♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.383 メンデルスゾーン:「交響曲第2番『讃歌』」 by マズア&ゲヴァントハウスO. ボ二ー、ウィーンズ&シュライアー

前回のメンデルスゾーン交響曲第1番に引き続いて第2番を聴いてみました。
第1番と同じく第2番も初めて聴く曲です。
カラヤン&ベルリンフィル、サヴァリッシュ&ニュー・フィルハーモニO. そして
マズア&ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO. 3種の演奏を聴いてみました。

キリスト教では4月9日の受難の主日からの聖週間、今日は復活徹夜祭。
そして明日4月16日は復活祭。
この時期に耳を傾けるメンデルスゾーン交響曲第2番「讃歌」は
心の中で復活祭と密接に結びついてしまいます。
カンタータの歌詞で旧約聖書からの詩篇他の一句一句が
メンデルスゾーンの音楽とともに心に染み入ります。

                メンデルスゾーン交響曲第1番
                クルト・マズア&ゲヴァントハウスO.
       メンデルスゾーン交響曲全集、弦楽のための交響曲全集より

             382:交響曲全集、弦楽のための交響曲全集 クルト・マズア&ゲヴァントハウス管弦楽団
                         (収録曲)
          メンデルスゾーン: 交響曲第2番変ロ長調 Op.52「讃歌

                 クルト・マズア指揮
                 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
                 ライプツィヒ放送合唱団

                 バーバラ・ボニー(S Ⅰ)
                 イーディス・ウィーンズ(S Ⅱ)
                 ペーター・シュライアー(T)
                 ミヒャエル・ショーンハイト(Org)
                     (録音:1988年4月)


作曲された時期について門馬直美氏によると
メンデルスゾーンの1839年1月1日付け書簡を根拠とし
その前年、1838年末には作曲に取り掛かっていたと推定されるようです。

メンデルスゾーンはこの曲に「讃歌ー聖書の言葉による交響カンタータ」
“Sinfonie-Cantate Lobgesang” とのタイトルを付けたそうです。
讃歌」というのはメンデルスゾーン自身が考察した題名で
「交響カンタータ」というのはイギリス在住のメンデルスゾーンの友人の
カール・クリンゲマンが考えついたものだそうです。

曲は1部と2部、10曲で構成されているそうです。
第1部はシンフォニアで3楽章構成。
第2部がカンタータになっているとのこととのことです。
カンタータの歌詞はルターによるドイツ語訳聖書から選び出したとのこと。

1840年6月に印刷術の発明者ヨハネス・グーテンベルク400年記念祭が
ライプツィヒで開催される祝祭のためにライプツィヒ市からの依頼で
メンデルスゾーンは2つの曲を書いたそうです。
一つは男声合唱と吹奏楽団のための「祝典歌(Festgesang)」
通称「グーテンベルク・カンタータ」。
そしてもう一つがこの曲、交響曲第2番「讃歌」とのことです。
メンデルスゾーンは本来このような形態の曲を書き上げるつもりはなく
器楽用の交響曲の構想とカンタータ風の構想とが一体になり出来上がったそうです。
「祝典歌」の方はメンデルスゾーンがを気に入らずに
生前には出版しなかったとのことです。

讃歌」の総譜にメンデルスゾーンは作品のモットーとして
マルティン・ルターの次の言葉を書き記したそうです。
 「私は芸術を与え、贈られた主への奉仕の中で、あらゆる芸術を
 特に音楽を見たいのだ」

ベートーヴェンの交響曲第9番に似た構成のものとなったこの曲。
メンデルスゾーン自身はベートーヴェンの第9交響曲の模倣と見なされることを案じ
合唱の部分を拡大し、第1から第3楽章までを完全に単なる祝典的な序奏のものに
なるようにしたそうです。

初演は1840年6月25日にグーテンベルク400年記念行事の
一つとしてメンデルスゾーン自身の指揮により
ライプツィヒの聖トーマス教会で行われたそうです。
この初演の後、同年に更に3回演奏されたとのこと。
そのうちの2回はザクセン王フリードリヒ・アウグスト2世の希望だったそうです。

尚、初演には友人のシューマンも出席していたそうです。
この初演を聴いたシューマンの次のような批評を書いたとのこと。
「全体の形式は、この目的のためにはこれ以上に効果的になるとは思えないほどのものであった。全曲には情熱が溢れていて、確かに作品は、特に合唱の楽章はメンデルスゾーンのもっとも新鮮でもっとも魅力ある創作に数え入れられるべきものとなっている。・・・われわれは細部については述べないが、それにしても合唱に中断される二重唱『私は主を待ち焦がれ』のあとでは、演奏会場の大きな拍手よりもずっと教会では価値があることなのだが、ざわめきが聴衆の間に広まっていたのだ。」

この初演の後にメンデルスゾーンは声楽部分の改訂をし
第6曲、第8曲、第10曲が追加され原典版とは異なっているそうです。
改訂版は同年11月に完成し、12月3日にライプツィヒのゲヴァントハウスで
初演されたとのことです。
曲の献呈はフリードリヒ・アウグスト2世に。


初めて聴くメンデルスゾーンの交響曲第2番「讃歌」。

厳かなトロンボーンで奏される序奏で始まる第1楽章。
このトロンポーンが奏する旋律は曲全体の主題となる基本主題になっているそうです。
厳かな中にも祝祭的な喜びの雰囲気が漂っているよう。
簡潔で覚え易い主題を耳にして第1楽章から曲に親しみを感じます。
主部に入り第1主題の明るい躍動感。
第2主題での穏やかな雰囲気。
そして再び躍動的に。
活気を感じさせるリズムが進行役のように曲は進み
楽章の終わり頃に静かに吹奏されるクラリネット。
そのまま第2楽章に。

前楽章から一転してリズミカルに始まる第2楽章。
トリオでは流麗で美しい旋律が。
オーボエが奏する基本動機の変形に懐かしさのような心情に。
終始伴奏のように、あたかも通奏低音を連想させるかのように
奏されるピッツィカートはチェロでしょうか。
典雅な趣を湛えた楽章。
流麗な雰囲気を漂わせつつ楽章の終わり。

荘厳で重厚な響きで始まる第3楽章。
弦の重厚さとは対照的に明朗な木管たちが印象的です。
この楽章にも前楽章と似たような優雅な雰囲気が漂っているよう。
ゆったりと閉じられる第3楽章。


一番目に聴いたカラヤン&ベルリン・フィルの演奏に聴き応えを感じました。
が、声楽のソリストが個人的には・・・。
声楽のソリスト重視でマズア&ゲヴァントハウスO. がお気に入りになりました。
祝祭的な雰囲気よりも地味な趣の演奏のように感じられます。
オーケストラ部分をカラヤン盤から、声楽部分をマズア盤からピックアップを
した演奏が個人的な理想かも。

マズア盤でのシュライアーボ二ーは大のお気に入りです。
ソプラノのイーディス・ウィーンズは初めて耳にしました
ボ二ーとは対照的な声質、歌唱で・・・。
シュライアーは想像していたよりもオペラティックな歌唱でしょうか。
歌詞を、心で捉え、心で歌っているような感情の豊かさ。

第2部で印象に残り圧巻と感じられたのは
第5番から第8番。そして最後の第10番です。

第10番の力強く歌い始められる男声合唱の歌詞を
この曲から受けた感動を噛みしめつつ引用を。
「お前たちの種族よ、王よ、大地よ、天よ、主に栄光と権力を与えよ。
すべての者は主に感謝し、栄光を褒め称えよ」

                  
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Op.382 メンデルスゾーン:「交響曲第1番」 by マズア&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

メンデルスゾーン交響曲第1番、聴くことがないまま年月が過ぎ去ってしまいました。
メンデルスゾーン交響曲全集を求めると交響曲第3番以降は聴くのですが
第1番、第2番は未聴のままです。

先日、ブログ仲間の御方がメンデルスゾーン交響曲第1番を
お取り挙げになられていらっしゃいました記事を拝読し
関心が湧いてきました。
早速、手持ちの全集からアバド&ベルリン・フィルで聴き好感を抱きました。
メンデルスゾーンとは縁の深いライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
マズア&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の全集も見つかりました。

お気に入りのマズア&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏で
「弦楽のための交響曲全集」が目的で求めてあったものです。
交響曲第1番をマズアゲヴァントハウス管弦楽団で。

                メンデルスゾーン:交響曲第1番
                クルト・マズア&ゲヴァントハウスO.
       メンデルスゾーン:交響曲全集、弦楽のための交響曲全集より

             382:交響曲全集、弦楽のための交響曲全集 クルト・マズア&ゲヴァントハウス管弦楽団
                         (収録曲)
             メンデルスゾーン:交響曲第1番ハ短調 Op.11
                         交響曲第5番ニ短調 Op.107「宗教改革」

                   クルト・マズア指揮
                   ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
                    (録音:1989年4月 ライプツィヒ)

