2017.12/09(Sat)

Op.417 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第8番≪悲愴≫」 by バレンボイム

ベートーヴェンピアノ・ソナタで最初に気に入ったのが第8番。大昔のことです。
今でも、この8番はベートーヴェンのソナタでは5本の指、いえ、3本の指に入るお気に入りです。
今日は昔懐かしい第8番を。
ピアノはバレンボイム。第1回目、1960年第録音の全集からです。

         ベートーヴェンピアノ・ソナタ第8番「悲愴
       バレンボイムベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集より


         417 :ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第8番 全集 バレンボイム
                 (収録曲)
                ベートーヴェン

           ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」 Op.13
           ピアノ・ソナタ第14番嬰「月光」 Op.27-2
           ピアノ・ソナタ第23番「熱情」 Op.57

             ダニエル・バレンボイム(P)
       (録音:1966-1969年 アビー・ロード・スタジオ)

        第1楽章:(序奏)Grave 4/4拍子 ハ短調
             (主部)Allegro di molto e con brio
        第2楽章:Adagio cantabile 2/4拍子 変イ長調
        第3楽章:Rondo, Allegro 2/2拍子 ハ短調


作曲年代については正確には分からないそうですが、1798年前後に完成されたものと推定されているとのことです。
ベートーヴェン、28歳から29歳頃にかけてでしょうか。
ノッテポームによると第3楽章は初めはピアノのために考案されたものではなく、ピアノとヴァイオリンのために考えたらしい、とのことです。
このソナタのスケッチは弦楽三重奏曲作品8-1と3 のスケッチに交じっているそうです。

曲が書かれた当時、1798年頃からベートーヴェンの創作活動は次第に活発になってきたそうです。
ソナタ「悲愴」はベートーヴェンの初期のピアノ・ソナタの頂点を成す傑作で、劇的な美しい楽想のために広く知られている作品とのこと。
演奏技術も比較的難しくなく演奏される機会が多いそうです。

1799年に出版された時、初版の表紙に “Grande sonate pathetique” と記されていたそうです。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタの中で自身により標題が付けられたのはこの曲が初めてであり、他には作品81a 、第26番の「告別」があるだけとのこと。

悲愴」という言葉が当時のベートーヴェンにとってどのような意味があったのかということについて、ヴァイオリニストとしてベルリン・フィルにデビューをしたドイツの音楽評論家、指揮者として1920年代半ばまで活動をしたパウル・ベッカー(1882-1937年)は次のように述べているそうです。
「これまでソナタに分散的に現れていたベートーヴェン特有の感情がはっきり意識的に結晶させられたと見てよいであろう」


この作品を作曲した当時のぺートーヴェンの年譜を自分のメモとして。
1798年(28歳):ヴァイオリニスト、クロイツェルと知り合う。
         第3回目のプラハ旅行。
1799年(29歳)5月:ブルンスヴィック伯爵令嬢のテレーゼとヨゼフィーネがウィーンに滞在し
          ピアノを教える。
        2つのピアノ・ソナタ作品14-1と14-2 及び ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」出版
1800年(30歳)4月2日:ベートーヴェン自ら主催する初めての音楽会。
            ピアノ協奏曲第1番、七重奏曲、交響曲第1番他を演奏指揮。
        ジュリエッタ・グィチャルディ、カール・チェルニーがピアノの弟子になる。


曲の献呈はリヒノフスキー侯爵に。

           417 ピアノ・ソナタ第8番 リヒノフスキー侯爵
    Fürst Karl Alois Johann Nepomuk Vinzenz Leonhard Lichnowsky
            (1761年6月21日-1814年4月15日)

リヒノフスキー侯爵の名前は今までもしばしば目にしていますが、自分のメモ、まとめとして以下に。
神聖ローマ皇帝の宮廷において侍従として仕えた貴族、大地主。
侯爵と同時代のベートーヴェンの才能を愛し、1794年にはベートーヴェンを自宅に住まわせたとのこと。
侯爵の好意、支援により、ボンからウィーンに出てきた若いベートーヴェンの生活は楽になったそうです。
尚、ベートーヴェンがリヒノフスキー侯爵に献呈した作品のまとめ。
「3つのピアノ三重奏曲」作品1の3曲、「パイジェルロの歌劇の主題による9つの変奏曲」、ピアノ・ソナタ第8番、第12番、交響曲第2番。


バレンボイムで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番「悲愴

第1楽章の序奏のグラーヴェにベートーヴェンが「悲愴」との標題を用いた主要な理由があると推測されるようです。
グラーヴェの最初の動機はチャイコフスキーの交響曲第6番に類似のものが現れているそうですが、まったく気が付きませんでした。
チャイコフスキーの第6番に改めて耳を傾けてみなくては・・・・。

グラーヴェの序奏で始まる第1楽章。
バレンボイムはこの序奏でテンポをかなり遅く弾いているのが印象に残ります。
「悲愴感」よりも内省的な趣を強く感じる演奏。
序奏を終え主部に。
情熱を湛え力強く奏される第1主題。
流動感のある第2主題。
次々と現れる耳に馴染みの旋律。
展開部では情熱的で躍動感溢れる曲想からゆったりと静かな趣に。
そして現れる序奏の旋律。
消え入るかのように奏されるグラーベの動機は静かな呟きのよう。
再現部を経て力強くドラマティックに閉じられる第1楽章。

静かに始まる第2楽章。
第1部の静かな美しい旋律。
トリオでは翳りを感じさせるような趣も。
静かな祈りを連想させるかのような調べ。
安堵感が漂うような短いコーダで静かに閉じられる第2楽章。

軽やかに流れるようなロンド主題で始まる第3楽章。
第2主題の明るさ。
再度登場するロンド主題を経て現れる第3主題。
心持ち穏やかな感じがする主題。
ドラマティックな経過部を経て現れるロンド主題。
次第に高揚する情熱的な雰囲気。
戻る静けさ。ロンド主題が静かに奏され、渾身の打鍵のように力強く迎える曲の終わり。


この曲に耳を傾けるのは久々振りのことです。
バレンボイムの演奏を聴き特に印象に残るのは第1楽章の序奏。
グラーヴェのかなり遅いテンポ(のように感じられます)で奏され、他の演奏者とは一線を画しているように思われます。
この曲の美しさは内省的な趣として感じられるようです。
「悲愴」感の中に身を置くのではなく、一歩退いて「悲愴」を見つめつつ(というのも変な表現ですが)音を紡ぎ出し、音楽を造形しているように感じます。

ゼルキンの演奏(1970年録音)も聴いてみました。
第2楽章の旋律を弾くゼルキンのピアノは「美しさ=寂寥なのだよ」と語りかけるかのように、耳に心に伝わってくるようです。
厳しさを感じさせつつも心に染み入るゼルキンの「悲愴」。

蛇足ですが。第2楽章の旋律を用いた声楽曲で初めて耳にしたのがLPで聴いたヘルマン・プライの歌声でした。
また、年月を経てカレーラスが歌う “I remember you” との出合い。
プライ、カレーラスで歌われる第2楽章の「歌」も気に入っています。
何年も聴いていなかった懐かしい「歌」。
今夜はこれから「歌」で聴いてみましょう。

               
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2017.12/02(Sat)

Op.416 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第10番」 by アラウ

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第30番を聴き虜になったのが昨年の春頃だったようです。
そのままベートーヴェンピアノ・ソナタとはまた疎遠になってしまった月日。
つい先日、いつもお邪魔をさせていただいているブログでソナタ第26番の記事を拝読しました。
ピアノはゼルキン。
ベートーヴェンピアノ・ソナタ第26番・・・どのような曲だった?と、未だに曲番と旋律が一致しません。
早速、ゼルキンのディスクを取り出し聴いてみました。
第2楽章から受けた印象が強く、ベートーヴェンピアノ・ソナタの世界を散策をしてみたくなりました。
たまたま目に付いたアシュケナージのベートーヴェンのソナタ全集から昔からお気に入りだった第8番を聴き・・・同じディスクに第10番が収録されていました。
「気に入った」ということで、今回は第10番を。
お気に入りのピアニストの一人、アラウの演奏です。

            ベートーヴェンピアノ・ソナタ第10番
          アラウ~ベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集より

         416ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第10番 アラウピアノ・ソナタ全集(1962~66)
                  (収録曲)
                ベートーヴェン

         ピアノ・ソナタ 第10番 ト長調 Op.14-2
         ピアノ・ソナタ 第11番 変ロ長調 Op.22
         ピアノ・ソナタ 第12番 変イ長調 Op.26「葬送」
         ピアノ・ソナタ第25番 ト長調 Op.79
              (録音:1962-66年)

         第1楽章:Allegro ト長調 2/4拍子
         第2楽章:Andante ハ長調 2/2拍子
         第3楽章:Scherzo, Allegro assai ト長調 3/8拍子


ベートーヴェンのピアノ・ソナタ作品14の2つの曲、第9番作品14-1 と 第10番作品14-2 の正確な作曲時期は自筆譜の紛失により不明だそうですが、1797年から翌1798年にかけての作曲と推定されるそうです。
ドイツのピアニスト、作曲家、教育家でベートーヴェン研究者でもあるノッテポームによると、1795年に完成されたピアノ協奏曲変ロ長調(第2番)のスケッチと並び、このソナタ第10番のスケッチが現れているとのこと。
曲の着想は完成よりもかなり以前と考えられるようです。

