでいる第2主題。
独奏ヴァイオリンの重音奏法が旋律に立体的な趣を醸し出しているよう。
独奏ヴァイオリンと弦楽器の抒情的で美しい対話。
展開部での第1主題。オーケストラの豪壮さ。
転じて伸びやかなオーケストラを伴奏に華々しく奏される独奏ヴァイオリン。
静かな雰囲気になり気が付くとアタッカで第2楽章に。

静かに弱く第1ヴァイオリンの語りで始まる第2楽章。
独奏ヴァイオリンに寄り添うかのようにオーケストラは美しい旋律を。
主題を奏する独奏ヴァイオリンの調べも抒情味に溢れて。
オーケストラが穏やかに奏される中に漂う独奏ヴァイオリンの
抒情性豊かな歌に耳を奪われます。
束の間ホルンが奏する主題も印象的。
甘美な旋律を歌い続ける独奏ヴァイオリン。
曲が進み盛り上がる力強い高揚感は圧巻。感動的。
再び主題を奏する独奏ヴァイオリン。
消え入るように静かに終わる第2楽章。

明るく華々しく始まる第3楽章。
心躍るような明朗さ。
第1主題を奏する第1ヴァイオリンの力強さと明るさ。
弾むような喜びでもあるかのよう。
記憶に刻み込まれている主題はこの曲の代名詞のようにも感じられます。
オーケストラのトゥッティで始まる第2主題は力強く豪快な趣。
独奏ヴァイオリンもまた豪快に。
展開部では音楽が視覚化されるような感覚も。
コーダに入り現れる第1主題の面影。
高揚感とともに速度も上がり豪壮に締め括られる曲。


数年振りに聴いたブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番です。
抒情美と豪快さが融和したような終始、惹き付けられる魅力。
耳に馴染みの旋律には懐かしさを感じてしまいます。
ブルッフの作品では「スコットランド幻想曲」がお気に入りですが
この第1番も改めて聴き魅了されるものがあります。

パールマンのヴァイオリンの音色に対しては特別に美音という印象を
抱いていなかったのですが
今回、数曲のヴァイオリン協奏曲を聴き素朴な抒情性を感じさせる演奏
に惹かれるようになりました。
虚飾がなく自然体そして素朴さを感じる演奏に好感を抱きます。
このブルッフの第1番ではコンセルトヘボウO.の透明感があり
弱音の美しい響きが独奏ヴァイオリンを生かしているようにも感じます。

Box の77枚のうち4枚にブルッフの作品が収録されていました。
スコットランド幻想曲(2種)
ヴァイオリン協奏曲第1番(2種)
ヴァイオリン協奏曲第2番

ヴァイオリン協奏曲第1番では他に
1972年録音のプレヴィン&ロンドン響が収録されています。
未聴ですのでこれからゆっくりと聴いてみたいと思います。

目下、集中的に耳を傾けているお気に入りの Box です。
楽しみつつ・・・長くお付き合いをしたいディスクたちが満杯。

                
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