            第1楽章:Allegro di molto ハ短調 4/4拍子
            第2楽章:Andante 変ホ長調 3/4拍子
            第3楽章:Menuetto:Allegro molto ハ短調 6/4拍
            第4楽章:Allegro con fuocoハ短調 4/4拍子


曲は1824年に入り間もなく着手され、同年前半には書き上げられたそうです。
メンデルスゾーンが15歳の誕生日を迎えた前後に書かれた作品とのこと。
この当時のメンデルスゾーンは後年とは違い
作風を積極的に変化させていたそうです。

「交響曲第1番」とされているこの曲、実際には13番目の曲に当たるそうです。
長くなりますが・・・・。
メンデルスゾーンの最初に出版された交響曲は
この曲、ハ短調作品11だったそうです。
その際には草稿に「交響曲第13番」と記されていたとのことです。
19世紀後半にメンデルスゾーン作品全集が刊行される際に
ブライトコプフ・ウント・ヘルテル社は
メンデルスゾーンが初期に作曲した12曲、現在「弦楽のための交響曲」と
呼ばれている12曲に対し草稿の紛失、習作、或いは試作的なものとの観点から
それら12曲は無視され作品11に「交響曲第1番」と記されたとのことです。

初演は1827年2月1日、ライプツィヒにおいて
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団により行われたそうです。
指揮は1810年から1827年にかけて、このオーケストラの常任指揮者を務めた
ヨハン・フィリップ・クリスティアン・シュルツとのこと。
尚、この初演の後1829年5月25日にメンデルスゾーンは初めて訪英をし
ロンドンのフィルハーモニック協会の演奏会でこの曲を指揮し
大成功を収めたそうです。
この時の演奏では第3楽章のメヌエットの代わりに1825年作曲の
「八重奏曲」からのスケルツォを自身が管弦楽に編曲したものを
挿入したとのことです。
以来、このスケルツォ楽章を持つ形で演奏されることも多かったそうですが
やがて元来のメヌエットを置く演奏が普通になったとのことです。

曲はロンドンのフィルハーモニック会に献呈。
この事由もありメンデルスゾーンは1829年に協会の名誉会員に選出されたそうです。 
曲の草稿も協会の図書館に保存されているとのこと。


初めてマズア&ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO. で聴く
メンデルスゾーンの交響曲第1番

颯爽とした雰囲気の第1主題で始まる第1楽章。
ティンパニも加わり覇気に溢れ活力を感じる主題。
第2主題ではヴァイオリンと木管の軽やかな美しい調べ。
この楽章を聴いていると希望に溢れた前途洋々な気持ちになります。
輝くばかりの明るさ、溌剌とした活発さ。
意気揚々と歩むような雰囲気で。
力強く覇気を感じさせつつ閉じられる第1楽章。

穏やかに厳かな趣で始まる第2楽章。
柔和で美しい旋律が印象深い第1主題。
木管が主体となり奏される田園の穏やかさを想わせる第2主題。
柔和で美しい調べ。
弦と木管が優しく応答をする楽章でしょうか。
木管で穏やかに閉じられる第2楽章。
お気に入りの楽章になりました。

第1楽章と似たような趣の主題で始まる第3楽章。
中間部で主奏をする木管、弦は伴奏のように。
厳かな雰囲気に包まれているよう。
中間部を経て弦と木管が克明に刻むリズムが溌剌とした感じ。
悠然とした趣で閉じられる第3楽章。

流動的な旋律の第1主題で始まる第4楽章。
ティンパニやトランペットが加わり勇壮な趣を醸し出しているよう。
突然、静かになり終える展開部。
弦のピッツィカート、奏する木管たちに加わるティンパニ。
炸裂するような明朗感でしょうか。
ティンパニの連打、吹奏されるトランペット。
華やかに活力を伴い閉じられる曲。


溌剌と、活き活きとして15歳のメンデルスゾーンの
意気込みを感じるような曲でしょうか。
この曲から受ける印象とは隔絶な状況を迎える後年のメンデルスゾーン。
メンデルスゾーンに降りかかる多々の出来事が脳裏に浮かんでしまいますが。
それはさて置き、清々しい気分で曲に耳を傾けていました。
この曲に出合うことができ足取りが軽くなるような気分。

マズア&ゲヴァントハウスO. の演奏を聴きつつ
旋律に垣間見る美しさ。
メンデルスゾーン特有の(「具体的にどのような?」と尋ねられると返答ができないのですが)美しさに惹かれます。
予想をしていた以上に気に入った第1番。
未聴の第2番も楽しみになってきました。

                 
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Op.381 ベートーヴェン;「弦楽四重奏曲第12番」 by ズスケ四重奏団

冬に逆戻りをしたような今日一日でした。
明日からは春が戻ってくるようです。
明るい日差しの春に似つかわしい曲。
ベートーヴェン弦楽四重奏曲第12番。
ズスケ四重奏団の演奏で聴いてみました。

               ベートーヴェン弦楽四重奏曲第12番
                       ズスケ四重奏団
                ベートーヴェン弦楽四重奏曲全集より

            381:ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番 ズスケ四重奏団
                        (収録曲)
        
         ベートーヴェン弦楽四重奏曲第12番 変ホ長調 Op.127
                   弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 Op.133」
 
                     ズスケ四重奏団
           Karl Suske(Vn. 1) ; Klaus Peters(Vn.2)
           Karl-Heinz Dommus(Vla.) ; Matthias Pfaender(Vc.)
             (録音:1978年11月 ドレスデン ルカ教会)

       第1楽章:Maestoso - Allegro 変ホ長調 2/4拍子
       第2楽章:Adagio ma non troppo e molto cantabile
             変イ長調 12/8拍子
       第3楽章:Scherzando vivace 変ホ長調 3/4拍子
       第4楽章:(原譜には速度記号の記述がなく通常はPresto 或いは
              Allegro で演奏とのこと) 変ホ長調2/2拍子


作曲されたのは1822年から25年にかけてだそうです。
ベートーヴェンは30代の終わりに弦楽四重奏曲第10番「ハープ」と
第11番「セリオーソ」を書いて以降、10年余の間は弦楽四重奏曲を書くことは
なかったとのことです。
再び弦楽四重奏曲を書き始める頃には50歳を過ぎていたそうです。
当時のベートーヴェンはピアノ・ソナタの創作はすべて終わり
交響曲第9番と「ミサ・ソレムニス」の時代だったとのこと。
弦楽四重奏曲を再び書き始めた契機の一つは
1824年の暮れ頃にペテルブルクの音楽愛好家の貴族ガリツィン侯爵から
数曲の弦楽四重奏曲の依頼があったことだそうです。
伯爵自身、熟練したチェロ奏者でもあったとのこと。

ガリツィン侯爵の依頼により1826年までに3曲の弦楽四重奏曲
第12番 作品127
第13番作品130
第15番作品132
が書かれたそうです。
3曲の中で作品130は最後に完成したそうですが出版順に従い
第13番となっているとのことです。

これらの3曲のうち1曲は1822年のうちにだいたいの構想が
まとまっていたそうです。
1822年6月5日付けの出版社宛ての書簡で
ベートーヴェンは、近いうちに弦楽四重奏曲を渡すことができる、との主旨を
伝えていたそうです。
しかし、交響曲第9番の仕上げに忙殺されるようになり
弦楽四重奏曲の作曲に本腰を入れることができたのは
1824年5月に交響曲第9番の初演の終了後になったそうです。
そのような折に舞い込んだガリツィン侯爵から弦楽四重奏曲の作曲依頼。

             132ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 ガリツィン侯爵
               Nikolai Borissowitsch Golizyn
             (1794年12月19日-1886年11月3日)

ガリツィン侯爵の依頼により書かれた第1作目に当たるこの第12番は
1925年2月(10月の説も)に完成。
3月6日にシュパンツィヒ弦楽四重団により初演されたそうです。


荘厳で重厚な弦の響きの序奏で始まる第1楽章。
序奏から主部への橋渡しをする第1ヴァイオリン。
第1主題が現れチェロを伴奏にリズミカルでありながらも
力強い旋律を奏する第1ヴァイオリン。
度々、顔を出すこの主題は印象的。
再び、第1ヴァイオリンが奏する第2主題に。
序奏の重厚な調べを経て展開部に。
展開部は第1主題の自由な展開とのこと。
展開部の中で繰り返される序奏が印象的。
再現部では明るく軽やかな雰囲気に。
現れる第1主題も明るく。
終始、この楽章で活躍をする第1ヴァイオリン。
コーダでは第1ヴァイオリンが流麗さを感じさせる調べを奏しつつ終わる第1楽章。