ソナタ第10番はベートーヴェンのピアノ・ソナタの中でも最も簡易なものの一つだそうです。
初心者の勉強用に選ばれることも多いとのこと。

ソナタ第9番の弦楽合奏版を聴いた時に綴った内容と重複しますが、いつものように自分のメモとして。
当時のベートーヴェンは大型のソナタを作曲する一方、この作品のように簡潔で形式感のある作品を書き、作曲のいろいろな工夫を試みていた時期とのこと。
作品14の2曲のソナタとほぼ同時時に作曲されたのがソナタ第8番「悲愴」。

ベートーヴェンの秘書で身の回りの世話をしていたアントン・シンドラーはこのソナタ第10番について次のように記述しているそうです。
因みに悪名(?)高いシンドラー。ベートーヴェンに関しての捏造等で信憑性は低いのですが、一応以下に。

「作品14の2曲のソナタには2つの主義の争いがあり、男女の対話が認められる。
特に第2番目の曲にはこの対話は一層明瞭に示されていて、2つの声部の対立は第9番に比べ、より明白である」
シンドラーのこの記述により、第10番は日本では「夫婦喧嘩」と呼ばれることがあったそうです。
特に第1楽章の第1主題に対する比喩的な言葉に夫婦を結びつけ、親しみの感じを表したものと思われるとのことです。

献呈は作品14-1のピアノ・ソナタ第9番、及びその弦楽四重奏編曲版とともにブラウン男爵夫人のヨゼフィーネ・フォン・ブラウンに。
夫のペーター・フォン・ブラウン男爵は1794年から1806年までウィーンで劇場の副支配人をしていたとのこと。


アラウのピアノで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第10番

美しさが漂う旋律で始まる第1楽章。
軽やかな右手の調べに左手が応答するかのような第1主題。
第2主題では軽やかで優雅な趣も趣も漂い、口づさみたくなるような親しみを感じる「歌」のようにも。
右手と左手が対話をするように奏される小結尾。
展開部に入り現れる冒頭の第1主題。第2主題も顔を出し、耳を傾けていると「歌」そのものに聴こえてくるようです。
音力が強くなり右手と左手の対話も高揚するかのように。
静かに閉じられる第1楽章。

第2楽章はベートーヴェンの作品番号のあるピアノ・ソナタでは初めて変奏曲が用いられた楽章だそうです。

スタッカートで始まる第2楽章。
この主題には愛嬌をもって歩を進める雰囲気が感じられるようです。
第1変奏は左手が奏する主題と右手でのスタッカートで。
第2変奏では主題と同じようにスタッカートと休符が、ぎこちない歩みをしているかのよう。
続いて楽章冒頭の主題の後と同じく穏やかな旋律が。
歩みを緩め散策をしているかのような雰囲気を醸し出しているよう。
第3変奏、細やかな動き。
変奏される主題からはコミカルで愉しげも雰囲気も。 
コーダになり主題が音力を落とし静かに奏された後に一瞬の強い打鍵で閉じられる第2楽章。

軽快で躍動的なロンド主題で始まる第3楽章。
跳躍でもするかのような活気を感じさせるロンド主題。
第2主題は強音、弱音の変化が忙しげな雰囲気も。
第3主題が現れ漂う優雅さ抒情的な美しさに惹かれます。
この第3主題に耳を奪われているうちにコーダに。
束の間、顔を出すロンド主題が奏され閉じられる曲。


じっくりと耳を傾けたのはアラウの演奏です。
初めてこの作品を耳にした時に抱いた感想と、数回繰り返し聴いた後での印象に違いを感じています。
この作品に限らずですが。
初めて聴いた時には作品14-1、第9番と同様に屈託のない明朗、軽快な曲、というのが第一印象でした。
また、簡潔で聴き易い曲、とも感じていました。
繰り返し聴き、次第に曲に惹かれるように。
軽快な明朗さととともに漂う美しい抒情性に惹かれます。

第1楽章の美しい歌のように感じられる調べ。
第2楽章の変奏の一つ一つも印象的。
第3楽章の第3主題も聴き応えがあります。
この曲を一言で・・・美しい曲。
そのように感じさせるアラウの演奏。

曲想の明朗さやコミカルな感じはアラウのピアノでは生真面目な雰囲気のようにも。
それが説得力のようにもなり好感を抱きます。
ピアノの音色も手持ちの他のピアニストとは異なり
輝かしい明るさは感じられず重さを感じさせ、それが至ってこの作品を聴き応えのあるものにしているようにも感じられます。

こちらの全集は1960年代に録音されたアラウの第1回目のベートーヴェンのソナタ・全集とのことです。
80年代にも全集の録音があるそうで関心が湧いてきます。

ゆっくり、じっくり、ベートーヴェンのピアノ・ソナタの一曲一曲を味わいつつ
耳を傾けてみたいとの想いが強くなりました。

              
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2017.11/25(Sat)

Op.415 ミクロス・ローザ:「ヴァイオリン協奏曲」 by ハイフェッツ;ヘンドル&ダラス交響楽団

ミクロス・ローザの名前から思いつくのは映画「ベン・ハー」。
ローザの作品にヴァイオリン協奏曲があることを知ったのは昨年のこと。
ブログ仲間の御方の記事でした。
記事を拝読するまでミクロス・ローザは映画音楽家とばかり思っていた自分。
ローザのヴァイオリン協奏曲に関心を抱き「いつか聴いてみたい」と想いつつ
とうとう今日に至ってしまいました。

ハイフェッツのBox(24枚組)の収録曲を見ていたところローザ作曲のヴァイオリン協奏曲が目に付きました。
ハイフェッツ、指揮ワルター・ヘンドル、ダラス交響楽団の演奏。
初めて目にする指揮者名、ダラス交響楽団の演奏も聴いたことがなかったような・・・。

            ミクロス・ローザ:ヴァイオリン協奏曲
       ハイフェッツ~コンプリート・ステレオ・コレクションより


             415:ミクロス・ロージャ:ヴァイオリン協奏曲 ハイフェッツ
                   (収録曲)

        ミクロス・ローザ:ヴァイオリン協奏曲 Op.24
        ミクロス・ローザ:協奏交響曲 Op.29
                  ヴァイオリンとチェロ、管弦楽のための主題と変奏
        アルトゥール・ベンジャミン:ロマンティックな幻想曲
      (録音:ヴァイオリン協奏曲 1956年3月27日 ロサンジェルス)

          第1楽章:Allegro non troppo ma passionato
          第2楽章:Lento cantabile
          第3楽章:Allegro vivace


このヴァイオリン協奏曲はハイフェッツの依頼で1956年に作曲されたそうです。
因みにローザは1929年にヴァイオリン協奏曲第1番を作曲しているとのこと。
初期の頃には室内楽作品を数多く作曲したそうです。
ハイフェッツの依頼で作曲されたこのヴァイオリン協奏曲は第2番になるそうです。
ハイフェッツのために書かれたこの曲は高度な技巧を必要とする難曲とのこと。
初演は1956年にハイフェッツ自身の演奏で行われたそうです。

尚、ローザはハイフェッツとピアティゴルスキーのために「ヴァイオリンとチェロ、管弦楽のための主題と変奏」(協奏交響曲 作品29)なども作曲したそうです。
このディスクのヴァイオリン協奏曲の次に収録(1963年録音:ハイフェッツ;ピアティゴルスキー)されていました。

曲を聴きローザにも関心が湧いてきましたので略歴を自分のメモとして。

           415:ローザ:ヴァイオリン協奏曲 (ハイフェッツ)Miklós Rózsa
                  Miklós Rózsa
            (1907年4月18日-1995年7月23日)

ブダペストで誕生したローザはライプツィヒ音楽院で学んだそうです。
1929年にヴァイオリン協奏曲第1番を作曲。
1931年、パリに移住(1931-1935年)
1937年、ロンドン滞在(1935-1940年)バレエ音楽を作曲。
最初の映画音楽を作曲したのもロンドンだったとのこと。
1940-1995年(1946年にアメリカ国籍に) 
アメリカ合衆国において映画音楽の作曲家として活躍。
1970年代終わりまで映画音楽の作曲を続けた、とのこと。


ハイフェッツ;ヘンドル&ダラス交響楽団で聴くローザのヴァイオリン協奏曲

オーケストラの重々しい響きにヴァイオリンが歌い始まる第1楽章。
ヴァイオリンの歌う旋律には民族音楽的(生誕地のハンガリー民謡風)な雰囲気が漂い親しみ易く、郷愁を感じるようです。
歌い続けるヴァイオリンに管楽器たちやハープも顔を出し。
シンバルの一撃に駆け抜けるように奏されるヴァイオリン。
ドラマティックな雰囲気を経てカデンツァでしょうか。
ヴァイオリンの独り言が終わりオーケストラとともに醸し出される夢想的な雰囲気。
ヴァイオリン、オーケストラが風を切るかのような勢いで閉じられる第1楽章。

第2楽章は先ず管楽器で奏され、すぐにオーケストラそしてヴァイオリンの登場。
淡々とした雰囲気で始まる第2楽章。
幻想的な雰囲気を醸し出すヴァイオリン。
その調べに美しさを加味するヴァイオリン。
語り続けるヴァイオリンに幻想的な趣を添えるかのような管楽器とハープ。
穏やかな静かな和みの楽章でしょうか。
歌うかのようなヴァイオリンで静かに閉じられる第2楽章。

覇気のあるオーケストラの響きで始まる第3楽章。
奏するオーケストラに加わる打楽器やトランペット。
闘争的な雰囲気が漂うような劇的な趣。
打楽器の連打の後にやっとヴァイオリンの登場。
躍動的な雰囲気。ユーモラスな雰囲気も感じます。
打楽器の連打をリズム、伴奏として奏されるヴァイオリン。
多種の楽器たちとの応答を経てヴァイオリンの調べに漂うに叙情的な雰囲気。
歌い始めるヴァイオリン。
曲想が覇気を感じさせるかのように変わりオーケストラに加わるシンバルの強打。
オーケストラとヴァイオリンの覇気を伴った気迫のうちに迎える曲の終わり。


新鮮な感じを受けたヴァイオリン協奏曲です。
ハイフェッツのヴァイオリンの音色の柔らかさ。
今更、言うのも気が引けますが、一般的に耳にする音色よりも硬さがなく
柔らかく繊細に音を紡ぎ出しているようでとても好感を抱きました。
このBoxの数枚を聴き進んでいる現在、ハイフェッツのヴァイオリンに惹かれるばかり。

ローザのこのヴァイオリン協奏曲でもハイフェッツのヴァイオリンの音色の柔らかさ、繊細な演奏に耳を奪われるばかり。
心に残るのは第2楽章。瞑想するかのような、また幻想的な趣の調べを奏するハイフェッツのヴァイオリンが印象的。
滑らかに歌われる ヴァイオリンの歌 のように感じてしまいます。
第1、第3楽章の曲想でのリズム感は生き生きと伝わってきます。
デタッシェが殊更に明快に感じられ生き生きと躍動的な息吹を曲に吹き込んでいるようにも感じられます。
ダラス交響楽団のオーケストレーションは豪快さの表れでしょうか。

このBoxに出合うまでの長い間、ハイフェッツは自分にとって数在るヴァイオリニストの一人としか感じられなかったように思います。
一枚一枚を聴いているうちに遅ればせながらハイフェッツに惹かれている自分に気が付きました。
103枚組Boxの存在を知った時に必要なし・・・と結論付けたことを、この24枚組のBox を手にして後悔している有様。
ハイフェッツの多くの演奏を聴きたくなってきました。
ローザのヴァイオリン協奏曲の筈がハイフェッツ賛美になってきてしまったようです。

ローザのヴァイオリン協奏曲の次に収録されている作品29の協奏交響曲も聴いてみましたが、こちらもヴァイオリン協奏曲に勝るとも劣らない作品、魅力を感じています。

              

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タグ : ミクロス・ローザ ヴァイオリン協奏曲 ハイフェッツ ワルター・ヘンドル ダラス交響楽団

21:00  |  ローザ  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2017.11/18(Sat)

Op.414 モーツァルト:「弦楽五重奏曲第5番」 by ウィーン弦楽五重奏団

テンプレートを一時、変更をしての約1週間の仮住まい。
気に入ったテンプレートに出合うことができて新居(?)に引越しをしてきた気分です。
今まで8年以上お世話になってきたテンプレートは自分でとても気に入リ愛着もあります。
大家さん(テンプレートの作者さん)のご都合での引越しには多々の想い出、愛着のある「家」との別れのようでもあり、寂しさを感じつつ、新居からの初発信です。


小塩節著「モーツァルトへの旅」を読んでいて聴きたくなった弦楽五重奏曲
と言うと曲に熟知をしているようですがモーツァルトの6曲の弦楽五重奏曲のすべてを聴いた訳でもなく、私にとってはどの曲も初めて聴くようなものです。
CDラックで長年、眠り続けていたディスクを出して聴いてみました。
ウィーン弦楽五重奏団の演奏で第5番を。


             モーツァルト弦楽五重奏曲第5番
     ウィーン弦楽五重奏団モーツァルト 弦楽五重奏曲全集より


           414モーツァルト 弦楽五週奏曲第3番&5番 ウィーン弦楽五重奏団 モーツァルト弦楽五重奏曲全集よりウィーン弦楽五重奏団
                   ↑
手持ちの全集は20年程前に求めたもので現在発売されている全集とはジャケットデザインが違いますが一応、貼ってみました。

                 (収録曲)
                 モーツァルト

             弦楽五重奏曲第3番 ハ長調 K.516
             弦楽五重奏曲第5番 ニ長調 k.583

               ウィーン弦楽五重奏団
 トーマス・クリスティアン(1st.Vn);ペーター・ヴェヒター(2nd.vn)
 ハインリヒ・コル(1st.Vla);ハンス・ペーター・オクセンホファー(2nd.Vla)
 ミヒャエル・ヘル(Vc)
               (録音:1992年4月)



        第1楽章:Larghetto 3/4拍子―Allegro 2/2拍子
        第2楽章:Andante ト長調          
        第3楽章:Menuetto Allegretto ニ長調 3/4拍子
        第4楽章:Allegro ニ長調 6/8拍子


作曲されたのは1790年12月、モーツァルトが亡くなる1年前だそうです。
弦楽五重奏曲第3番を書いてから3年程後にモーツァルトは再び弦楽五重奏曲に取り掛かったそうです。
翌1791年に作曲された 第6番変ホ長調K.614 とともに、この2曲はモーツァルトの室内楽作品における最後を飾る曲とのことです。

第5番は最も古典的とも言えるニ長調で書かれており
規模は抑えられ、純化された形式と楽想において優美様式と厳格様式の2つの書法が見事に融合しているそうです。

1783年5月にアルタリア社から第6番とともに出版されたそうです。
尚、「ハンガリーの音楽愛好家のための作品」との添え書きがあるとのこと。
同年5月18日付けのウィーン新聞に掲載された広告には或る音楽愛好家に促され曲が書かれた、との趣旨が伝えられているそうです。
このハンガリー出身の音楽愛好家でモーツァルトの支援者でもある人物が誰なのかは不明とのことですが、メーレン地方出身の富裕な大商人、ヨーハン・トスト(1755年頃-1831年)ではないかとされているそうです。
ヨーハン・トストは自身、優れたヴァイオリニストだったとのことです。
ハイドンはトストに1789年及び1790年に各6曲の弦楽四重奏曲を献呈しているそうです。


ウィーン弦楽五重奏団で聴くモーツァルトの弦楽五重奏曲第5番

チェロが奏する ラーラララ と上行する和音で語りかけ
ヴァイオリンが応答する弱音の静かな序奏で始まる第1楽章。
序奏に漂う瞑想的な雰囲気。印象的な調べとして感じられます。 
主部に入ると一転して明朗な趣に。
弾むように奏される各楽器の溌剌さ。
ヴァイオリンの愉しげに舞うかのような軽やかさに優雅な舞を連想していると
緊張を帯びた雰囲気に。
楽章が進み終わり近くに姿を表す冒頭の静かな瞑想的な趣に。
力強さを伴い閉じられる第1楽章。

第2楽章は声部のグループ分けと応答を特徴としているそうです。
5声部は3声部づつに分けられ、協奏風の華やかなものではなく「16世紀の5声マドリガルに見られるような3声の応答」をみせているとのこと。
交響曲第41番の「ジュピター」の緩徐楽章に比されることが多い楽章だそうです。

伸びやかに始まる第2楽章。
歌うかのような清澄な調べの第1主題。
翳りを帯びたような第2主題。
再び静かな趣になり冒頭の旋律も現れ、軽やかな趣のメヌエットも現れた後に
チェロが力強く奏され緊張が感じられるよう。
活躍する第1ヴァイオリン。
各々の楽器たちがカノンで奏され静かに閉じられる第2楽章。

歌うような調べで始まる第3楽章
素朴な愛らしさをも漂うメヌエット。
徐々に音量が上がり優雅さと力強さが融合したような調べ。
カノンを見せる楽器たち。
トリオになり第1ヴァイオリンとチェロの応答には力強さも。
再び第1主題が顔を出し歌うような趣を漂わせつつ力強く閉じられる第3楽章。

素早い動きを感じさせる活き活きと始まる第4楽章。
この第1主題の生き生きとした躍動感。飛翔をするような息吹。
溢れるような快活さは、一つの光明に向かって突進をするかのような快活さ。
第2主題ではヴァイオリンとともにチェロも活躍。
展開部で現れるフーガでもたらされる高揚感が印象的。
速い動きで力強く迎える曲の終わり。


聴き応えのある曲。
演奏も溌剌として各楽器が音符を言語化しているよかのような明晰な演奏に感じられます。
各楽器の音色自体も明るく、明朗な旋律を奏しつつ緊張感も醸し出し好演のように想われます。
この曲だけでなく全集の一曲一曲が好感を抱かせる演奏。
第5番以外は超スピードで聴いてきた曲たちですので、改めてじっくりと耳を傾けたいと思います。
目下、お気に入りの演奏です。