第2楽章は自由な変奏曲形式で5つの変奏からなっているそうです。
低弦のゆっくりとした重々しさを感じさせる導入部で始まる第2楽章。
主題を奏する第1ヴァイオリンとチェロ。静かな調べです。
柔和な雰囲気が漂いホッとする主題。
変奏に移りチェロと第1ヴァイオリンが奏する第1変奏。
第2変奏ではヴィオラとチェロで静かに奏されるなかで歌うヴァイオリン。
美しい調べとして耳に響きます。    
第3変奏は一転して明るく。ユーモアを感じるような雰囲気でしょうか。
始めは第1ヴァイオリンが奏し、後半はチェロで。
第4変奏、ヴァイオリンとチェロは前変奏の面影を残し
明るい雰囲気を感じさせるようです。   
第5変奏、重厚な雰囲気。思索するような趣の変奏でしょうか。
趣を変えて光が射すような明るさに。
再び静かな調ベが戻り、上行、下降を繰り返すヴァイオリン。
変奏のうちに閉じられる第2楽章。

4つの和音がピッツィカートで奏され始まる第3楽章。
すぐに現れるチェロが奏する主題の躍動感。
トリオの部分ではリズミカルな軽やかさ、舞うような雰囲気を醸し出し楽器たち。
活発に奏される楽器たちの活き活きとした会話。
活発に生き生きとして閉じられる第3楽章。

力強く始まる第4楽章。
第1ヴァイオリンの奏する流動的な第1主題。
第2主題も活気を感じさせる雰囲気。
展開部での4つの楽器たちの力強い対話。
雄弁な楽器たち。
コーダで速度を速め力強く閉じられる曲。


「第12番はどのような曲だった?」とすぐには旋律が未だに想起できない有様です。
第1楽章の序奏を耳にした瞬間に甦る記憶。
この序奏が殊更、印象深い曲。
旋律が停滞することなく終始、歌心を感じさせる曲。
第2楽章の主題には惹かれます。
5つの変奏の中で第2変奏の美しく静かな調べ。
この調べを奏するズスケのヴァイオリンは心に残ります。
穏やかで、安らぎの調べでしょうか。

第2楽章の変奏の後に続く第3楽章の軽やかさ、活発さ
第4楽章の活気ある趣。
曲から受ける明るく生き生きとした趣が気に入り
この数日来、聴き続けています。

                   
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Op.380 ドヴォルザーク:ピアノ三重奏曲第4番「ドゥムキー」 by ボザール・トリオ

3月も末日。年度替わりの時期。
例年は 他人事 でしたが今年は、そうも行かなくなりました。
4月からの新年度を目前に気忙しさだけが先立っています。

しばしば耳にする曲名、ドヴォルザークピアノ三重奏曲第4番「ドゥムキー」。
お気に入りの Box から今回もボザール・トリオの演奏です。
この曲は1969年と1985年の2種の録音が収録されているようですが
1969年の録音の方を聴いてみました。

            ドヴォルザークピアノ三重奏曲第4番「ドゥムキー
              ボザール・トリオ~フリップス録音全集より


               380:ドヴォルザークピアノ三重奏曲 ボザール・トリオ
                         (収録曲)

         ドヴォルザークピアノ三重奏曲第3番 へ短調 Op.65
                   ピアノ三重奏曲第4番 ホ短調 「ドゥムキー」 Op.90

                      ボザール・トリオ
                   メヘナム・プレスラー(P)
                   イシドア・コーエン(Vn)
                   バーナード・グリーンハウス(Vc)
                       (録音:1969年)

    第1楽章:Lento maestoso - Allegro quasi doppio movimento-
           Lento maestoso - Allegro ホ短調 6/8拍子
    第2楽章:.Poco adagio - Vivace non troppo - Poco adagio - Vivace
           嬰ハ短調 4/8拍子
    第3楽章:Andante - Vivace non troppo - Andante - Allegretto
          イ長調 4/4拍子
    第4楽章:Andante moderato,quasi tempo di marcia -
          Allegretto scherzando - Meno mosso - Allegro - Moderato
          ニ短調 2/4拍子
    第5楽章:Allegro 変ホ長調 6/8拍子
    第6楽章:.Lento maestoso - Vivace - Lento - Vivace ハ短調 4/8拍子
              (ブックレット記載の速度記号を参照)

作曲に着手したのは1890年11月。翌1891年2月12日に完成したそうです。
ドヴォルザークピアノ三重奏曲を6曲書いたそうですが
そのうち2曲は失われたとのことです。
この第4番「ドゥムキー」はピアノ三重奏曲として作曲された6曲目の
最終作になるそうです。

ドヴォルザークの最盛期は1892年にアメリアに渡る直前の4、5年間で
40歳代半ばから50歳頃にかけてだったそうですのでこの曲は
ドヴォルザークの最盛期の作品ということに。

ドヴォルザークが作曲し完成された形で現存する多楽章の室内楽は
32曲あるそうです。
それらの作品の中で最もユニークな傑作とのこと。

曲名の「ドゥムキー:dumky」は本来ウクライナのバンドゥラやゴブザなどの
民族楽器の伴奏を持ったバラード風の民謡形式『ドゥムカ:dumuka』の
複数形だそうです。
“dumuka”はチェコ語で「回想」「瞑想」を意味するとのことです。
ドヴォルザークはこの民謡形式に厳密に従ったドゥムカを書いたことは
なかったとのことです。

初演は1891年4月11日にプラハの市民クラブ会館における記念の夕べで
ヴァイオリン、フェルディナント・ラフナー、チェロがハヌシュ・ヴィハン
ピアノがドヴォルザーク自身の演奏で行われたそうです。
彼らはプラハ音楽院の教授仲間とのこと。


第1楽章は対照的な2つの部分が交互に現れる2部形式とのことです。
ピアノとヴァイオリンで華やかに始まる第1楽章。
主題は「悩みと憧れ」とのこと。
ヴァイオリンは翳りを感じさせる雰囲気の調べ。
ピアノが加わり相変わらず憂愁の調べを歌うヴァイオリン。
一転して始めの明るい雰囲気が再び。
明るく軽快に奏されるピアノと弦楽器。
弾むような明るいリズムで奏されるピアノとヴァイオリン。
チェロもヴァオリンに呼応をして。
力強くなり主奏をするチェロ。
ピアノの美しい弱音にのりヴァイオリンが奏する歌。
呼吸を合わせるヴァイオリン、ピアノ、チェロが明朗に。
3つの楽器で明るくリズミカルに閉じられる第1楽章。
この楽章の明るさには一緒に口ずさみたくなる親しみを感じます。

第1楽章同様に対照的な部分が交互に現れる2部形式とのこと。
ピアノがゆっくりと奏され始まる第2楽章。
加わるチェロ。チェロの調べは「ドゥムカ」そのものの雰囲気に感じられます。
哀愁の趣も漂っているように。
ヴァイオリンはそっと寄り添っているよう。
主奏はピアノに移り右手が郷愁を感じさせるような懐かしさを感じさせる調べ
左手は静かな伴奏を。
チェロが現れ主奏を。ピアノとヴァイオリンが寄り添うように伴奏を。
チェロの調べも郷愁、哀愁のような趣。ピアノもまた。
一転してヴァイオリンが明るく奏されピアノも弾むようなリズムを。
チェロも加わり舞踏風に奏される3つの楽器たち。
速度、音量を上げ陽気で情熱的な雰囲気に。
主奏のヴァイオリンの明るく速いリズム。
ピアノは素早い動き。チェロはピツィカートで。
ピアノだけの主奏からチェロのゆっくりとした主奏に。
3つの楽器たちはそれぞれも想いを囁くかのよう。
瞑想的な雰囲気。
ヴァイオリンが奏する歌が印象的。
ピアノはアルペッジョのように、チェロは同一音を奏し。
主奏がピアノに替わり続く瞑想的な雰囲気。
終わりは陽気に。

ピアノの抒情的な旋律で始まる第3楽章。
すぐにヴァイオリン、チェロも加わり
静かにゆっくりとピアノが独り言のように。
チェロ、ピアノ、そしてヴァイオリンと続き
再びピアノの主奏で瞑想的な調べを。
ヴァイオリンが歌い、チェロも歌い、2つの楽器に寄り添うピアノ。
瞑想的な雰囲気から活発な雰囲気に。
曲の終わり頃から再び抒情的な雰囲気を醸し出すヴァイオリンとチェロ。
次第に音域を低くし重厚な雰囲気
静かに終わる第3楽章。

ピアノで始まる第4楽章。
ヴァイオリンとチェロが奏する郷愁の感じられる主題。
ヴァイオリンとチェロを伴奏として躍動的に奏されるピアノ。
ヴァイオリンの主奏を経て主奏はチェロに。
ピアノとヴァイオリンが切れの良いリズムを。
まるで歩みを感じさせるようなリズム。
一瞬舞踏風の華やかさ。激しさも。
再び郷愁を感じさせる主題に。
チェロの調べが心に響きます。
ゆっくりと閉じられる第4楽章。