ウィーン弦楽五重奏団は第1ヴァイオリンのトーマス・クリスティアンを中心にウィーン・フィルハーモニー首席ヴィオラ奏者のハインツ・コルたち、各々ウィーン・フィルの首席奏者たちにより1988年に結成されたそうです。
ミヒャエル・ヘルはミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団のチェロ奏者とのこと。
このモーツァルトの弦楽五重奏曲全集は1991年から1993年、丸2年をかけて録音された演奏をまとめたものだそうです。


               
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2017.11/11(Sat)

Op.413 J.S.バッハ:「イタリア協奏曲」 by レオンハルト

先日、レオンハルトの演奏するJ.S.バッハ鍵盤作品集成より
チェンバロ協奏曲第1番を聴いた同じディスクから今日はイタリア協奏曲を。

                     J.S.バッハイタリア協奏曲
               レオンハルトJ.S.バッハ鍵盤作品集成より

           411チェンバロ協奏曲第1番 レオンハルト~J.S.バッハ鍵盤作品集成
                        (収録曲)

                        J.S.バッハ
              チェンバロ協奏曲第1番 ニ短調 BWV1052
              イタリア協奏曲 へ長調 BWV971
              トッカータ ニ長調 BWV912
              トッカータ ニ短調 BWV913
              フーガ イ短調 BWV944
              幻想曲 ハ短調 BWV906
              半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903

                 グスタフ・レオンハルト(Cem.)
               (録音:1976年12月
              1728年製クリスティアン・ツェル使用)


               第1楽章:(速度指定はなし )ヘ長調
               第2楽章:Andante ニ短調
               第3楽章:Presto ヘ長調


この作品は1735年に「クラヴィーア練習曲集 第2巻」としてバッハの第2の出版曲集
として書き上げられたとのこと。
「クラヴィーア練習曲 第2巻」は2つの作品、「イタリア協奏曲」と「フランス風序曲」
から成り出版されたそうです。
作曲されたのは前年、ライプツィヒに於いて、ということになっているとのこと。

「クラヴィーア練習曲集 第2巻」でバッハが目指したのは当時の音楽先進国
イタリアとフランスの代表的なオーケストラ曲の様式に従いチェンバロ協奏曲を
作曲することだったそうです。

バッハはこの曲に「イタリア趣味による協奏曲」“Concerto nach Italienischem Gusto”との題を付けたそうですが、簡単に「イタリア協奏曲」と呼ばれているとのこと。
バッハの代表作の一つに数えられ演奏される機会も多いそうです。

バッハは青年時代から音楽の先進国イタリアの音楽を研究しいろいろに
編曲していたそうです。
また、当時、イタリアではヴィヴァルディが完成し流行していた協奏曲の様式を
取り入れ協奏曲を作曲したり書き直したりしたとのことです。
ライプツィヒ時代になり、イタリアの協奏曲の在り方を一つの楽器で生かそうという
ことになり、この「イタリア協奏曲」が誕生したそうです。

この作品では一つのチェンバロという楽器で協奏曲の総奏と独奏の効果を出すように
工夫をされているそうです。
演奏からすると現在のピアノで演奏をするよりもチェンバロの方が適しているとのこと。
チェンバロは2列の鍵盤で音質の対比感、及び ピアノとフォルテの創意も
出すことができるとのことです、。
鍵盤の使用法のためにバッハは特にピアノとかフォルテを他のクラヴィーア曲の
時よりも入念に記入しているそうです。
ピアノとフォルテのバッハの指示は、協奏曲における楽器群の対比表現に
なっているそうです。

この作品はバッハの存命中から大評判になったとのことです。

レオンハルトの演奏で聴くJ.S.バッハのイタリア協奏曲

第1楽章は速度の指定がなく、アレグレット程度ということになっているそうです。
耳に馴染みのある溌剌とした旋律の主題で始まる第1楽章。
主題の動機が曲を統一しているとのことで終始、明朗、軽快な趣に溢れているよう。
独奏と総奏とが交互に現れて進む楽章。
楽章の終わり頃の主題の総奏では右手の装飾が醸し出す優雅な雰囲気。
多彩に姿を変える主題動機を耳に
「次はどのような展開に?」「どのように変容を?」と、推理小説を読むかのような
楽しみな心境に。
楽章の終りの総奏で活き活きと閉じられる第1楽章。

ゆっくりと歩み始めるように始まる第2楽章。
右手から紡ぎ出される歌うかのような旋律。
伴奏をする左手で印象的なのは低域音。楽章にスパイスのような味付けを。
右手が歌う調べは煌めき輝くように。
歌う楽章、歌の楽章と表現したくなる美しさを感じる第2楽章。
心に残る楽章です。

第3楽章、構成はロンド風になっているとのことです。
楽章の始めに現れる総奏でのロンド主題の軽快さ。
滞ることなく前進あるのみ、という感じで進む楽章。
鍵盤が織りなす素晴らしい芸術。
次々と続く第1副主題、第2副主題、第3副主題の活き活きとした趣。
ロンド主題には第1楽章の主題動機も顔を出しているのでしょうか。
楽章冒頭、総奏のロンド主題が現れて明朗軽快に力強く迎える曲の終わり。


この曲は以前、ピアノで聴いた時には最後まで聴き通すことに苦痛すら感じた
苦い想い出があります。
あれから云年が経過し、今回レオンハルトで聴くイタリア協奏曲。
第1楽章が鳴り出した瞬間に耳に馴染みの旋律・・・と、初めて気が付く有様。
嘗ては苦痛を感じた作品が、今回は吸い込まれるように惹かれ
繰り返し聴いたほどです。

チェンバロの音色に魅了され、明朗軽快な旋律は心を躍らせるようです。
レオンハルトを集中的に聴き始めたキッカケになった「ゴルドベルク変奏曲」。
昔求めた「ゴルドベルク」(1964年頃の録音との表記)に比べ
このBoxに収録されている1976年録音の「ゴルドベルク」の何という軽快さ、明るさ。
この数年、いろいろな「ゴルドベルク」を聴いてきました(聴いてきたつもり)が
こんなに明朗で軽快な「ゴルドベルク」は初めて、とつい先頃感じ入り耳を傾けておりました。

明朗、軽快な雰囲気に溢れた、この「イタリア協奏曲」も
レオンハルトの演奏を聴き初めて好感を抱きました。

昨今、当拙ブログに姿を現さなかったJ.S.バッハ。
こうして綴っていると改めて「バッハは良いなぁ」・・・。
そのように感じさせてくれたレオンハルト。
このレオンハルトのBox、これからも共に歩み続けたい大切なBoxになりました。


                 
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19:58  |  J.S.バッハ  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2017.11/04(Sat)

Op.412 ベートーヴェン:「弦楽四重奏曲第15番」 by ターリヒ四重奏団

ベートーヴェン弦楽四重奏曲第15番。
ハンガリー四重奏団の演奏を聴き、すっかりこの曲がお気に入りになりました。
第15番に惹かれ手持ちの四重奏団以外の演奏で聴きたくなり
ターリヒ四重奏団のディスクを求めてみました。

               ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第15番
        ターリヒ四重奏団ベートーヴェン弦楽四重奏曲全集より

           412:)ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第15番 ターリヒ四重奏団 全集より
                        (収録曲)
                       
                      ベートーヴェン
              弦楽四重奏曲第15番 イ短調 Op.132
              弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 Op.135

                    ターリヒ四重奏団
                  ペーテル・メッシェレウル(Vn)
                  ヤン・クヴァピル(Vn)
                  ヤン・ターリヒ(Vla)
                  エヴゼン・ラッタイ(Vc)
                    (録音:1977年-81年)

     第1楽章:Assai sostenuto(序奏) - Allegro(主部)イ短調 2/2拍子
     第2楽章:Allegro ma non tanto イ長調 3/4拍子
     第3楽章:Molto Adagio - Andante 4/4拍子
     第4楽章:Alla Marcia, assai vivace イ長調 4/4拍子
     第5楽章:Allegro appassionato イ短調 3/4拍子


作曲されたのは1824年から25年にかけてだそうです。
ガリツィン侯爵のために書かれた3曲の弦楽四重奏曲
第12番作品127;第13番作品130;第15番作品132 のうちの2番目に作曲されたとのこと。
実際には13番目の弦楽四重奏曲になるそうです。

ガリツィン侯爵に献呈された3曲の弦楽四重奏曲については以前綴ったことと
重複しますが、自分のメモとして。
第12番変ホ長調作品127
第13番変ロ長調作品130
第15番イ短調作品132
作品127の初演の後、作品130と作品132の作曲がほぼ平行して進められた。
1825年7月に作品132が一足先に完成し続いて作品132が11月に書き上げられた。
作曲順で作品127が通常の4楽章構成、作品130が5楽章構成、作品132が6楽章構成で楽章の数が1つづつ増えてゆく形になっている。

第15番に戻ります。
第1楽章とフィナーレの構想はすでに1824年末に芽生えていたらしいとのことですが
途中で病気になり中間の楽章は初めの計画にはまったくなかった形で書かれることに
なったそうです。

この曲が書かれた1824年、25年のベートーヴェンの年譜を自分のメモとして。
1824年(ベートーヴェン54歳)
3月、4月:交響曲第9番の初演の条件をめぐり問題が起こる
4月7日:「ミサ・ソレムニス」、ペテルブルクで初演
5月7日:ケルントナートーア劇場において「ミサ・ソレムニス」の一部、ウィーン初演
及び、交響曲第9番初演

1825年(55歳)
4月:体調いを崩し病床に就く
5月7日から初秋:バーデンで静養
9月9日:弦楽四重奏曲作品132がウィーン市街のレストランでシュパンツィヒ四重奏団により初演
11月29日:ウィーン楽友協会の名誉会員に選ばれる

1826年(56歳)
1月末:激しい腹痛を訴える。視力も低下。
3月頃:弦楽四重奏曲作品130をガリツィン侯爵に送る
3月21日:弦楽四重奏曲作品130、シュパンツィヒ四重奏団により初演するが
終楽章(フーガ)の難解さ、長大さのために失敗。


第15番に戻り
初演は1825年11月6日にウィーンでシュパンツィヒ弦楽四重奏団により
行われたそうです。
初演は好評を得、ベートーヴェンの死の年の秋に出版されたとのことです。
献呈はガリツィン侯爵に。


ターリヒ四重奏団で聴くベートーヴェンの弦楽四重奏曲第15番

チェロがゆっくりと深奥の仄暗さを感じさせるように奏される序奏で始まる第1楽章。
チェロから高音へと楽器が移り現れる序奏の主題。
主部に入り序奏の内省的な趣から明るさを感じさせる第1主題に。
第2主題を奏し始める第2ヴァイオリン。
短い展開部ではチェロが奏する序奏の主題が顔を出し今までの
明るい雰囲気が再び仄暗さのように。
再現部を経てコーダに。
今まで現れた動機たちが発展して再登場。
前進をするような力強さと明るさの内に閉じられる第1楽章。

穏やかな流れのように始まる第2楽章。
第1主題は初めの2小節の動機と第5,6小節の動機が独立しているとのことです。
この2つの動機が明るく、時に穏やかに対話をしているようです。
対話に耳を傾けるうちにトリオに。
トリオの第2主題が印象的です。
ヴィオラとヴァイオリンが奏する8分音符はまるで楽器たちが闊歩するかのように。
第1主題が再び姿を現し明るい穏やかさのうちに終わる第2楽章。 

第3楽章の始めにベートーヴェン自身により
"Heiliger Dankgesang eines Genesenen an die Gottheit, in der lydischen Tonart"
「病癒えた者の神に対する聖なる感謝の歌。リディア旋法による」と
書き入れられているそうです。
そしてアンダンテ部分には "Neue Kraft fühlend"「新しき力を感じつつ」と
書き込まれているとのことです。
ベートーヴェンが作曲当時の生活体験がそのまま反映され
病気を克服して再び仕事に戻ることができた喜びと感謝が刻印されているそうです。

静かに厳かなな雰囲気で始まる第3楽章。
リディア旋法の素朴、清楚な美しさを感じる旋律です。
また深い瞑想の調べとして耳に響きます。 

アンダンテの部分に入り主題の溌剌とした趣。
ベートーヴェンが書き入れた「新しき力を感じつつ」という心情が伝わってきます。
このアンダンテに入るパートに惹かれます。
溌剌とした明るさ。喜びに弾むような趣。
ターリヒ四重奏団は控え目な表現なのでしょうか。
静かに喜びを噛みしめるかのように奏されているように感じます。
最後に3回目として楽章冒頭のモルト・アダージョが現れ、
この3回目のモルト・アダージョの部分には
「最も深い情緒を持って」と特に記されているそうです。
心に染み入るように奏されるターリヒ四重奏団のメンバーたち。、
演奏に耳を傾けつつ感謝の喜びが涙として流れ
涙の煌めきまでもが目に映るかのよう。
病が癒えたベートーヴェンの感謝の涙。
静かに深々と頭を垂れ祈るベートーヴェンの感謝の祈りのうた。
この調べは感涙を誘われそうです。
静かに消え入るように終わる崇高な「感謝の祈りのうた」第3楽章。

前楽章から一転して軽快に始まる第4楽章。
喜びを湛え奏される楽器たちは行進曲風な趣で。
楽想は第1ヴァイオリンの歌のよう。
行進曲風の旋律も耳に。
この部分がとても印象的。
速度を速め、活き活きとした雰囲気に。
力を増して閉じられる第4楽章。

第5楽章、この楽章の主想は初め交響曲第9番の終曲にするよう計画されていたそうです。
計画は変更され今更、綴る必要もないのですが交響曲の方はシラーの「歓喜に寄す」による終曲になったとのこと。
この弦楽四重奏曲では最初に予定された素材により完成したそうです。

短い2小節の序奏で始まる第5楽章。
第1ヴァイオリンが奏する第1主題。
切れ味良く奏される楽器たちからは活発さが。
各楽器が単一の旋律を順に奏した後に見せる熱情的な趣。
第2主題では多彩な旋律が顔を見せつつ進み。
コーダでは第1主題が用いられ明るく迎える曲の終わり。


ターリヒ四重奏団の創設者、ヤン・ターリヒは指揮者ヴァーツラフ・ターリヒの
甥ということを今回、初めて知りました。

最近のお気に入りになっているのはハンガリー四重奏団の演奏で
第3楽章はストレートに心に伝わり好感を抱いていました。
初めのうちはターリヒ四重奏団の演奏に耳を傾けていても・・・「???」の
連続に。
昔から耳に馴染み深いお気に入りの「ラズモフスキー第2番」を試しに聴き
またもや・・・「???」に。
ターリヒ四重奏団のベートーヴェンの弦楽四重奏曲は自分には合わないのかと
幾度も想いつつ、一時は鑑賞を諦めようとの心境になっていました。
曲を聴き、即「良い演奏」と感じられる四重奏団。
はたまた、何回か聴くうちに演奏に目覚める四重奏団。
拒絶反応が強過ぎ「もう二度とこの四重奏団のベートーヴェンは聴きたくない」。
この3つに分かれてしまいますが
どうもターリヒ四重奏団は私にとっては2番目の スルメ型 の四重奏団に該当するようです。

全曲を聴き直し、特に第3楽章を繰り返し聴き直し
気が付けば演奏に惹かれておりました。
第3楽章からベートーヴェンの当時の心持ちが手に取るように(あくまでも想像ですが)伝わってくるようでした。
感謝の祈りの喜びが涙としてターリヒ四重奏団の演奏から感じられるようです。

彼らの演奏は他の作品においても控え目なようにも感じられます。
感情、楽想を吟味した後に音として紡ぎ出しているのでしょうか。
曲によっては精彩を欠いた演奏とも感じてしまいますが・・・。
味わい深さを感じさせるようにも感じています。

最近のお気に入りはハンガリー四重奏団のベートーヴェンですが
ターリヒ四重奏団のディスクも手放せなくなりそうな気配です。

                  
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20:30  |  ベートーヴェン  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

2017.10/28(Sat)

Op.411 J.S.バッハ:「チェンバロ協奏曲第1番」 by レオンハルト&レオンハルト・コンソート

たまたまCDラックに並べてあるディスクを見ていて聴きたくなったディスク。
15以上前に求めたレオンハルトの「ゴルドベルク」(録音、1964年頃)です。
嘗て聴いた筈ですがあまり・・・そのまままたラックに。
今回、聴き直してみて、いつものパターンです。
「あれ?!こんなに良い演奏だった?」。
レオンハルトが演奏するバッハの多くの作品を聴いてみたくなりました。
ショップで探し出合ったのがレオンハルトの20枚組Box、J.S.バッハ鍵盤作品集成。
限定盤とのことで既に完売。他のショップでも取り扱い終了の表示にガッカリ。
やっと中古に出合い・・・目下、喜々として耳を傾けています。
今日はこのBoxよりチェンバロ協奏曲第1番を。

              J.S.バッハチェンバロ協奏曲第1番
            レオンハルト~J.S.バッハ鍵盤作品集成より

          411チェンバロ協奏曲第1番 レオンハルト~J.S.バッハ鍵盤作品集成
                        (収録曲)
                       J.S.バッハ
  
              チェンバロ協奏曲第1番 ニ短調 BWV1052
              イタリア協奏曲 へ長調 BWV971
              トッカータ ニ長調 BWV912
              トッカータ ニ短調 BWV913
              フーガ イ短調 BWV944
              幻想曲 ハ短調 BWV906
              半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903

                 グスタフ・レオンハルト(Cem.)
                 レオンハルト・コンソート
            (録音:19781年11月 ハーレム ルーテル教会)
        (使用チェンバロ:1728年製 ハンブルク クリスティアン・ツェル)

               第1楽章:Allegro ニ短調 2/2拍子
               第2楽章:Adagio ト短調 3/4拍子
               第3楽章:Allegro ニ短調 3/4拍子


作曲されたのは1738年から1739年頃にかけてと推定されているそうです。
楽器構成は独奏部がチェンバロ、合奏部が第1、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、通奏低音。

ブックレットの解説を参照しつつ。
チェンバロ協奏曲というジャンルはJ.S.バッハによって成立したそうです。
その成立にはチェンバロを通しイタリア音楽に学んだバッハの創作によるものとのことです。
新しいジャンルとしてのチェンバロ協奏曲はバッハの息子たちによって継承されたそうです。
次男のカール・フィリップ・エマヌエル・バッハは60曲近い優れた作品を残しているとのこと。
18世紀後半には新しい楽器、ピアノがチェンバロを駆逐するようになり
チェンバロ協奏曲は50年程で命脈を終え古典派のピアノ協奏曲に引き継がれたとのことです。
因みにメンデルスゾーンは1832年にピアノ協奏曲として演奏し
シューマンもこの作品を評価する文章を残しているそうです。