明朗に始まる第5楽章。
チェロの主導でヴァイオリン。ピアノはアルペッジョで。
溌剌と、活き活きと奏される3つの楽器たち。
一時、静かに奏されるヴァイオリンとピアノ。
再び軽快な明るさに。
陽気に力強く閉じられる第5楽章。

第1、第2楽章と同様に対照的な2つの部分が交互に現れる2部形式とのこと。
3つの楽器の深刻そうな雰囲気で始まる第6楽章。
次にピアノが力強く刻むリズム。
この繰り返しのあとに現れるヴァイオリンが奏する悲哀を感じさせるような調べ。
郷愁や抒情性、活気さが混合しているよいうな楽章でしょうか。
明るく力強いピアノの打鍵で閉じらる曲。


「明」と「暗」で構成されているような
はたまた気分がコロコロと変わるようなドヴォルザーク流のドゥムカでしょうか。
聴き終えて「ドゥムキー」の「回想」「瞑想」の雰囲気よりも
「明」の部分が記憶に残り愉しい曲として感じられるようです。
ピアノ、ヴァイオリン、チェロがそれぞれ主役のように活躍をし
3人の息の合った演奏。
曲想からも活き活きとした印象を強く受けるとともに
プレスラーのピアノの溌剌さ、表情の豊かさに
この曲でも耳を奪われてしまいます。

                  
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Op.379 グラズノフ:「ヴァイオリン協奏曲」 by ヴェンゲーロフ;アバド&ベルリン・フィル

今日もまた初めて聴く作曲家グラズノフの作品です。
先日お寄せいただいたコメントにグラズノフの名前があり
作品を聴いてみたいと思ったのですが,何と作品が一つも思い浮かばないのです。
作品を調べてみると各ジャンルにおいて多く作曲をしていることを知りました。

やはり関心を抱くのはヴァイオリン協奏曲。
初めて聴くグラズノフの作品。
ヴェンゲーロフのテルデック&EMI録音集よりヴァイオリン協奏曲を。
演奏はヴェンゲーロフ、アバド&ベルリン・フィルです。


                 グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲
               ヴェンゲーロフ;アバド&ベルリン・フィル
          マキシム・ヴェンゲーロフ~テルデック&EMI録音集より

           379:グラズノフ:マキシム・ヴェンゲーロフ テルデック&EMI録音集
                           (収録曲)

             チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
             グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲 Op.82
 
                    マキシム・ヴェンゲーロフ(Vn)
                    クラウディオ・アバド(指揮)
                    べルフィン・フィルハーモニー管弦楽団
                     (録音;1995年5月 ベルリン)


                 第1楽章:Moderato イ短調 4/4拍子
                 第2楽章:Cadenza : Andante sostenuto
                 第3楽章:Allegro イ長調 6/8拍子


作曲されたのは1904年だそうです。
手持ちの解説書によると曲の構成は2楽章構成となっており
カデンツァを第1楽章に含めてあります。
3楽章構成、2楽章構成の考え方があるようですね。
ディスクには3楽章になっていますので一応、3楽章構成として。
楽章間に切れ目がなく連続して演奏されるのでウッカリと楽章が変わったことに
気付かないこともありました。
曲の主要主題は民族音楽から取り入れられているとのことです。

この曲はグラズノフの円熟期の代表作だそうです。
作曲したヴァイオリン協奏曲はこの曲のみとのこと。
グラズノフを「ロシアのブラームス」とする人もいるそうです。

             216
                    Leopold von Auer
               (1845年6月日-1930年7月15日)

初演は1905年2月(4月との説も)15日、サンクトペテルブルクに於いて
ロシア音楽協会のコンサートでレオポルト・アウアーをヴァイオリン独奏者とし
グラズノフ自身の指揮で行われたそうです。
曲はアウアーの協力のもとで作曲されアウアーに捧げられているとのことです。


独奏ヴァイオリンが奏する第1主題で始まる第1楽章。
夢見るような、幻想的な趣も感じられる主題。
独奏ヴァイオリンが奏する三連音符の上行及び下降音階では
ヴェンゲーロフが奏する滑らかさに耳を奪われます。
第2主題の穏やかなヴァイオリンの歌。
清明な調べで惹かれます。
オーケストラの深い響きのある演奏を経て現れる新しい主題。
この主題もまた独奏ヴァイオリンの夢見るような、美しい調べ。印象的です。
伴奏のハープも印象に残ります。
ヴァイオリンとハープの夢見心地な美しい調べ。
甘美な歌を歌うヴァイオリン。 
聴き惚れてしまい気が付くと第2楽章に。

緩徐楽章とは言えオーケストラの力強さで始まる第2楽章。
前半ではヴァイオリンは情熱的な雰囲気で。    
後半になり優雅な趣に。
そして続くカデンツァ。
幻想的な美しさ。
ピッツィカートを境に重音奏法とトリルでは耳を奪われ
鑑賞する立場でありながら緊張感に。
カデンツァを終え、チェロとコントラバスが奏されつつ第3楽章に。

今までの夢見るような雰囲気から一転して始まる第3楽章。
ファンファーレのように勢いよく奏されれるトランペット。
颯爽とした管楽器と溌剌とした独奏ヴァイオリンが奏する第1主題。
ロシア民族舞踏風のリズムとのことで聴いていても親しみを感じるようです。
第2主題でも生気を感じさせる独奏ヴァオリン。
ヴァイオリンとオーケストラの活き活きとした趣には壮麗さも。
明るく愉しげに奏される独奏ヴァイオリン。
曲は燦々とした煌めきを感じさせるような雰囲気。
次第に生気に満ちた曲想に。
トライアングルも加わり独奏ヴァイオリンのフラジョレットも面白く。
祝祭でもあるかのような明るいく陽気な雰囲気。
力強く溌剌と奏され華やかさとともに閉じられる曲。


曲が終わり、いつもの溜め息が出ました。
第1、第2楽章には夢見心地に耳を傾け
第3楽章になり気分はすっかり覚醒。

初めて耳にしたグラズノフの曲。
音楽に漂う美しさ。
静寂の中にキラリと光るような美しさ。
清明な美しさのように感じられ好感を抱きます。

ヴェンゲーロフの演奏を初めて聴いたのはブラームスの
ヴァイオリン協奏曲だったように思います。
特別、印象に残る演奏と感じることもなく・・・この Boxも 暫く手にすることもなく
月日が流れました。
グラズノフのヴァイオリン協奏曲のお陰でヴェンゲーロフのヴァイオリンに
目覚めた(?)ような気がしています。
この曲ではヴァイオリンの音色は繊細な柔らかさを感じます。
第3楽章では力強さも発揮。
ヴェンゲーロフが使用しているヴァイオリンは1727年製の
ストラディヴァリウス『ル・レーニェ』とのことです。
未聴のディスクが多いのですが、この Box を改めて聴き直してみたくなりました。


いつもの蛇足です。オバサンの井戸端会議。自分のメモ。
伊熊よし子著「ヴェンゲーロフの奇跡」(共同通信社刊)から
このディスク、アバド&ベルリン・フィルとのグラズノフのヴァイオリン協奏曲に関する記述がありましたので、他の記述ともども引用をさせていただきつつ。

先ずはこのディスクに関する記述から。
1995年、マキシムはアバドの指揮、ベルリン・フィルとの共演でチャイコフスキーとグラズノフのヴァイオリン協奏曲の録音を行ったそうです。
この時にマキシムが使用していたヴァイオリンはストラデイヴァリウス『ル・レーニェ』(1727年製)とのこと。
この『ル・レーニョ』は後述のパリ公演で貸与されたものだそうです。
コンサートの前日に『ル・レーニェ』を受け取り、その足でリハーサル会場へ行ったそうです。
『ル・レーニェ』に出合いマキシムは本当に自分を理解してくれる親友を得たような気持ちで胸が熱くなったそうです。
『ル・レーニェ』はすっかりマキシムに馴染み楽器と一体となった演奏が可能になったとのことです。
マキシムはこの2曲の録音を『ロシア・アルバム』と呼び、その後何度も聴き直しているとのこと。

アバドとマキシムは初めて会った時から気が合い、ジョークを言い合う仲だったそうです。
アバドは「マキシム、マエストロなんて絶対呼ばないでくれよ。クラウディオでいいからね。」
マキシムはアバドには何でも素直に話すことができたそうです。
いつも2人は冗談を言い合っていたため、ステージで目が合うと笑い出しそうになったとか。
マキシムは本番ではできる限りアバドのタクトだけを見て、顔を見ないようにし、アバドもマキシムのヴァイオリンと弓に目線を合わせていたそうです。
そして演奏が終わると二人は顏を見合わせて、思い切り笑う、そのような状態が続いたそうです。

ヴェンゲーロフは17歳の時にパリの公演でアバド&ベルリン・フィルと共演する機会に恵まれたそうです。
その時の演奏曲はブラームスのヴァイオリン協奏曲だったとのこと。
マキシムは初めて取り組む曲だと知ったアバドは半年前に電話をしてきて「もう練習を始めたんだろうね」と。
マキシムは「いいえ、まだです」との返事。
当時、マキシムはコンサート活動が多く、遊びたい気持ちもあり、公演のギリギリになり新しい作品に取り掛かるのが常だったとのこと。
それを察知したアバドは定期的にマキシムに電話をしたそうです。
コンサートの一ヶ月前にマキシムに電話をしたアバドはマキシムが練習を始めたばかりだと知りアバドの声には焦りがあったそうです。
「急がないと時間がないよ、急いで。それで、どんなカデンツァをやるんだい?」
「いえ、まだカデンツァまでいっていないんですよ。第1楽章だけで・・・・」(略)
公演の一週間前になりアバドからの電話。
「カデンツァは選んだかい?」。 まだ、決まっていなかったマキシムに「すぐにカデンツァを決めなさい。もう、一週間しかないんだよ」とアバド。
「では、自分で書きます」とマのキシムの返事に絶句するアバド。
マキシムは部屋に籠って2時間でカデンツァを書き上げたそうです。
   (まとまりのない長い井戸端会議になってしまいました)

                 
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Op.378 ブラームス:「ピアノ三重奏曲第3番」 by ボザール・トリオ

ベートーヴェンのピアノ三重奏曲に惹かれている昨今。
ふと、ブラームスのピアノ三重奏曲を聴いてみたくなりました。
初めて聴く第3番。
演奏はボザール・トリオです。


               ブラームス:ピアノ三重奏曲第3番
             ボザール・トリオ フィリプス録音全集より

               
          378;ブラームス:ピアノ三重奏曲第3番 ボザール・トリオ
                       (収録曲)
            ブラームス:ピアノ三重奏曲第1番 ロ長調 Op.8
                    ピアノ三重奏曲第3番 ハ短調 Op.101

                      ボザール・トリオ
                   メヘナム・プレスラー(P)
                   イシドア・コーエン(Vn)
                   バーナード・グリーンハウス(Vc)
                      (録音:1986年)


           第1楽章:Allegro energico ハ短調 3/4拍子
           第2楽章:Presto non assai ハ短調 2/2拍子
           第3楽章:Andante grazioso ハ長調 3/4、2/4拍子の混合
           第4楽章:Allegro molto ハ短調 6/8拍子


この曲はブラームスが1886年5月から秋までスイスのトゥーン湖畔に
滞在していた際に作曲されたそうです。
この年、ブラームス53歳頃でしょうか。
因みに11月には弟のフリッツが逝去とのこと。

当時のブラームスの備忘録によるとこの滞在中に歌曲、合唱曲や
「チェロ・ソナタ第2番」、「ヴァイオリン・ソナタ第2番」とともに
ピアノ三重奏曲が完成されたそうです。

ブラームスは1886年からの3年間、毎夏をスイスの雄大な風景に囲まれた
トゥーン湖の畔のホーフシュテッテンで避暑をしたそうです。
トゥーンの滞在中には多くの室内楽作品が作曲されたとのことです。
トゥーン滞在中にブラームスは週末ごとにベルンの親友ヴィットマン宅に行き
室内楽のアンサンブルを楽しむことが常だったそうです。
ブラームスは室内楽にかなり魅力を感じていたとのこと。
トゥーンでの最初の避暑を過ごした1886年に作曲されたピアノ三重奏曲第3番。
この年はブラームスにとっては悲しみも悩みもない愉しい幸福な時期だったそうです。
生涯のうちで最も精力的に創作活動を続けることができた年でもあったとのことです。

私的初演は曲の完成後、間もなく親友のヴィットマン宅で行われたそうです。
公開初演は1886年12月30日にブダペストにおいて
イェーネ・フバイのヴァイオリン、ダーヴィト・ポッパーのチェロ
そしてブラームス自身のピアノで行われたそうです。


ボザール・トリオで聴くブラームス、ピアノ三重奏曲第3番

激しく力強い第1主題で始まる第1楽章。
ピアノは渾身の力を感じさせるような打鍵。
弦の力強さ。
そのうちにピアノと弦楽器で刻まれる切れの良いリズム。
闊歩するような趣のリズムが印象に残ります。
第2主題になり弦が奏する穏やかな歌のような調べ。
寄り添うように伴奏をするピアノ。
調べには流麗さも。
静かに奏された後に力強い和音で閉じられる楽章。

第2楽章はスケルツォに相当するとのことです。
ピアノと弦楽器とが急いたように奏され始まる第1部。
リズミカルな感じの中にも仄暗さを感じさせるピアノ。
第2部でピアノに郷愁を感じさせるかのような趣も。
中間で弦が奏する茶目っ気を感じさせるユーモア。
あたかも照れ隠しのような意外性を感じるユーモアです。
静かに閉じられる第2楽章。

第3楽章の拍子は3/4拍子と2/4拍子が混合したものになっているとのことです。
ヴァイオリンがチェロを伴奏に穏やかに奏されて始まる第3楽章。
柔和な調べ。
調べは弦楽器たちからピアノへと移り繰り返され。
再び現れる旋律はヴァイオリンを主奏にチェロの伴奏で穏やかに。
繰り返すピアノはトリルで装飾的に花を添えているよう。
柔和に語り合うピアノと弦楽器たち。
雰囲気に少し明るさが現れ語り合うピアノと弦楽器たち。
再現部は回想にように感じられるものがあります。
静かに奏され曲の終わりかと思っていると
強音で和音が出され凛とした趣で第3楽章の終わりに。
第1楽章と同じような楽章の終わり方に決意のような意志力を感じます。

ヴァイオリンは軽快に、ピアノは活発に奏されて始まる第4楽章。
力強さ、激情が混沌とした雰囲気のようにも感じられるこの第1主題。
ピアノのアルペッジョに乗り奏される弦楽器。
第2主題ではピアノは柔和に。
スタッカートで始まる展開部では活気が感じられます。
ピアノと弦楽器が奏する情熱的な世界を経て
明るく始まるコーダ。
弦楽器たちは歌を歌うかのように伸び伸び。
冒頭、第1主題の激しさがピアノと弦楽器で奏され
渾身の力強さを感じさせつつ締めくくられる曲。


力強く雄大な趣を感じる曲。
3つの楽器だけにも拘らず大きなスケールを感じてしまいます。
旋律に支配をされグイグイと引き込まれ
旋律の進行に捕らわれているうちに曲が終わってしまいました。
ブラームスの曲を聴いているとつい季節に例えたくなってしまいます。
この曲は真夏、灼熱の夏を連想してしまいます。
しみじみ・・・とは無縁の世界がこの曲に拡がっているように感じられます。

ボザール・トリオの演奏を耳にすると常にプレスラーのピアノに
耳を奪われてしまいます。
ピアノが主人公なのですからピアノの存在が大きいのは
当然と言えば当然なのですが。
この曲でもプレスラーのピアノに自然に惹き込まれてしまいます。
此処で聴かせてくれる活き活きとしたピアニズム。
強音での力強さには渾身の力を感じます。
エネルギッシュな打鍵。
アルペッジョが活躍する第4楽章でのプレスラーのピアノもまた印象的。
ボザール・トリオの演奏は情熱的な雰囲気に満ち華麗さをも感じさせるようです。

プレスラーは1955年に結成されたボザール・トリオの結成者で
プレスラーただ一人が交替することなくトリオを支えてきたそうです。
今のところメンバーではヴァイオリンのコーエン、チェロのグリーンハウスとの
トリオの演奏が気に入っています。

                  
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Op.377 ボロディン:「弦楽四重奏曲第2番」 by エマーソン弦楽四重奏団

いつの頃からか、耳を傾ける音楽は気に入った作曲家の作品や
気に入った曲ばかりを聴くようになっています。

過日、お寄せいただいたコメントにボロディンの弦楽四重奏曲第2番の曲名を
拝見してすっかり聴くことのなかったボロディンの作品を聴いてみました。
第3楽章の「夜奏曲」は遥か昔の愛聴曲の一つであったことを思い出しました。
前回のチャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」と同じように
昔々の愛聴曲でありながら久しく耳を傾けることのなかった曲です。

ボロディンは馴染むことができない作曲家の一人。
弦楽四重奏曲第2番はディスクを入手したときに聴いただけだったようです。
ロシア国民楽派の作曲家は昔も今も大の苦手で・・・。
云十年振りに今回は全楽章にじっくり耳を傾けてみました。

エマーソン弦楽四重奏団のディスクです。
かなり以前に求めた DGの SUPER BEST 101 です。
現在発売されているCDジャケットとは微妙ににデザインが違いますが
一応ジャケット画像を以下に。

                 ボロディン:弦楽四重奏曲第2番
                   エマーソン弦楽四重奏団

            377:ボロディン:.弦楽四重奏曲第2番 エマーソン弦楽四重奏団
                        (収録曲)

       ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲 第12番 ヘ長調 Op.96 「アメリカ」
       チャイコフスキー:弦楽四重奏曲 第1番 ニ長調 Op.11
       ボロディン:弦楽四重奏曲 第2番 ニ長調

                  エマーソン弦楽四重奏団
                (録音:1984年 ニューヨーク)


           第1楽章 :Allegro moderato ニ長調 /2拍子
           第2楽章:Scherzo―Allegro ヘ長調 3/4拍子
           第3楽章:Notturno―Andante イ長調 3/4拍子
           第4楽章:Finale―Andante - Vivace ニ長調 2/4拍子


作曲されたのは1881年6月の下旬に数週間で完成したそうです。
余計なことながら、CDジャケットの解説によると作曲に着手したのは
1874年冬、全曲完成は1879年8月と記述されていますが・・・これは第1番の方の
作曲時期では?