チェンバロ協奏曲の形式発展に関し、バッハの創作を3つの段階として区分されるそうです。
1)他の作曲家のヴァイオリン協奏曲を無伴奏の鍵盤楽器に移した時期
2)自作のヴァイオリン協奏曲を無伴奏の鍵盤協奏曲とした時期
3)オリジナル協奏曲の創作
現存する伴奏つきチェンバロ協奏曲は大半が第2期、ライプツィヒ時代の1730年代に
作曲されたそうです。

バッハは1729年から40年にかけ、テレマンが創設したライプツィヒの学生の
演奏団体であるコレギウム・ムジクムを指揮していたそうです。
コーヒー店を借りての演奏会の呼びものはバッハが独奏する協奏曲だったとのこと。
バッハはその演奏会のためにヴァイオリン協奏曲を編曲して用いたそうです。
このチェンバロ協奏曲第1番もヴァイオリン協奏曲からの編曲とのことですが
原曲が何時、誰により作曲されたかについては諸説が対立しているそうです。

バッハはこの原曲を1720年代末に2つのカンタータに転用
1735年以降にチェンバロ独奏用の稿を作成したそうです。
解説の執筆者、磯山雅氏は次の文章でこのチェンバロ協奏曲第1番についての
記述を閉じられています。
「バッハが原曲をいかに高く評価していたかを示すものであろう。独奏部の巨匠性、単一楽想に基づく緻密な構成、明確な個性美を示す主題など、バッハの代表作の一つとして指を指を屈するに恥じない、まことに印象的な協奏曲である」


レオンハルト&レオンハルト・コンソートで聴く
バッハのチェンバロ協奏曲第1番


弦楽器たちが奏する力動的な主題で始まる第1楽章。
チェンバロが登場し弦楽器たちとの対話。
弦が奏する主動機はしばしば耳にする機会があり馴じみの旋律のようです。
弦との対話でチェンバロは装飾的な演奏を。
主役がチェンバロに。
チェンバロのアルペッジョの煌めくような華麗さ。
主役が交代しつつも対等な存在として奏されるチェンバロと弦楽器たち。
楽章中、チェンバロの長い独奏演奏には力強さ、殊に左手が印象的。
弦が奏する主題で閉じられる第1楽章。

弦楽器たちが思索をしつつ歩を進めるかのように奏され始まる第2楽章。
弦の旋律を装飾するかのようなチェンバロ。
途切れることのない低く落ち着いた弦の調べ。
弦が紡ぎ出す歌。
チェンバロに移る歌。
穏やかな歌でもあるかのように奏される調べに惹かれます。
冒頭の旋律が再び奏され終わる楽章。

活気のある弦の主題で始まる第3楽章。
加わるチェンバロも弦とともに奏する活力を湛えた旋律。
活き活きとした息吹に満ているよう。
チェンバロとオーケストラとの対話は次第に荘厳な趣が漂うように。
チェンバロの独奏パートでは雄弁な語りを。
間もなく弦も現れ復活する活力ある弦とチェンバロの対話。
楽章の終わりに近付きチェンバロの独奏には気迫に近いものを感じます。
弦とチェンバロの活力の溢れる雰囲気で迎える曲の終わり。


前述したことに重複しますが
こちらのBoxを求める契機になったレオンハルトの演奏する「ゴルドベルク変奏曲」(録音、1964年頃)。
このBoxが届き一番先に聴いたのが「ゴルドベルク」(録音、1976年)です。
このチェンバロ協奏曲第1番に耳を傾けつつ昔求めた「ゴルドベルク」から受けた印象に似たものを感じていました。
チェンバロの音は一粒一粒克明でありながらも
流れる歌のように感じるレオンハルトのタッチ。
この協奏曲でも第2楽章の歌謡性を感じさせるチェンバロがとても印象に残ります。

チェンバロ協奏曲第1番は他に1965年、キルヒハイム、フッガー城の糸杉の間で
録音された他のチェンバロ(1730年頃、パリ ブランシェのモデルによるウイリアム・ダウト製)の演奏も収録されていました。
まだ聴いていませんが楽しみです。

チェンバロに対する認識を新たにされたレオンハルト。
遅まきながら今頃になりレオンハルトに目覚めたようです。

                 
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21:21  |  J.S.バッハ  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2017.10/21(Sat)

Op.410 ベートーヴェン:「ピアノ協奏曲第5番≪皇帝≫」 by ゼルキン;モントゥ―&ニューヨーク・フィルハーモニック

ベートーヴェンピアノ協奏曲第5番「皇帝」。
今日は想い出深いベートーヴェンの「皇帝」を。
いつもお邪魔をさせていただいているブログでベートーヴェンピアノ協奏曲第5番
皇帝」をゼルキンとモントゥ―&ニューヨーク・フィルハーモニックの記事を拝読しました。
「凄い演奏」とのことで是非、是非聴いてみたくなり求めて聴いてみました。

               ベートーヴェンピアノ協奏曲第5番
     R.ゼルキン;ピエール・モントゥー&ニューヨーク・フィルハーモ二ック

             
                        (収録曲)
                      ベートーヴェン

               交響曲 第7番 イ長調 Op.92
                       (NBC交響楽団)
               ピアノ協奏曲 第5番「皇帝」変ホ長調 Op.73
                       (ニューヨーク・フィルハーモニック
                   
                  ルドルフ・ゼルキン(P)
                  ピエール・モントゥ―指揮
        (録音:「皇帝」1959年2月26日  カーネギー・ホール ライヴ)                  


           第1楽章:Allegro変ホ長調 4/4拍子 
           第2楽章:Adagio un poco mosso ロ長調 4/4拍子 
           第3楽章: Rondo Allegro変ホ長調 6/8拍子 


曲についていつものように以前の「皇帝」の記事と重複しますが自分の覚書として。
作曲されたのは1809年。ベートーヴェン39歳頃でしょうか。
この曲が完成した前年1808年にはロマン・ロランが「傑作の森」と呼んだ
中期作品群の交響曲第5番、交響曲第6番が完成。
年末12月に両交響曲が初演されたそうです。
また「合唱幻想曲」も初演されたとのことです。

「皇帝」の初演は1811年11月28日、ライプツィヒのゲヴァントハウスに於いて
ドイツの作曲家兼オルガ二スト、ヨハン・フリードリヒ・シュナイダーのピアノ独奏
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏で行われたそうです。
ウィーンでの初演は翌1812年2月15日にチェル二ーのピアノ独奏で行われたとのこと。
以降、この作品がベートーヴェンの存命中に演奏されたとの記録はないそうです。
献呈はルドルフ大公に。


ルドルフ・ゼルキン;モントゥ―&ニューヨーク・フィルハーモニックで聴く
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」

力強く雄大に奏されるオーケストラで始まる第1楽章。
ピアノの登場でカデンツァのようなピアノは華麗な趣。
鍵盤の上を滑らかに流れるようなタッチのゼルキンのピアノ。
風格を感じさせる豪快なオーケストラ。
ゼルキンが紡ぎ出す音には優しさと温もりが感じられるよう。
ピアノからは活力。
オーケストラからは豪壮さが伝わってきます。
生き生きと華々しく閉じられる第1楽章。

第2楽章は自由な変奏の形をとっているそうです。
年齢を重ねるにつれてお気に入りになってきた楽章です。

低弦の豊かな響きでゆったりと始まる第2楽章。
夢想的に奏されるオーケストラの旋律。
弱音で穏やかに現れるピアノ。
和音を愛でるかのようなタッチ。
内省的な趣、美しい旋律。
朴訥とも感じられるように呟くピアノ。
ピアノが奏される中、暫し続く木管が奏する主旋律。
穏やかな雰囲気を助長するようなホッとする雰囲気。
速度を落とし、低弦が静かに消えるかのように奏され
ピアノが第3楽章の主題を静かに、ゆっくりと暗示しつつ第3楽章に。

第3楽章へなだれ込むピアノ。
嘗て聴いたことのないような楽章の主題の始まり。
とにかく速い。力強いです。
はち切れんばかりのピアノは特別に印象に残ります。
前楽章から生き返ったかのようなピアノ。
ゼルキンの指は鍵盤の上を闊歩しているかのよう。
精彩のあるピアノ。
オーケストラは一貫して勇壮に。
豪快に凛として迎える曲の終わり。


こちらの演奏はゼルキンが50歳頃の録音になるのでしょうか。
第3楽章冒頭の主要主題を奏するゼルキンのピアノのスピード感と
漲る気迫に驚愕します。
このような演奏は初めて耳にするものです。
今まで聴いてきた「皇帝」の中では例のない速さと気迫。

手元にあるゼルキンの他の演奏を聴いても
こちらのモントゥ―盤からは尋常ならないものを感じます。

他の楽章で感じるゼルキンのピアノの弱音が印象に残ります。
弱音での優しい柔和なタッチ。
時には煌めきのように感じられるニュアンスも。
力強さの中にも鍵盤の上を滑らかに流れるようなピアノ・タッチ。
まだまだゼルキンのピアニズムを分かってはいないのですが
今は、そのように感じています。

モントゥーニューヨーク・フィルの雄大な演奏と
ゼルキンの鍵盤を叩くのではなく、舞うように、弾むようなタッチのピアニズムは
優雅な趣が漂う精彩豊かな「皇帝」を生み出しているように感じられます。

                  
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2017.10/14(Sat)

Op.409 シューベルト:「ピアノ・ソナタ第15番≪レリーク≫」(補作完成版) パウル・バドゥラ=スコダ

先日聴いた、シューベルトピアノ・ソナタ第15番「レリーク」。
手持ちのディスクは第2楽章までの未完の演奏ばかりでした。
いつか補作完成された演奏で聴きたいと思っていたところ
お寄せいただいたコメントにてパウル・バドゥラ=スコダのシューベルトピアノ・ソナタ全集に第15番の第3,第4楽章をスコダが補作完成した演奏で収録されていると教えてくださいました。
早速、注文を。
1927年10月6日生まれのパウル・バドゥラ=スコダは今年10月6日が
90歳の誕生日だったそうです。
偶然にも10月6日に届いたスコダのシューベルトピアノ・ソナタ全集。
シューベルトピアノ・ソナタ第15番をパウル・バドゥラ=スコダ補作完成版
聴いてみました。

                シューベルトピアノ・ソナタ第15番
       パウル・バドゥラ=スコダシューベルトピアノ・ソナタ全集より


            408シューベルト:ピアノソナタ第15番 ピアノ・ソナタ全集 パウル・バドゥラ=スコダ
                        (収録曲)
                       シューベルト

         ピアノ・ソナタ第15番:ハ長調 D.840(スコダ補作完成 ヘンレ版)
         ピアノ・ソナタ第16番:イ短調 D.845
                  (録音:第15番 1968年 ウィーン)


           第1楽章:Moderato ハ長調 4/4拍子
           第2楽章;Andante ハ短調 6/8拍子
           第3楽章:Allegretto - Minuetto 変イ長調 3/4拍子
           第4楽章:Rondo Allegro ハ長調 2/4拍子


先日のシューベルト、ピアノ・ソナタ第15番は未完の第1、2楽章まででしたが
今回は補作完成された第3、4楽章を中心に。
第1、2楽章は先日、綴ったことを手抜きをしてコピーで。
以下も先日綴ったことと重複しますが、忘れっぽい自分の復習 として再度。

作曲されたのは1825年4月だそうです。
最初の2つの楽章は完成し、第3、4楽章は未完のまま放置されたとのことです。

ソナタ第15番の「レリーク」は「聖遺物」という意味だそうです。
この呼称は1861年に初版が刊行された際に出版社が最後の作品であると
誤認して付けられた名称とのことです。
1859年2月10日に曲は部分的にシューマンが刊行する「音楽新時報」に
第2楽章だけが楽譜で紹介されているそうです。

パウル・バドゥラ=スコダが補作した第3、4楽章について平野昭氏の解説を
参照させていただきました。

第3楽章。シューベルトはメヌエット主部の第80小節とトリオ部の第28小節までを
書きそのまま未完になっていたそうです。
中間部は完成しているとのこと。
パウル・バドゥラ=スコダの補作部はメヌエット主部第80小節から
終止の第94小節までの14小節になるそうです。

第4楽章。ソナタ形式だそうですが、シューベルトが作曲しているのは
主題部部と展開部のごく一部の第272小節までだそうです。
第271-272小節はソプラノ旋律だけが書かれているとのこと。
パウル・バドゥラ=スコダによる補作は展開部の第271-272小節の左手声部から
第556小節までの長大な量だそうです。
この部分は第347小節以降を含むロンド・ソナタ形式的構成の再現部に相当するとのことです。
この再現部はほぼ型通りになっているとのこと。
シューベルトの晩年の他のソナタ同様に長い展開部を補筆した後に
主題を省略することなく再現させているそうです。

パウル・バドゥラ=スコダによるこの補作完成版
ヘンレ社のピアノ・ソナタ全集(全3巻)の第3巻「初期及び未完のソナタ集」に
収録されているそうです。


パウル・バドゥラ=スコダ補作完成のヘンレ版で聴く
シューベルトのピアノ・ソナタ第15番

(改めて、第1、第2楽章は先日シフの演奏で聴いた時のコピーになります)

第1楽章は318小節からなる大規模なソナタ形式だそうです。
オクターヴ・ユニゾンで始まる第1楽章。
色彩感豊かな雰囲気が漂っているようです。
第1主題の前半と後半の対比が印象的。
簡潔な第1主題の前半に対し
後半では力強いピアノの響きの重厚さ、そして動的なリズム。
第2主題になり柔和な趣に。
右手のソプラノと左手のバスの伴奏で美しい郷愁のような趣。
心惹かれる第2主題です。
この主題の調べに耳を傾けていると、いかにもシューベルト特有な趣を感じます。
展開部を経て奏される調べは幻想的、夢想的な
ピアノの自由な独り言のよう。
終わりは力強く奏された後に弱音で閉じられる第1楽章。

第2楽章は121小節からなり、極めて自由な構成で既存の形式を当てはめることが
できないそうです。
平野昭氏によると強いて形式原理を考えると「展開部を省略し、第1主題により
コーダを作った緩徐ソナタ形式が下敷きになっていると思われる」とのことです。

優しげに静かに始まる第2楽章。
内省的な印象を受ける主題。
楽章内で幾度か顔を見せるこの主題、聴くうちに親しみを抱きます。
第1の主題が終わりオクターヴ・ユニゾンで音量を強めて始まる次の主題。 
左手のバスは力強い歩みを刻むかのように。
右手のソプラノは愛らしげな趣を。
この楽章も第1楽章同様にオクターヴ・ユニゾンが効果的な演出をしているように感じられます。
コーダでは冒頭主題が弱音、強音が鮮明に対比、演奏され閉じられる曲。


第1楽章と同じようにオクターブ・ユニゾンでの始まる第3楽章。
素朴な雰囲気が漂っているように感じられます。
呈示が終わると一転して軽快な旋律に。
次第に音量を上げ力強く。
荒々しさを感じさせるような力強さ。
この力強さは精彩に富むようで印象的。
トリオでも主題はユニゾンでの始まり。
覇気のある旋律、激しさが支配しているよう。
一息入れるかのように速度を落として閉じられる第3楽章。

活気を感じさせる3連音符が駆け足で音階を踏み上がるように始まる第4楽章。
軽快なロンド主題。
リズミカルで活発さに溢れているよう。
第2主題になり華やかな趣に。
左手の力強さ。右手の華麗さ。
主題後半の第155小節からは変奏展開になっているとのこと。
次々と姿を現す力強さと華麗な旋律。
再度現れる主題の軽快な旋律。
活き活きとして華麗さに彩られた活気のある楽章でしょうか。
コーダの激しく高揚するような趣で力強い打鍵で迎える曲の終わり。

ショップの記事によるとこちらの全集は1927年10月6日にウィーンで誕生した
パウル・バドゥラ=スコダの90歳を記念し、1970年にRCAから発売された
シューベルトのピアノ・ソナタ全集が初CD化されての発売になるそうです。
1967年5月から1971年5月にかけてウィーン及びローマでの録音とのこと。


バドゥラ=スコダにより完成された第3、第4楽章を聴き
この曲に抱いてた印象がガラリと変わりました。

第3、4楽章での生き生きとした活気が漲る旋律。
屈託を感じさせない明朗な旋律。
印象に残るのは第3楽章のメヌエット主題の素朴な趣です。

バドゥラ=スコダの演奏に、これほどじっくりと耳を傾けたのは初めてのように
思います。
第1楽章冒頭のスコダの優しいピアノタッチも印象的ながら
克明なタッチが生み出す精彩、力強さには気迫を感じてしまいます。
全楽章を通し左手の伴奏も右手同様に克明な打鍵で音を刻み
曲に生き生きとした息吹を感じさせるようなピアニズムのように感じます。

先日、聴いたシフの演奏とは一味も二味も違うような
バドゥラ=スコダの精彩さ、スケールの大きさ、剛健な趣の
ソナタ第15番に出合ったような気がしています。

                 
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2017.10/07(Sat)

Op.408 ドヴォルザーク:「交響曲第9番≪新世界より≫」 by カイルベルト&バンベルク交響楽団

いろいろな意味で記憶に残るドヴォルザーク交響曲第9番新世界より」。
お気に入りの交響曲です。
好きな割合には、お気に入りの演奏が想い付きません。
と言うか、どの演奏を聴いてもこの曲には惹かれるものがあります。
特に第4楽章。

初めて求めたCDが「新世界」。カプリングはシューベルトの「未完成」でした。
カラヤン&ベルリン・フィルの演奏です。
LPからCD時代に変わる頃から多々の事情にて音楽を聴く時間、心の余裕もなく
今想うと人生の暗黒時代(?)のようなドタバタ生活。
やっと1990年代初頭に初めてCDを購入するという音楽愛好家の一人としては
10年近く遅れて初めてのCD購入の幕開けになった「新世界より」でした。