ロシア国民楽派の作曲家のうちで室内楽の傑作と呼べる作品を遺したのは
ボロディンだけだったそうです。
彼らは絶対音楽として室内楽に対し国民主義の理念からは相容れないもの
として冷淡であったとのことです。
ロシア国民楽派、<五人組>の中でただ一人、ボロディンは少年時代から
チェロの演奏に親しんだこともあり友人たちと合奏をして楽しむための
室内楽を多く作曲したそうです。
ボロディンが1862年に<五人組>に加わりその指導者のバラキレフの
指導を受け始める以前のものは習作の域を出ないものだったそうです。
また、内容的にもメンデルスゾーンやシューマンの模倣に過ぎなかったとのこと。

ボロディンは医科大学の科学者、教授として多忙な日々を送り
わずかな余暇を作曲に当てていたそうで
ボロディン自身は自らを「日曜日の作曲家」と呼んでいたそうです。

初演は1882年1月26日、ぺテルブルクに於いて
弦楽四重奏曲第1番と同様にロシア国民協会四重奏団によって
行われたそうです。
尚、この初演から5年後の1887年2月27日(ユリウス暦)に
ボロディンは急死をしたそうです。53歳。
曲の献呈はボロディン夫人のエカテリーナ・ボロディンに。


チェロの歌で始まる第1楽章。
第1楽章のこの冒頭の第1主題。惹きつけられる旋律です。
チェロから第1ヴァイオリンへと歌は移り。
柔和で抒情的な趣が感じられる第1主題は心に刻まれます。
第2主題になり第1主題と似たような趣でピッツィカートを伴奏に
奏される第1ヴァイオリン。
田園の長閑さを想起してしまうような穏やかさも感じます。
ゆっくり閉じられる楽章。
優しく美しい第1ヴァイオリンが主唱する歌の楽章でしょうか。
チェロの伸びやかな歌と響きも心に残る楽章です。

第2楽章は2つの似通った楽想の交替で成っている楽章だそうです。
軽快な旋律で始まる第2楽章。
1つは伸びやかな流れのような楽想でホッとする感じがします。
2つ目の楽想は軽妙で活発さを感じるようです。
この2つの楽想が交互に奏され活発な印象を受けます。
楽章の終わりは忙しげに奏され速いピッツィカートで閉じられる第2楽章。
活発さを感じさせる楽章でしょうか。

ヴァイオリンとヴィオラの調べで始まる第3楽章。
例の有名な旋律。
第2ヴァイオリンがヴィオラを伴奏に奏する静かに美しい調べの主楽想。
ヴァイオリンの歌が続き、次に歌い出すチェロ。
第1ヴァイオリンが静かに弱音で奏する調べ。
この主楽想も忘れ難い調べです。
高揚した雰囲気の副楽想。
主奏をする楽器が変わりつつ
伴奏楽器にも変化があり主奏と伴奏に色彩が漂うよう。
静かに終わる第3楽章。
一度、耳にすると忘れられない印象を受ける第3楽章。

ゆっくりとした序奏で始まる第4楽章。
序奏が終わり忙しげに奏される序奏の要素。
緊張感を湛えたチェロが奏する持続音のようなパートを境に
躍動駅な雰囲気に。
再び現れる序奏の要素。
華々しく奏されて閉じられる曲。


エマーソン弦楽四重奏団で聴くボロディンの弦楽四重奏曲第2番。
全楽章にじっくり耳を傾けるのは初めてです。

第1楽章の穏やかさ、歌
第2楽章での活発さ
第3楽章での美しい抒情性
第4楽章は第1、2楽章の面影はまったく感じられず即物的に感じられてしまいました。
奇数楽章は「静」、偶数楽章は「動」のようにも感じます。

エマーソン弦楽四重奏団は緻密な構築さを感じさせる演奏でしょうか。
「情」よりも「知」を感じさせる演奏のように感じます。

お気に入りの第3楽章を聴きたく思い
手持ちのディスクからイタリア四重奏団の演奏も聴いてみました。
情感の豊かさを感じさせられるようです。
ホッとした気分で耳を傾けていました。

あと一枚のディスク。こちらも昔、求めたディスクです。
「アンダンテ・カンタービレ~ロシアへの誘い」と題された小品集。
ボロディン四重奏団の演奏です。
残念ながらボロディンの第2番は第3楽章のみが収録されていました。
ボロディン四重奏団の全楽章の演奏に関心が湧いてきました。

                  
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Op.376 チャイコフスキー:「弦楽四重奏曲第1番」 by モスクワ弦楽四重奏団

チャイコフスキー弦楽四重奏曲
久し振りを通り越し、一昔振リも通り越し
長い間、聴くことがありませんでした。

先日、チャイコフスキーのピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」を聴き
チャイコフスキーの音楽の旋律美に魅了されてしまいました。
第2楽章が「アンダンテ・カンタービレ」として有名なチャイコフスキー
弦楽四重奏曲第1番を思い出しました。

チャイコフスキー弦楽四重奏曲のディスク。
CDラックで眠り続けすっかり忘れかけていた一枚を取り出してみました。
昔々、チェロに編曲された第2楽章の「アンダンテ・カンタービレ」が好きで
しばしば聴いていましたが第1番全曲を聴きたく求めたディスク。
聴き直してみました。
う~ん、ちょっと・・・やっぱり。

手元にある他のディスクを聴いてみました。
チャイコフスキー・エディションからモスクワ弦楽四重奏団の演奏です。
まったく期待していなかったのですが、好感度100%の演奏。
すっかり気に入ってしまいました。


                チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番
                    モスクワ弦楽四重奏団
                 チャイコフスキー・エディションより


             357:チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番 モスクワSQ(チャイコフスキー・エディション)
                         (収録曲)

           チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番 ニ長調 Op.11
                      弦楽四重奏曲第3番 ホ短調 Op.30 
                          
                     モスクワ弦楽四重奏団
               (モスクワ・ヴィルトゥオーソのソリストたち)
                     Alexandre Detisov(Vn)
                     Alexandre Gelfat(Vn)
                     Igor Suliga(Vla)
                     Alexandre Osokine(Vc)
              (録音:1994年3月17-29日 モスクワ音楽院)


           第1楽章:Moderato e semplice ニ長調 9/8拍子
           第2楽章:Andante cantabile 変ロ長調2 /4拍子
           第3楽章:Scherzo  
                 Allegro non tanto e con fuoco ニ短調 3/8拍子
           第4楽章:Finale  Allegro giusto ニ長調 4/4拍子



作曲されたのは1871年2月、短期間で書き上げられた曲だそうです。
チャイコフスキーはニコライ・ルビンシュテインの勧めで自作演奏会を企画し
管弦楽作品ホールを満たす程の集客はできないと考えたチャイコフスキーは
小ホール向けの室内楽を新たに作ることにし、この曲が作られたとのこと。
曲の評価としてはロシア民謡の旋律を用いた第2楽章、「アンダンテ・カンタービレ」により親しまれ曲全体が優れているという訳ではない、とのことですが。

チャイコフスキーの弦楽四重奏曲で今日残っているのは3曲だそうです。
3曲のうちで最も知られているのが第1番とのこと。
1874年作曲の第2番 および 1876年作曲の第3番は
演奏される機会は少ないそうです。
第3番も聴いてみたのですが個人的には気に入りました。
寄り道になりますが、自分のメモとして。
弦楽四重奏曲第3番はチャイコフスキーの弦楽四重奏曲第1、2番の初演を
担当したヴァイオリニストのフェルディナント・ラウプが1875年3月に死去。
その訃報に際しチャイコフスキーは深い哀悼の念を込め弦楽四重奏曲第3番を
1876年1月、作曲に着手し2月末に完成。
ラウプの霊に捧げたとのこと。