最近、良く聴いているカイルベルトのBoxに「「新世界より」が収録されており
聴く前から演奏を想像して期待満々で耳を傾けてみました。
カイルベルトバンベルク交響楽団の演奏です。
期待以上の演奏でした。

              ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界」
                 カイルベルト・コレクションより

           392ブルックナー:交響曲第6番カイルベルト&ベルリン・フィル ヨーゼフ・カイルベルト・コレクション
                        (収録曲)

                     ドヴォルザーク
             交響曲第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より
             序曲「謝肉祭」 Op.92
                     レーガー
             バレエ組曲 Op.130

                 ヨーゼフ・カイルベルト指揮
                 バンベルク交響楽団
                     (録音:1961年)

            第1楽章:Adagio – Allegro molto ホ短調 4/8拍子
            第2楽章:Largo 変ニ長調 4/4拍子
            第3楽章:Scherzo. Molto vivace ホ短調 3/4拍子
            第4楽章:Allegro con fuoco ホ短調 4 /4拍子


作曲は1893年1月10日に着手し5月24日に完成したそうです。
副題の「新世界より」は、曲の初演を指揮したアントン・ザイドルの示唆により
ドヴォルザークが与えた、と言われているとのことです。
曲の中で使われている黒人霊歌やアメリカ・インディアンの民謡を想わせる旋律は
ドヴォルザークがそれらを自分流に充分に咀嚼して用いたとのこと。

ドボルザークは次のように語っているそうです。
「わたしがこの曲にアメリカ・インディアンや黒人霊歌の旋律を原曲のまま用いているというのはナンセンスである。
わたしはこうした旋律の精神を生かして、国民的なものを書こうとしただけである。」
曲の材料はアメリカから得たものの、曲の支柱となっているのはあくまでもボヘミアの精神。
ドヴォルザークはこの曲をアメリカから故郷のボヘミアに送る音楽による望郷の手紙のようなもの、として作曲されたそうです。

         (wikiドイツ)408ドヴォルザーク:交響曲第9番 Titelblatt der Partitur von Dvořáks 9. Sinfonie
         ドヴォルザーク 交響曲第9番 自筆譜のタイトルページ

アメリカ滞在中のドヴォルザークの大作が交響曲「新世界より」。
その後に弦楽四重奏曲作品96「アメリカ」、弦楽五重奏曲作品97
そしてチェロ協奏曲が続くそうです。
チェロ協奏曲はチェコに戻ってから完成したとのこと。

作曲をする前年、1892年9月15日にドヴォルザークは故国チェコを旅立ち
9月26日にニューヨークに到着したそうです。
ニューヨークのジャネット・サーバー夫人から彼女が1885年以来経営してきた
ナショナル音楽院の院長になって欲しいと丁重な依頼状が1891年春にドヴォルザークの元に届いたそうです。
ドヴォルザークは当時プラハ音楽院の作曲家の教授として就任したばかりの折りであり郷里ボヘミアの自然を深く愛していたドヴォルザークは2年間半も祖国を離れて暮らすという気にはなれなかったそうです。
が、再三のサーバー夫人からの要請にて故国を暫くの間、後にする決心をしたとのことです。
ドヴォルザークは2年間の休暇を取り、愛妻と6人の子供ののうちの2人、長女のオティリエと長男のアントンを伴いアメリカへと旅立ったそうです。
因みに長女オティリエは後にドヴォルザークの弟子のスークと結婚をし、チェコのヴァイオリニスト、ヨーゼフ・スークはオティリエの孫になるとのこと。

初演は1893年12月158日にカーネギー・ホールに於いてアントン・ザイドル指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック協会演奏会に於いて行われたそうです。
この初演はドヴォルザークがこれまで経験したことのないほどの
また、カーネギー・ホールでも類例を見ないほどの大成功を収めたとのことです。
因みに指揮のザイドルはドイツでワーグナーの助手を務めていたことがあるとのこと。

出版は1894年にベルリンの出版商ジムロックから初めて出版。
楽譜の出版ではドヴォルザークがアメリカに滞在していたためブラームスが校正を
引き受けるという友情物語も生まれたそうです。

少々長い寄り道になりますが、第2楽章と第3楽章についてのメモを。
この2つの楽章の元になっているのはアメリカ合衆国の詩人
ヘンリー・ワーズワース・ロングフェロー(1807-1882年)が1855年に
発表した叙事詩「ハイアワサの歌」だそうです。
この叙事詩はインディアンの英雄を謳った英雄譚とのこと。

             408:ドヴォルザーク「新世界より」ハイアワサの歌
                  ハイワサとミネハハの彫刻
             (ミネソタ州 ミネアポリス ミネハハ滝近く)

ミネハハ(Minnehaha)は架空のネイティブアメリカンで、ロングフェローの「ハイアワサの歌」の中にも書かれているそうです。
ミネハハは主役のハイアワサ(Hiawatha)の恋人で悲惨な終末を迎えるとのことです。
彼女の姿は、絵画、彫刻、音楽などの芸術作品に影響を与えたそうです。
このミネハハの死のシーンをドヴォルザークは「新世界より」の第2楽章に。
第3楽章には「ハイアワサの歌」の結婚の祭典でインディアンたちが踊っているシーン
が元になっているそうです。


カイルベルト&バンベルク交響楽団で聴くドヴォルザーク交響曲第9番「新世界より」

静かに荘重な趣で奏されるチェロの序奏で始まる第1楽章。
木管楽器も加わり盛り上がる旋律。
低弦の重厚な響きに加わるティンパニの力強さ。
ホルンが吹奏し始まる第1主題
耳に馴染んだ力強いシンコペーション・リズムの躍動感のある印象的な主題。 
第2主題になり木管が奏する哀愁の調べ。
第1主題の活躍の影になるかのように楽章中に時々現れ印象的です。
力強い気迫が弱まることなく閉じられる第1楽章。

第2楽章、前述したことと重複しますが「ハイワサの歌」のミネハハの死の
シーンから受けた暗示により書かれたそうです。。
また主題にはドヴォルザークの弟子フィッシャーが“Goin'home” という
英語の歌詞を付け1922年に歌曲として発表したものが「家路」として日本にも伝播し
誰もが知る有名な旋律ですね。

管楽器が静かに吹奏される序奏で始まる第2楽章。
続いて馴染み深い有名な旋律を奏するイングリッシュ・ホルン。
イングリッシュ・ホルンの素朴な響き、調べにも魅了されます。
情感を込めて奏されるイングリッシュ・ホルンが歌うこの調べは
万人の心に染み入るような不思議な力を持つ旋律でしょうか。
木管たちが紡ぎ出す新しい旋律も郷愁の趣で。
弦の小刻みな伴奏に歌うオーボエ、木管たちに歌い紡がれ。
ゆったりと長閑に、郷愁の調べに心惹かれていると楽章は中間部に。
中間部で速度が少し上がり愛らしく、茶目っ気を感じさせるようなクラリネットの響きは
一抹の光明のようにも。
トゥッティになり盛り上がった後、再びイングリッシュ・ホルンが奏する冒頭の旋律。
オーケストラも一体となり静かに奏され、名残惜しむかのように閉じられる第2楽章。

第3楽章、「ハイアワサの歌」の結婚の祭典のシーンから受けたインスピレーションにより書かれたそうです。

華やかで活気のある短い序奏で始まる第3楽章。
主題を奏する重厚な響きに続き
舞曲を想わせるような雰囲気と躍動的感のある旋律。
木管が奏する哀愁を帯びた旋律も顔を見せ。
第1楽章の力強い旋律が現れ
中間部で活躍する木管たち。
コーダでは再び第1楽章の旋律が現れ、高揚し盛り上がりのうちに
閉じられる第3楽章。

蓄えられたエネルギーが徐々に発散されるような序奏で始まる第4楽章。
先行する序奏が終わり第1主題に。
トランペットが力強く壮大に奏される第1主題。
オーケストラも切れ味良く奏する旋律。
ティンパニも加わり力動的な雰囲気に。
第2主題になりクラリネットが奏する優美な歌。
再びオーケストラの力強い響き。
曲のこの部分に来ると、心を震撼させられます。
展開部では今まで登場した楽章の主題が総出に。
各楽章の主題が次々と現れ、楽想の豊かさに改めて気付かされます。
壮大にオーケストラが奏された後、管楽器が和音を尾を引くよう静かに奏して
迎える曲の終わり。


壮大で気迫を感じさせる演奏のなかにも情感が豊かに漂っているようです。
第4楽章はいつ聴いても感動、感動の渦になってしまいます。

バンベルク交響楽団は第2次大戦後、1949年(或いは50年)にチェコスロヴァキアを
脱出したドイツ・フィルハーモ二ーの団員を主体に結成された楽団とのことで
カイルベルトが首席指揮者として就任したそうです。
カイルベルト&バンベルク交響楽団は来日をしたこともあったそうですが。
今までバンベルク交響楽団はあまり聴くことがありませんでしたが
「新世界より」を聴きカイルベルトの良きパートナー的交響楽団のように感じられ
固唾を呑み演奏に聴き入ってしまいました。

折に触れ、時に触れ耳にしてきた「新世界より」ですが心に残る演奏になりました。
「新世界より」の愛聴盤は特になかったのですが
やっと愛聴盤と呼べるディスク、演奏に出合うことができたように想います。

                   
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