さて話を戻し、1876年12月にモスクワに来た文豪トルストイに敬意を表し
ニコライ・ルビンシュテインは特別の演奏会を催したそうです。
この演奏会での有名なエピソードがあるそうです。
第2楽章の「アンダンテ・カンタービレ」も演奏され
チャイコフスキーの隣にいたトルストイが曲を聴きながら涙を流し始めた、そうです。
この演奏会より10年程を経た1886年7月1日のチャイコフスキーの日記には
 「あの時程、喜びと感動をもって作曲家としての誇りを抱いたことは
 恐らく私の人生に二度とないだろう」
と記されているとのことです。

初演は1871年3月28日にモスクワの貴族会館の小ホールで行われたそうです。
演奏はロシア音楽協会四重奏団のメンバー、F.G.ラウブ、I.P.ブリャニシニコフ
L.F.ミンクス、V.F.フィッツェンハーゲンとのことです。
尚、この時に作家のツルゲーネフも聴きに来ていたそうです。

曲の献呈は生物学者でありロマン主義文学に造詣が深く
またチャイコフスキーにさまざまな影響を与えた友人の
セルゲイ・アレキサンドロヴィッチ・ラチンスキーに。


モスクワ弦楽四重奏団で聴くチャイコフスキーの弦楽四重奏曲第1番

ゆったりと奏される第1ヴァイオリンの旋律で始まる第1楽章。
この第1主題に漂う清らかで素朴な雰囲気には即、魅了されます。
お気に入りの主題です。
第2主題になり歌う第1ヴァイオリン。
音色が心なしか第1主題よりも明るいようにも。
第1ヴァイオリンを引き立てる他の楽器たち。
高揚感のうちに展開部に。
再び現れる第1主題の美しい素朴な調べを耳にしてホッとします。
コーダでは華麗な歌を奏しつつ速度を上げて華々しい雰囲気の内に
終わる第1楽章。
第1ヴァイオリンの独壇場のような楽章。
また「流れ」と躍動的なリズムが融合した楽章でしょうか。

耳に馴染みの旋律「アンダンテ・カンタービレ」で始まる第2楽章。
この楽章は2つの要素で構成されているそうです。
ヴァイオリンの歌う主題の優しくしみじみと心に染み入る調べ。
ロシア民謡の旋律が用いられているこの主題。
チャイコフスキーが1869年の夏、ウクライナのカメンカの妹の家に滞在していた際
ぺーチカを作る職人が歌うロシア民謡を聞いた、と言われているそうです。
歌詞は次のようなものだそうです。
「ワーニャは長椅子に座って、コップにラム酒を満たす・・・エカチェリーナのことを想う」
素朴で抒情的な美しい旋律。
第2の要素ではチェロのピッツィカートを伴奏に奏されるヴァイオリン。
再び始めの主題、第1の要素が現れ第2の要素と交互に奏され
落ち着いた雰囲気で次第にゆっくりと。
コーダで始めの主題が静かに消え去るように奏され閉じられる第2楽章。

躍動的な旋律で始まる第3楽章。
活発に奏されるヴァイオリン、ヴィオラそしてチェロ。
中間部では楽器たちは力強く。
トリオではチェロの動きがに面白さが。  
コーダで始めの主題が現れ活発に終わる第3楽章。
活発で元気溌剌の楽章でしょうか。

第1ヴァイオリンが奏する明朗でリズム感のある旋律で始まる第4楽章。
この第1主題は親しみやすい旋律で愉しげな雰囲気。第
1ヴァイオリンが明るく奏する主題を追いかけるヴィオラ。
2つの楽器は活気な雰囲気を織りなしているよう。
第2主題では躍動的に奏される4つの楽器たち。
弾む躍動感。
展開部と再現部での第1主題も印象的な趣。
チェロの活躍にも耳を奪われます。
幾度も耳にするうちに第1主題に魅了されるようになりました。 
休止の後に速度を上げて一気呵成に奏されて閉じられる曲。


昔々、聴いた時よりも何倍も「良い曲だなぁ」と心の中で独り言。
今回、聴いてみて第2楽章は相変わらずのお気に入りですが
第1楽章の第1主題と第4楽章の第1主題にも多いに魅了されました。
特に第4楽章の第1主題は幾度も聴くうちに
懐かしさのようなものさえ感じてしまいます。
今回、聴き直し第4楽章がこの曲での一番のお気に入りの楽章になったような。
曲を聴き終え初めて耳にするような新鮮さを感じています。

モスクワ弦楽四重奏団には期待と言う文字を抱いていなかったのですが
今まで聴いてきた演奏の中では好感を抱きました。
温もりを感じさせる演奏。優しく柔らかな演奏。
情感も豊かに漂い耳を傾けていてホッとする演奏です。
心に染み入る演奏です。
未だ嘗てこの曲の愛聴盤と言えるものはなかったのですが
モスクワ弦楽四重奏団のディスクが愛聴盤、第1号になりそうです。

今回初めて知ったモスクワ弦楽四重奏団。
かなり興味が湧いてきました。
チャイコフスキー・エディションに彼らの演奏で3曲の弦楽四重奏曲が
収録されており喜ばしい限りです。

チャイコフスキーの弦楽四重奏曲も耳を傾けてみると良いものですね。

                  
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Op.375 ベートーヴェン:「ピアノ三重奏曲第5番『幽霊』」 by ケンプ、シェリング&フルニエ

先月、ベートーヴェンピアノ三重奏曲第6番をアシュケナージ、パールマン&
ハレルで聴いた際にお寄せいただいたコメントにて
ケンプシェリングフルニエの名前を拝見して是非、聴いてみたくなりました。
チェリストではフルニエは気になる存在の一人。
フルニエ・エディションにベートーヴェンのピアノ三重曲全曲が
収録されていましたので・・・やっと入手することができました。

時折、少しづつ、ベートーヴェンピアノ三重奏曲を聴いているうちに
ベートーヴェンの作品の中でもお気に入りのジャンルになってきたようです。

ピアノ三重奏曲全曲を手にして最初に聴くのがお気に入りの第7番「大公」。
第7番、6番と聴き進み今回は第5番「幽霊」を。
第5番はこの曲も聴いたことがあるのか、記憶に定かではないのですが。
ケンプシェリングフルニエの演奏で。

              ベートーヴェンピアノ三重奏曲第5番「幽霊」
                    ケンプシェリングフルニエ
       P.フルニエ・エディション~DG 、デッカ、フィリップス録音全集より

           375:ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第5番 フルニエ・エディションより
                          (収録曲)

        べートーヴェン:ピアノ三重奏曲第5番 ニ長調 Op.70-1 「幽霊」
                  ピアノ三重奏曲第7番 変ロ長調 Op.97 「大公」

                    ヴィルヘルム・ケンプ(P)
                    ヘンリク・シェリング(Vn)
                    ピエール・フルニエ(Vc)
                     (録音:1970年4月)

                第1楽章:Allegro vivace e con brio
                第2楽章:Largo assai ed espressivo
                第3楽章:Presto


過日のベートーヴェン、ピアノ三重奏曲6番の記事と重複しますが。

このピアノ三重奏曲第5番作品70-1 が作曲されたのは第6番作品70-2 と
同じ1808年だそうです。
作品70の2曲で比較的多く演奏されるのはこの第5番作品70-1 の方だそうです。
「幽霊」との呼称の由来はいろいろあるようですが
手持ちの解説によると、この曲の特色となっている第2楽章で醸し出される沈鬱で
神秘的な雰囲気から与えられた呼称とも言われているとのことです。
命名者は不詳とのこと。

   375:ベートーヴェン ピアノ三重奏曲第5番 
           (ピアノ三重奏曲第5番の自筆譜 Wikiediaより)

初演は作品70-1 と同じく
1808年12月末、クリスマス前後にウィーンのエルデーディ伯爵邸に於いて
行われたそうです。
ピアノはベートーヴェン自身、他の演奏者については不明とのことです。

ピアノ三重奏曲第6番 作品70-2 と同じくエルデーディ伯爵夫人に献呈された
そうです。


ケンプシェリング&フルニエで聴くベートーヴェンのピアノ三重奏曲第5番

第1楽章はピアノ、ヴァイオリン、チェロが奏する第1主題での始まり。
活発に溌剌と力強く奏される第1主題。
すぐに穏やかな調べを奏するチェロ。
歌のようで親しみを感じるチェロの旋律です。
この旋律を歌い継ぐヴァイオリンそしてピアノ。
第2主題ではピアノが主役となり美し旋律を。
展開部での第1主題の変容にはワクワクしてしまいます。
活発に切れ味も鋭く奏される3つの楽器たち。
コーダでも現れる第1主題。
3つの楽器たちは自由に飛翔するかのように奏され
盛り上がり活発に閉じられる第1楽章。

第2楽章は前楽章から一転した雰囲気に。
音量を下げ、弱く奏されるヴァイオリンとチェロ。
そしてピアノもゆっくりと奏される第1主題での始まり。
瞑想的、幻想的な題1主題。
現れる第2主題も第1主題と同じような雰囲気で。
力強さが現れるのも束の間。
再現部では再び戻る静けさ。
ピアノは低音域で規則的なトレモロのように奏されるのが印象的。
ピアノを伴奏に交互に奏されるヴァイオリンとチェロ。
コーダでピアノは下降をするように。
ピアノ、ヴァイオリン、チェロは弱々しく
ピッチカートが3回奏され閉じられる第2楽章。

ピアノの序奏で始まる第3楽章。
明るく軽やかな序奏。
続く第1主題では踊るような明朗さで奏するヴァイオリンとチェロ。
繰り返すピアノ。
第2主題では穏やかな旋律に。
華麗な趣で奏され高揚するピアノ、ヴァイオリン、チェロ。
活き活きとした雰囲気。
闊達に奏される3つの楽器たち。
コーダでのピアノの華々しさ
音力を上げ3つの楽器たちは闊達に奏され閉じられる曲。

この曲も好印象を受けます。
第1楽章の溌剌とした明るさ 
第2楽章の瞑想的な雰囲気 
第3楽章の活き活きとした闊達さ
曲の中では雰囲気を異にする第2楽章もまた聴いていると惹かれます。

フルニエがお目当てでしたが
聴いているうちにやはり曲の主人公のピアノに耳を惹かれてしまいました。
ケンプのピアノは今までも聴いてきたものの・・・
この演奏では目が覚めるようなものを感じる気がします。

ヴァイオリンのシェリング、チェロのフルニエそしてケンプの演奏に漂う風格
とでも言うのでしょうか。
まだ、5,6,7番の3曲しか聴いていませんが
じっくりと耳を傾けたくなる味わい深い演奏のような気がしています。

いろいろな演奏者で聴くベートーヴェンのピアノ三重奏曲に嵌りかけて
きたようです。

                  
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Op.374 チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」 by パールマン;アシュケナージ&ハレル

過日、パールマンのワーナー録音全集の Box より
ベートーヴェンのピアノ三重奏曲の記事にお寄せいただいたコメントを拝読し
チャイコフスキーピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」を聴いてみました。
この曲は嘗て他の演奏で聴いたことがありましたが
記憶に残っているのは第1楽章の第1主題の旋律だけで・・・。
聴いていて掴みにくい曲、とのイメージを抱いていました。
以来、数年を経て耳を傾けこの曲との出合いに喜びを感じています。
演奏はまた、パールマンのワーナー録音全集より
アシュケナージパールマンそしてハレルです。

         チャイコフスキーピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」
                 アシュケナージパールマンハレル
                  パールマン、ワーナー録音全集より

              (HMV)374 チャイコフスキー ピアノ三重奏曲『偉大な芸術家の思い出』 パールマン、アシュケナージ、ハレル
                          (収録曲)

     チャイコフスキーピアノ三重奏曲イ短調 Op.50 「偉大な芸術家の思い出に」
 
                 ウラディーミル・アシュケナージ(P)
                 イツァーク・パールマン(Vn)
                 リン・ハレル(Vc)
                      (録音:1980年)


作曲されたのは1882年、チャイコフスキー42歳の時だそうです。
前年の1881年3月23日にパリで急死をしたチャイコフスキーの先輩であり
恩人のような存在であるニコライ・ルビンシュテインの死を悼み書かれた曲とのこと。
ルビンシュテインの死に伴いモスクワ音楽院の初代校長であった
ルビンシュテインの後任とされたチャイコフスキーは辞退をし
同年の11月にローマに旅立だったそうです。
ローマ滞在中にルビンシュテインの死を悼み、その霊に捧げるために
このピアノ三重奏の作曲に着手をしたとのことです。

曲は2楽章構成だそうですが、第2楽章が2つの部分に分かれているので
3楽章構成とみることもできるとのこと。

楽譜には「ある偉大な芸術家を記念して」と記されているそうですが
偉大な芸術家とはニコライ・ルビンシュテインを指しているとのことです。

              374:チャイコフスキー:「偉大な芸術家の思い出に」ルビンシュテイン
               Nikolai Grigorjewitsch Rubinstein
               (1835年6月2日 - 1881年3月23日)

ルビンシュテインはモスクワ音楽院の初代院長で
チャイコフスキーは無名時代からニコライの世話になり
そのお陰で世に出ることができたそうです。
ピアノ協奏曲第1番の作曲をめぐり2人の間には一時不和になった時期も
あったそうですがニコライに対するチャイコフスキーの畏敬の念は
変わることはなかったそうです。

初演は曲が完成した年、1882年ルビンシュテインの一周忌に
非公開で行われたそうです。
ピアノはセルゲイ・タニェエフ、ヴァイオリンはグルジマリーそしてチェロは
ドイツのチェリストでモスクワ管弦楽団のコンサート・マスターであり
モスクワ音楽院の教授を務めたフィッツェンハーゲンの演奏だったそうです。



悲劇的楽章と名付けられている第1楽章は
静かに流れるようなピアノを伴奏にチェロが奏する第1主題の旋律での始まり。
悲痛、沈痛な調べの第1主題。
第2主題になり抒情的に奏される穏やかさ、静けさ。
この主題に漂う調べの優しい美しさは
亡きルビンシュテインへの慰霊の調べのように感じられます。
さて、主題はチェロからヴァイオリンに受け継がれ。
ヴァイオリンとチェロが二重唱のように歌う主題。心に染み入ります。
今まで伴奏に徹していたピアノが奏し始める主題。
力強いピアノ。
アシュケナージのピアノは悲痛な想いを吹き飛ばすかのよう。
ピアノが奏する明るい力強さを感じさせる旋律。
加わるヴァイオリンとチェロ。
次第に情熱的な雰囲気に。
いつしか活発に奏される3つつの楽器たち。
チェロは素早いピッツィカートで、ヴァイオリンは軽快な歌を
そしてピアノは力強く。
3つの楽器たちは躍動するような趣に。
再び戻る静けさ。
静かに閉じられる第1楽章。

第2楽章は
「主題と変奏」、「変奏フィナーレとコーダ」の2つの部分から構成されているそうです。
ピアノが奏する主題で始まる第2楽章。
ルビンシュテインはロシアの民謡の歌や踊りが好きだったそうです。
チャイコフスキーがルビンシュテインやモスクワ音楽院教授たちと
郊外に出かけた折りにルビンシュテインの望みで農夫たちが演じた踊りや
歌から考えついたもの、と言われているそうです。
ルビンシュテインの死を悼む曲とは感じられないくらいに明るさを感じる主題。
歌謡風で親しみやすく軽やかさも感じる旋律。
主題に続く11の変奏も変化に富み耳を奪われるようです。
印象い深いのは第6と第7変奏でしょうか。

「変奏フィナーレとコーダ」になり力強く活発なピアノの旋律での始まり。
繰り返すヴァイオリンの明るさ。
躍動的に奏される3つの楽器たち。
第1楽章の第1主題が現れピアノとヴァイオリン、チェロが壮大な趣で。
楽器たちの掛け合いの活発さはエネルギッシュ。
重々しく響き渡るピアノ。
第1主題を奏するヴァイオリンから明るさは消え暗澹とした趣に。
耳を引くピアノのアルぺッジョの美しさ。
再び静けさが戻り第1主題を歌うヴァイオリンそしてチェロ。
ピアノで静かに迎える曲の終わり。


チャイコフスキーは室内楽を得意としていなかったそうで
また性格の違う3つの楽器を組み合わせたピアノ三重奏という形式は
嫌悪感をすら抱かせるものだったとか。
専門家ではない私にはそのようなことは微塵も感じられません。
今更ながら、とにかく素晴らしい三重奏曲。

1980年の録音とのことですので
アシュケナージ43歳、パールマン35歳、ハレルが36歳頃の演奏でしょうか。
こちらの3人による「偉大な芸術家の思い出に」は
悲痛さを殊更濃厚に強調する演奏ではなく
哀悼の意とともに回想する明るい気分を感じられるようです。
死を悼み悲痛な想いを込めて作曲した曲とは感じられないような明るさに
初めは戸惑いも感じてしまいました。
感情移入よりも明るく爽やかな心情で故人を回想をしているような演奏でしょうか。

アシュケナージのピアノの力強い、エネルギーを感じさせるピアノ・タッチが
印象的です。
主人公のピアノを支えるパールマンとハレルの控え目な演奏。
この曲自体の主人公がピアニストでもあるルビンシュテインであることを想うと
アシュケナージのピアノに耳を傾けつつルビンシュテインの化身のような
存在に感じられてしまいます。

志鳥栄八郎氏はこの曲を一言で、次のように記述されています。
 「ニコライとチャイコフスキーとの麗しい友情の記念碑」

                 
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音楽が日々の活力源になっています。
特に音楽知識のないクラシック・ビギナーに等しいのですが、「ただ、ひたすらに」をモットーに鑑賞をしています。
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